胃がん治療で嘔吐はよくある?頻度と対処法まとめ
胃がん治療に伴う嘔吐の頻度と対処法
胃がんの治療中に嘔吐(吐き気・嘔気)は比較的よく起こりうる副作用です。 とくに化学療法(抗がん剤)や、腹部・頭頸部への放射線治療では嘔吐のリスクが上がります。これは薬剤や放射線が脳の吐き気中枢・消化管を刺激するためで、使う薬の種類や用量、投与期間、年齢、過去の治療経験などによって程度が変わります。症状が続くと栄養状態が悪化し、治療の継続に影響するため、計画的な予防と早期の対処がとても重要です。 [1] [2]
嘔吐が起こるメカニズムとタイプ
- 急性嘔吐(初回抗がん剤投与後24時間以内)と、遅発性嘔吐(24時間以降〜数日)があり、原因薬剤によって両方が問題になります。症状は治療行為そのものや匂い、胃のガス、運動、病院環境などでも誘発されることがあります。症状が強い・数日続く場合は医療者へ相談が必要です。 [2]
どのくらいの頻度で起こる?
抗がん剤レジメンの「催吐リスク」分類(無予防時の嘔吐確率)に基づき、予防方針が決まります。静注薬は一般に以下の4段階で評価されます。
さらに、経口の分子標的薬や内服抗がん剤の一部は「低〜最小リスク」に分類されるものもあります(例:カペシタビン、オシメルチニブ、オラパリブなど)。個々の薬剤はリスト化され、最適な予防が提案されています。 [5] [6] [7]
標準的な予防・治療(制吐薬)
予防が最善策です。 抗がん剤投与時は、レジメンの催吐リスクに合わせて事前に制吐薬を組み合わせます。
-
高リスクの化学療法
一般的に、5-HT3受容体拮抗薬(例:パロノセトロン)+デキサメタゾン(ステロイド)+NK1受容体拮抗薬(例:アプレピタント)を「三剤併用」で予防します。遅発性嘔吐にも有効です。 [PM13] [PM15] -
中リスクの化学療法
第二世代5-HT3拮抗薬(パロノセトロン)+デキサメタゾンの併用が推奨され、遅発性の予防効果が高いとされています。状況によりNK1拮抗薬やオランザピン追加を検討することがあります。 [PM13] [PM15] -
低〜最小リスクの化学療法・経口薬
必要に応じて、ドパミン受容体拮抗薬(メトクロプラミド、プロクロルペラジン)や5-HT3拮抗薬を用いる選択肢があります。エビデンスの質は高リスクに比べて限定的なため、専門家合意に基づき複数の代替が示されています。 [8] -
投与後の対応(突破・難治性)
事前予防でも嘔吐が出る場合は、薬剤の追加・切り替え(例:オランザピン、別系統の制吐薬)を検討します。内服のタイミングは食事30分〜1時間前が目安で、症状が強ければ受診して調整します。 [2]
放射線治療に伴う吐き気・嘔吐
腹部・頭頸部への放射線は吐き気を誘発することがあり、化学療法併用時はリスクが上がります。 放射線誘発の吐き気・嘔吐にも、5-HT3拮抗薬やステロイドなどの予防・対処がガイドラインで推奨されます。個人の年齢や既往歴などのリスク要因も考慮して調整します。 [PM15]
生活でできる対策
- 🍵 少量頻回の水分補給:一度にたくさん飲まず、こまめに。冷たい水や氷を舐めるのも方法です。症状が続く際の脱水予防に役立ちます。 [2]
- 🍚 食事の工夫:においの強い料理を避け、消化にやさしいもの(お粥、スープ、クラッカー)を少しずつ。吐き気が強い時間帯は無理に食べず、落ち着いてから摂取します。 [2]
- 🌿 リラクゼーション:深呼吸や軽いストレッチなどのイライラや不安を和らげる方法が症状緩和に役立つことがあります。 [2]
- 🕒 薬のタイミング:処方制吐薬は食事30分〜1時間前に内服するのが一般的です。決められたとおりに服用し、効果が不十分なら主治医に相談して調整します。 [2]
いつ受診すべき?
- 強い嘔吐が止まらない、数日続く、脱水(口渇・尿量低下・めまい)を疑う、体重減少が目立つなどの時は早めに連絡してください。治療計画の見直しや、制吐薬の強化・変更が必要になることがあります。 [2]
よくある原因の整理(腫瘍関連と治療関連)
- 腫瘍による原因:胃出口閉塞、胃の動きの低下(自律神経の影響)、周辺臓器への浸潤、腹膜播種や腹水などで胃内容の停滞や逆流が起こり、嘔吐を招くことがあります。 これらは内視鏡的ステントや栄養管理、緩和的手術などで症状緩和を図ることがあります。 [PM15]
- 治療による原因:化学療法・放射線療法・一部の分子標的薬で急性・遅発性・予期性(治療前から)・突破性・難治性の嘔吐が生じます。レジメンごとの予防プロトコル遵守と、個々のリスク(年齢・性別・過去のCINV歴など)に合わせた調整が重要です。 [PM15]
胃がん治療で使われる薬剤の一例と嘔吐リスク
下表は、治療で用いられることのある薬剤の一部と、一般的な催吐リスク分類の例です(施設・組み合わせによって異なります)。個別のレジメンでは複数薬の相乗でリスクが上がるため、主治医がレジメン全体でのリスクを評価して制吐薬を組みます。 [3] [5] [7]
| 薬剤(例) | 投与経路 | 催吐リスクの目安 | 備考 |
|---|---|---|---|
| シスプラチン併用レジメン | 静注 | 高リスク(>90%) | 三剤併用の予防が標準的 |
| オキサリプラチン+カペシタビン(CAPOX) | 静注+経口 | 中〜高リスク | 遅発性にも注意 |
| パクリタキセル系 | 静注 | 中リスク | 併用薬で変動 |
| カペシタビン | 経口 | 低〜最小リスク | 単剤では嘔吐は比較的少なめ |
| 一部の分子標的薬(例:オシメルチニブ、オラパリブ等) | 経口 | 低〜最小リスク | 個別の副作用プロファイルにより調整 |
実践ポイントまとめ
- 事前予防が最重要:レジメンの催吐リスクに応じて、5-HT3拮抗薬+ステロイド+NK1拮抗薬などを組み合わせます。遅発性までカバーできるよう計画します。 [PM13] [PM15]
- 内服タイミングと継続:食事30分〜1時間前の服用を基本とし、効果不十分なら遠慮なく相談して調整しましょう。 [2]
- 生活の工夫:少量頻回の水分・食事、におい対策、リラクゼーションが有効です。 [2]
- 早めの受診:強い・持続する嘔吐、脱水や栄養低下の兆候があれば早めに医療者へ。治療の継続性と安全性を守るための介入が必要です。 [2]
さいごに
嘔吐は「我慢するもの」ではなく、適切な予防と治療で大きく軽減できる副作用です。 レジメン別の標準的な制吐戦略が確立されており、個人のリスクや過去の経験に合わせたオーダーメイドの調整が効果的です。症状や不安を感じたら、早めに医療者へ共有して一緒に対策を立てていきましょう。 [PM13] [PM15] [3] [8] [4]
関連する質問
出典
- 1.^↑국가암정보센터(cancer.go.kr)
- 2.^abcdefghijk국가암정보센터(cancer.go.kr)
- 3.^abc7-Prevention of anti-cancer therapy induced nausea and vomiting (AINV)(eviq.org.au)
- 4.^ab7-Prevention of anti-cancer therapy induced nausea and vomiting (AINV)(eviq.org.au)
- 5.^ab7-Prevention of anti-cancer therapy induced nausea and vomiting (AINV)(eviq.org.au)
- 6.^↑7-Prevention of anti-cancer therapy induced nausea and vomiting (AINV)(eviq.org.au)
- 7.^ab7-Prevention of anti-cancer therapy induced nausea and vomiting (AINV)(eviq.org.au)
- 8.^ab7-Prevention of anti-cancer therapy induced nausea and vomiting (AINV)(eviq.org.au)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。