膵がん治療の嘔吐はよくある?予防と対策まとめ
要点:
膵がん治療で嘔吐は一般的?管理方法は?
膵がんの治療(化学療法や放射線など)では、吐き気・嘔吐が比較的よく起こる副作用として知られています。多くの抗がん剤は程度の差はあっても吐き気・嘔吐を引き起こし、投与後数時間〜数日間続くことがあります。これらの症状は栄養状態や生活の質に影響するため、事前の予防と適切な対処が重要です。 [1] ほとんどの抗がん薬で吐き気・嘔吐が起こりうち、投与後1〜8時間で出現し最大1週間程度持続することがあります。 [1]
なぜ起こるのか
- 抗がん剤が脳の嘔吐中枢や腸管の受容体を刺激して吐き気を誘発します。 [1]
- がん本体や腸閉塞、膵炎、胆道閉塞、便秘、薬(オピオイドなど)も嘔吐の原因になり得ます。こうした他の原因が疑われる場合は、別の対応が必要です。 [2]
頻度の目安
- 抗がん剤の「催吐性リスク」により、嘔吐の起こりやすさは異なります(高リスクでは90%以上、中リスクでは30〜90%、低リスクでは10〜30%程度の嘔吐が起こり得ます)。 [3] [4]
- 膵がんで用いられるレジメンの一部(例:オキサリプラチン含有など)は中〜高リスクに分類されることがあり、強力な予防策が推奨されます。具体的なレジメンの催吐リスクは主治医が判断します。 [5]
標準的な予防(初日:急性期、翌日以降:遅延期)
催吐リスクに応じて、複数の制吐薬を組み合わせるのが一般的です。 [3]
以下は代表的な方針の例です(実際の用量は治療計画に合わせて調整されます)。 [6] [7]
高リスク(非AC系の高リスクレジメンの一例)
- 急性期(1日目)
- 遅延期(2日目以降)
- デキサメタゾン継続、場合によりオランザピン継続。 [3]
中リスク
- 急性期(1日目)
- 5-HT3受容体拮抗薬(例:オンダンセトロン、グラニセトロン)またはデキサメタゾン、またはメトクロプラミド。 [4]
- 遅延期(2日目以降)
- 通常は追加不要だが、症状が強い場合は主治医が調整。 [4]
低リスク
代表的な制吐薬のポイント
- 5-HT3受容体拮抗薬(オンダンセトロン、グラニセトロン、パロノセトロンなど):急性期の予防に広く用いられます。用量・投与方法はレジメンにより調整されます。 [6] [7]
なお、オンダンセトロンは腸の動きを促進する薬ではないため、腸閉塞の管理に代用すべきではありません。 [8] - NK1受容体拮抗薬(アプレピタント、フォサプレピタント、ネトゥピタントなど):高リスクのレジメンで必須級の追加薬です。 [3] [5]
- デキサメタゾン:急性期・遅延期の基礎薬として使われます。NK1併用時と非併用時で推奨用量が異なる点に注意が必要です。 [7]
- オランザピン:強い吐き気に対して追加選択肢として有用です。 [3] [5]
突破性(予防しても出てしまう)嘔吐への対応
- すでに使っていない別作用機序の制吐薬に切り替え・追加します(例:オランザピン、ハロペリドール、メトクロプラミド、プロクロルペラジンなどを検討)。エビデンスは限定的な部分もあり、個別に調整します。 [2]
- 症状が持続する場合、原因の再評価(脱水、電解質異常、便秘、腸閉塞、薬剤性など)が大切です。 [2]
オピオイドによる吐き気が疑われる場合
- がん痛治療のオピオイド自体が吐き気・嘔吐を起こすことがあります。エビデンスは限られますが、オピオイドの種類変更や投与経路の変更で改善する可能性があります。 [PM19]
- どの制吐薬が最適かについては明確な優劣の根拠が乏しく、症状に合わせて抗ドーパミン薬、抗ヒスタミン薬、プロキネティクスなどを選ぶことがあります。 [PM19] [PM20]
生活の工夫とセルフケア
- 少量ずつこまめに飲食し、脂っこい・強い匂いの食事を避ける。食べやすい温度で。 [9]
- 脱水対策として水分・電解質を補給(経口補水液など)。 [9]
- 投与前後は休息を十分に取り、無理をしない。 [9]
- におい対策(換気、冷たい料理、蓋付き容器)で刺激を減らす。 [9]
- 体重変化や摂取量を記録し、栄養サポートを相談。 [9]
いつ受診・相談すべきか
- 24時間以上水分が摂れない、血液を吐く、激しい腹痛や腹部膨満がある場合は至急連絡しましょう。腸閉塞や感染などの可能性があります。 [8]
- 嘔吐が繰り返し起こって薬が効きにくい、体重減少が続く、めまい・ふらつきが強い時は早めに対策の見直しが必要です。 [9]
制吐薬の比較表(例)
| 催吐リスク | 急性期(1日目)の基本構成 | 遅延期(2日目以降) |
|---|---|---|
| 高リスク | NK1拮抗薬+5-HT3拮抗薬+デキサメタゾン(±オランザピン) [3] [5] | デキサメタゾン(±オランザピン)継続 [3] |
| 中リスク | 5-HT3拮抗薬 または デキサメタゾン または メトクロプラミド [4] | 通常不要(症状により調整) [4] |
| 低リスク | 単剤(デキサメタゾン あるいは 5-HT3拮抗薬 あるいは メトクロプラミド) [4] | 不要 [4] |
まとめ
関連する質問
出典
- 1.^abc국가암정보센터(cancer.go.kr)
- 2.^abcd7-Prevention of anti-cancer therapy induced nausea and vomiting (AINV)(eviq.org.au)
- 3.^abcdefghi7-Prevention of anti-cancer therapy induced nausea and vomiting (AINV)(eviq.org.au)
- 4.^abcdefghi7-Prevention of anti-cancer therapy induced nausea and vomiting (AINV)(eviq.org.au)
- 5.^abcdef7-Prevention of anti-cancer therapy induced nausea and vomiting (AINV)(eviq.org.au)
- 6.^ab3313-Antiemetic drug classes and suggested doses(eviq.org.au)
- 7.^abc3313-Antiemetic drug classes and suggested doses(eviq.org.au)
- 8.^abcONDANSETRON HYDROCHLORIDE tablet, film coated(dailymed.nlm.nih.gov)
- 9.^abcdefgChemotherapy nausea and vomiting: Prevention is best defense(mayoclinic.org)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。