乳がん治療で痛みはよくある?原因と安全な対処法
乳がん治療の痛み:よくあるの?どう対処する?
結論として、乳がん治療では痛みが比較的よく見られ、種類も原因もさまざまです。 手術後の神経障害性疼痛(しびれ・焼けるような痛み)や、化学療法・ホルモン療法による関節痛・筋肉痛、放射線治療後の線維化に伴う痛みなどが起こることがあります。適切な評価を受け、薬物療法・リハビリ・介入治療・生活の工夫を組み合わせることで、多くの場合はうまく管理できます。手術後の慢性疼痛(術後乳房切除痛症候群)は約3割前後と報告されており、個別化された治療が推奨されます。 [PM30] 化学療法そのものは通常「施行中に痛い」わけではありませんが、治療の合間に筋肉痛や関節痛、白血球低下を防ぐ薬による痛みが出ることがあります。 [1] [2]
痛みが起こる主な原因
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手術後の神経障害性疼痛
乳房切除や部分切除、腋窩郭清のあとに、焼ける・刺す・締め付けるような痛み、触れる刺激で痛い「アロディニア」、しびれを伴うことがあります。リスク要因には若年、放射線治療、腋窩郭清、既往の慢性痛、心理社会的要因などが含まれます。 [PM30] 乳房切除後には、幻肢様の乳房痛や瘢痕による神経腫(ニューローマ)で強い圧痛が続く場合もあります。 [3] [4] -
化学療法・ホルモン療法による痛み
一部の薬剤は末梢神経障害(手足のしびれ・灼熱痛)や関節痛・筋痛を起こします。代表的な神経障害性疼痛の原因薬にはタキサン系(パクリタキセル・ドセタキセル)やトラスツズマブ エムタンシンなどが知られています。 [5] 化学療法中は治療そのものは通常痛みませんが、治療間の期間に痛みや不快感が出ることがあります。 [2] [6] -
放射線治療後の痛み
放射線線維化による筋のこわばり・痙縮、肩の可動域制限、胸壁痛が続くことがあります。対症療法や疼痛緩和の薬で対応可能です。 [7]
どのくらい一般的か(頻度の目安)
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術後慢性痛(術後乳房切除痛症候群:PMPS)
推定有病率はおよそ31%と報告され、25〜60%とするレビューもあります。 慢性的で生活の質に影響しやすい痛みですが、計画的に管理すれば軽減が期待できます。 [PM30] [PM34] -
治療全般に伴う痛み
がん治療・サバイバーでは痛みが高頻度にみられ、乳がんは痛みの頻度を高める要因の一つとされています。 慢性痛では神経障害性の特徴を伴うことが少なくありません。 [PM9]
安全な痛みの評価と自己記録
- 痛みのタイプと強さの把握
「いつ、どこが、どう痛むか(焼ける・刺す・ズキズキ)」を数値(0〜10)で記録すると、治療選択に役立ちます。 しびれや触れるだけで痛いなどの神経障害性の手がかりも重要です。 [8]
痛み日誌や評価スケールを使うと、薬や非薬物療法の効果判定がしやすくなります。 [9]
薬物療法の選択肢
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神経障害性疼痛の第一選択に挙がりやすい薬
抗うつ薬(例:SNRI、三環系)やガバペンチノイド(ガバペンチン・プレガバリン)などが用いられます。 局所痛には5%リドカイン貼付剤が有効な選択肢となることがあり、早期から痛みの軽減が報告されています。 [PM30] [PM32] -
炎症・筋骨格痛への対処
関節痛・筋肉痛にはアセトアミノフェンやNSAIDs(イブプロフェン等)が検討されますが、安全性(腎機能・胃腸・出血リスク)や併用薬を必ず確認してから使用します。 主治医に使用可否を相談してください。 [2] -
オピオイドの位置づけ
がんサバイバーの慢性痛では、慎重な適応判断と目標設定、合併症リスク管理が必要です(専門ガイドラインに基づく個別化管理)。 [10] [11]
リハビリ・非薬物療法
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理学療法(肩・胸壁の可動域改善)
乳がん治療後は肩機能低下やカプス炎(凍結肩)様の症状が出ることがあります。 段階的なストレッチ、筋膜リリース、姿勢改善、肩甲帯の安定化トレーニングが推奨されます。 [PM7] -
補助的アプローチ
温冷罨法、マッサージ、リラクゼーション、音楽・気をそらす工夫などは、薬の効果を補強して痛みの負担を減らす助けになります。 [12]
マインドフルネス、ヨガ、鍼、マッサージは、不安・ストレスの軽減や痛みの認知改善に役立つ可能性があり、補完療法として施設の指導のもと安全に取り入れます。 [PM10]
介入的治療(痛みが強い・長引く場合)
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神経ブロック・平面ブロック
肋間神経や胸背神経領域の痛みに、末梢神経ブロックや脊柱起立筋平面ブロック(ESPB)が有効となる例があります。 難治性の神経障害性胸壁痛で検討されます。 [PM31] [PM34] -
脂肪注入・瘢痕・神経手術
瘢痕性疼痛や神経腫に対し、脂肪移植、神経剥離・修復、ラジオ波焼灼などが検討されます。 [PM30] [PM34] -
ニューロモデュレーション(脊髄刺激)
既存治療に抵抗性の慢性神経障害性疼痛では、脊髄刺激療法(SCS)の有用性が報告されています。 専門施設での評価が必要です。 [PM33]
自宅でできるセルフケアのコツ
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肩と胸のやさしいストレッチ
痛みが悪化しない範囲で、毎日少しずつ動かして可動域を維持しましょう。リハビリの指示に従って段階的に進めます。 [PM7] -
皮膚・瘢痕ケア
衣服の擦れで痛みが増す場合は、柔らかい素材やクッション材、テーピングなどで刺激を減らす方法もあります。 [3] -
生活習慣の整え
適度な運動(週150分程度の中等度運動を目標)、バランスのよい食事、睡眠の質の改善は痛みの受け止め方と回復力を支えます。 [PM10]
痛み日誌で誘因(長時間同姿勢・冷え・ストレス)と緩和策を見つけると再発予防に役立ちます。 [8] [9]
受診の目安と医療者への伝え方
- 痛みが2〜3週間以上続く、夜間に妨げる、日常動作に支障がある場合は、早めに主治医へ相談しましょう。 薬の調整や追加検査、リハビリ指示、介入治療の検討につながります。 [2]
「場所・性質・強さ・時間帯・悪化/緩和因子・服薬歴」を整理して伝えると、診療がスムーズになり適切な治療につながります。 [9]
まとめ
- 乳がん治療に伴う痛みは比較的よく起こりますが、種類に応じて適切に対処すれば軽減が期待できます。 手術後の神経障害性疼痛は珍しくなく、薬物療法(抗うつ薬・ガバペンチノイド・局所リドカインなど)、理学療法、介入治療(ブロック・ニューロモデュレーション等)を組み合わせるのが有効です。 [PM30] [PM32] [PM34] [PM33]
化学療法やホルモン療法では関節痛・筋痛、末梢神経障害が出ることがありますが、市販薬の使用を含め、必ず主治医と安全性を確認して選びましょう。 [2] [5]
痛みは「評価が第一」です。痛み日誌を活用し、非薬物療法も取り入れながら、専門家と一緒に長期的な計画を立てることが大切です。 [8] [9] [PM10] [10]
関連する質問
出典
- 1.^↑Tratamiento contra el cáncer de mama avanzado(mskcc.org)
- 2.^abcdeTreatment for Advanced Breast Cancer(mskcc.org)
- 3.^abCoping with pain after breast surgery(mayoclinic.org)
- 4.^↑Coping with pain after breast surgery(mayoclinic.org)
- 5.^abNeuropathic Pain(mskcc.org)
- 6.^↑Неоадъювантная терапия при раке молочной железы: что это такое, как справиться с побочными эффектами и ответы на общие вопросы(mskcc.org)
- 7.^↑Radioterapia palliativa(mskcc.org)
- 8.^abcChemotherapy · Side Effects of Chemotherapy for Cancer Treatment | Medical Information | Catholic University Catholic Hematology Hospital(hematology.kr)
- 9.^abcdChemotherapy · Side Effects of Chemotherapy for Cancer Treatment | Medical Information | Catholic University Catholic Hematology Hospital(hematology.kr)
- 10.^abPain Among Cancer Survivors(cdc.gov)
- 11.^↑Pain Among Cancer Survivors(cdc.gov)
- 12.^↑Chemotherapy · Side Effects of Chemotherapy for Cancer Treatment | Medical Information | Catholic University Catholic Hematology Hospital(hematology.kr)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。