胃がん治療で末梢神経障害はよくある?対処法まとめ
要点:
胃がん治療の副作用:末梢神経障害はどれくらい起こる?どう対処する?
結論として、末梢神経障害(しびれ・痛み・感覚低下)は胃がんの化学療法で比較的よくみられる副作用で、特にオキサリプラチンやパクリタキセルで生じやすいです。 [1] 感覚症状が中心で、指先や足先から“手袋・靴下型”に広がるのが典型的です。 [2]
なぜ起こるのか
- 原因薬剤:白金製剤(オキサリプラチン、シスプラチン)、タキサン系(パクリタキセル、ドセタキセル)などは神経の炎症・軸索障害を起こしやすい薬剤です。 [3] [2]
- 特徴的な経過:感覚優位で、治療開始後数週間〜数か月で出現し、累積投与量が多いほど重くなる傾向があります。 [2]
- オキサリプラチン特有:急性の冷感過敏や咽喉頭の違和感(冷たい刺激で悪化)と、2週間以上続く遅延性のしびれが知られています。 [4] 冷たい飲食物で症状が誘発されるため、点滴前後は“冷たいものを避ける”ことが勧められます。 [4]
発症頻度の目安
- オキサリプラチン:しびれ・異常感覚は多くの患者でみられ、臨床試験でも高頻度に報告されています(重症例は一部)。 [5] [6]
- タキサン系(パクリタキセル・ドセタキセル):よくみられる副作用の一つで、累積量に比例して増加します。 [1] [7]
- 全体像:抗がん剤による末梢神経障害は感覚症状が主体で、用量や曝露が増えるほどグレード2以上の頻度が高まります。 [8]
主な症状
- しびれ(ピリピリ、ジンジン)、痛み、感覚低下:指先・足先に左右対称に出やすく、日常動作(ボタン掛け、ペン書き、歩行)に支障が出ることがあります。 [2]
- 冷感過敏・口や喉の違和感(オキサリプラチン):冷気や冷飲食で悪化し、まれに話しづらさ・顎のつっぱり感を伴います。 [9]
いつ治るのか(予後)
- 自然軽快の可能性:治療中止後、時間とともに軽快するケースが多く、一定の割合で追跡時に改善が確認されています。 [8]
- 注意点:シスプラチンでは“コースティング”といって中止後もしばらく症状が悪化することがあり、慎重なフォローが必要です。 [10]
評価とモニタリング
- 定期的な神経評価:治療前から神経所見を確認し、治療中は2コースごとなど定期的にチェックして用量調整の判断材料にします。 [11]
- 重症度の目安:日常生活への影響(ペンを持つ、シャツのボタン、歩行)を具体的に聞き取り、グレードに応じて対処します。 [2]
管理・対処法
1) 薬剤の調整(最も効果的な根本対策)
- 用量減量・休薬・スケジュール変更:症状が進む前に早めの調整が推奨されます(重症化を防ぐ目的)。 [2]
- 原因薬剤の切り替え:症状が強い場合は、同等有効性が期待できるレジメンへの変更を検討することがあります。 [1] 高曝露ほど悪化しやすいので、早期の介入が有効です。 [8]
2) 日常生活での工夫
- 冷たいものを避ける(オキサリプラチン):冷水・冷飲食・冷気に触れる場面を減らす工夫が有用です。 [4]
- 転倒予防・手足保護:滑りにくい靴、手袋、入浴時の湯温管理、鋭利物の取り扱いに注意します。 [12]
- 運動・リハビリ:バランス・柔軟性を高める軽い運動や専門的リハビリで機能維持・改善を目指します。 [13]
3) 痛み・しびれの緩和
- 鎮痛・神経痛対策:一般的にはガバペンチノイド、抗うつ薬系の鎮痛などが選択肢になります(担当医と相談)。 [14]
- 補助療法:鍼治療などの補助的アプローチが役立つこともあります(有効性は個人差あり)。 [PM13]
4) 教育・セルフマネジメント
- 症状の早期申告:しびれや冷感過敏が出たら、次回診察まで待たずに医療者へ共有することで、重症化を防ぎやすくなります。 [12]
- 生活指導の継続:症状の波に合わせて、冷感回避、手足の保護、環境整備を続けましょう。 [4] [12]
薬剤別の特徴まとめ
| 薬剤群 | 末梢神経障害の特徴 | 対応のポイント |
|---|---|---|
| オキサリプラチン | 急性の冷感過敏・咽喉頭異常、遅延性の持続する感覚障害が多い | 冷たい刺激回避、用量調整、症状進行時は休薬・変更を検討 [4] [5] |
| シスプラチン | 累積用量と関連、治療中止後に数か月悪化(コースティング)あり | 早期からモニタリング、累積用量管理、フォロー強化 [10] [11] |
| パクリタキセル | 累積量で増悪、末梢感覚障害が一般的 | 神経評価で用量調整、他薬へスイッチ検討 [1] [2] |
| ドセタキセル | 閾値用量を超えると増加、重症は一桁台% | 累積投与量管理、神経症状に応じた減量 [7] |
受診の目安
- 歩行が不安定、物に触れると強く痛む、ボタン掛けが困難など機能障害が出てきたら、早めに主治医へ相談しましょう。 [2]
- 冷たい飲食で息苦しさや喉の違和感が強い場合は、次回点滴前の対策(保温・冷回避)やスケジュール調整が必要です。 [9] [4]
よくある質問に対する補足
- 治療を続けられるか:症状の程度に応じて、減量や休薬で続行できるケースもあります。 [2]
- 治るのか:多くは時間とともに改善が期待できますが、完全に消えないこともあります。 [8]
- 予防はできるか:確実な予防法は限られますが、冷感回避や早期申告、用量管理で重症化を防ぐことは期待できます。 [4] [11] [2]
まとめ
胃がんの化学療法では末梢神経障害が比較的よく起こり、薬剤の特性(特にオキサリプラチン・パクリタキセル)により症状が異なります。 [1] 最も重要なのは“早期の気づき”と“適切な用量調整・休薬”で、冷感回避やリハビリ、鎮痛対策などの総合的な管理で生活の質を守ることができます。 [4] [2] [13] [14] 多くの方で時間とともに軽快が見込まれるため、主治医と連携しながら無理なく治療を続ける選択肢を一緒に探していきましょう。 [8]
関連する質問
出典
- 1.^abcdeWhere we are with gastric and esophageal cancers(mayoclinic.org)
- 2.^abcdefghijk1743-Anti-cancer drug induced peripheral neuropathy(eviq.org.au)
- 3.^↑Neuropathic Pain(mskcc.org)
- 4.^abcdefghThese highlights do not include all the information needed to use OXALIPLATIN INJECTION safely and effectively. See full prescribing information for OXALIPLATIN INJECTION. OXALIPLATIN injection, for intravenous use Initial U.S. Approval: 2002(dailymed.nlm.nih.gov)
- 5.^abOXALIPLATIN injection, solution OXALIPLATIN injection, solution(dailymed.nlm.nih.gov)
- 6.^↑OXALIPLATIN injection, solution OXALIPLATIN injection, solution(dailymed.nlm.nih.gov)
- 7.^ab1743-Anti-cancer drug induced peripheral neuropathy(eviq.org.au)
- 8.^abcde1743-Anti-cancer drug induced peripheral neuropathy(eviq.org.au)
- 9.^abThese highlights do not include all the information needed to use OXALIPLATIN INJECTION safely and effectively. See full prescribing information for OXALIPLATIN INJECTION. OXALIPLATIN injection, for intravenous useInitial U.S. Approval: 2002(dailymed.nlm.nih.gov)
- 10.^ab1743-Anti-cancer drug induced peripheral neuropathy(eviq.org.au)
- 11.^abcDOCETAXEL- docetaxel anhydrous injection, solution(dailymed.nlm.nih.gov)
- 12.^abc536-Peripheral neuropathy during cancer treatment(eviq.org.au)
- 13.^abSupport for Stomach Cancer(nyulangone.org)
- 14.^abNeuropathic Pain(mskcc.org)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。