乳がん治療で下痢はよくある?対策と管理法
要点:
乳がん治療で起こる下痢:よくある副作用とその対策
乳がん治療では、化学療法や一部の分子標的薬(HER2治療薬、CDK4/6阻害薬など)により、下痢(ゆるい・水様便や排便回数増加)が比較的よく見られる副作用です。 [1] 多くは腸の粘膜が刺激されて一時的に起き、適切な水分補給・食事調整・止瀉薬で落ち着くことが期待できます。 [2]
起こりやすさ(頻度)
- 化学療法中の下痢は「よくある副作用」で、個々の薬剤や組み合わせによって頻度が異なります。 [3]
- HER2標的治療(例:トラスツズマブ、ペルツズマブなど)を併用する治療では、下痢の発生率が上がることがあり、重症(グレード3–4)に至る例も報告されています。 [4] [5]
- ペルツズマブを含む複数の臨床試験で、下痢は代表的な有害事象として一貫して認められています。 [PM8] アジュバント併用でも管理が必要な副作用として扱われます。 [PM7]
- 一部の経口薬(例:ネラチニブ)では、下痢が治療継続に影響することがあり、予防・管理計画の重要性が示されています。 [PM11]
原因と仕組み
- 化学療法は腸管の粘膜を刺激して、吸収と分泌のバランスが崩れ、ゆるい便や回数増加につながります。 [1] [2]
- 分子標的薬(EGFR経路へ影響する薬など)は、腸上皮の機能変化により下痢を起こしやすいことがあります。 [PM8]
- こうした下痢は治療開始から数週間以内に出現しやすいものから、治療期間中いつでも起こり得るものまであります。 [6]
重症度の目安と受診タイミング
- 同じ日に3回以上の水様便、2日以上の食事療法(バナナ・米・りんごソース・白トースト)でも改善しない下痢、血便や持続する肛門部の痛み・ただれがあれば主治医へ連絡が勧められます。 [7] [8]
- 脱水のサイン(口渇、皮膚や口の乾燥、尿量減少・濃い尿、めまい、筋痙攣、著しいだるさ)に気づいたら早めの対応が重要です。 [9]
自分でできる対策(食事・生活)
- 水分補給:カフェインを避け、1日8–10杯(約200–250mL/杯)の水分を目安に取りましょう。電解質飲料(経口補水液、スポーツ飲料を薄める等)も有用です。 [1] [2]
- 食事の工夫:消化にやさしい“BRAT”食(バナナ・米・りんごソース・白トースト)や、柔らかく脂肪の少ない食品を少量頻回で。 [2]
- 避けたいもの:カフェイン飲料、糖分・人工甘味料の多い飲料、乳製品、ガスを溜めやすい食品(キャベツ、豆類)は悪化させることがあります。 [8]
- 便刺激を増やす薬(便軟化剤、坐薬)は一時的に控えることが勧められる場合があります。 [8]
薬での管理(止瀉薬の使い方)
- 第一選択はロペラミド(一般的な止瀉薬)で、指示に沿って速やかに開始します。十分量を短期間用いることがポイントです。 [PM24] [PM26] [PM27]
- 効果不十分や中等度以上(グレード2以上)で持続する場合は、オクトレオチド(医療機関での注射薬)が検討されます。 [PM24] [PM25] [PM28]
- 重症(グレード3–4)では、入院下での点滴補液、必要に応じた抗菌薬、オクトレオチドなど、体系的な管理が推奨されます。 [PM25] [PM24]
- 免疫療法による下痢は別の対応(免疫関連有害事象)になるため、自己判断でのステロイド使用はせず、必ず主治医に相談してください。 [10]
実践的チェックリスト
- 水様便が3回/日以上、もしくは2日以上続く → 主治医へ連絡。 [7]
- 水分摂取:非カフェインの水分を8–10杯/日+電解質補給。 [1] [2]
- 食事:バナナ・米・りんごソース・白トースト+脂質控えめの柔らかい食事。 [2]
- 悪化要因の回避:カフェイン、糖分・人工甘味料多い飲料、乳製品、ガス産生食品。 [8]
- 止瀉薬:ロペラミドを指示通り適切量で、改善なければ医療機関で追加治療(オクトレオチド等)。 [PM24] [PM25]
- 脱水サイン:口渇・尿量減少・濃い尿・めまいに注意。 [9]
表:主な治療と下痢の傾向(概要)
| 治療区分 | 下痢の起こりやすさ | 備考 |
|---|---|---|
| 化学療法(一般) | よくある副作用 | 腸粘膜刺激により出現、食事・止瀉薬で多くは改善。 [1] [2] |
| HER2標的治療(トラスツズマブ等) | 発生率上昇の報告あり | グレード3–4の増加報告、併用化学療法で頻度増。 [4] [5] |
| ペルツズマブ併用 | 代表的な有害事象 | 複数試験で一貫して下痢が問題となりうる。 [PM8] [PM7] |
| ネラチニブ | 比較的高頻度 | 予防・管理計画が重要、継続に影響。 [PM11] |
| 免疫療法 | 中~重症例あり | 管理方針が異なるため専門的評価が必要。 [10] |
受診時に伝えると良いこと
- 下痢の開始時期、1日の回数、便の性状(水様・血便の有無)
- 食事・水分・市販薬(ロペラミド等)の使用量と効果
- 発熱、腹痛、めまい、尿量減少などの随伴症状
- 直近の治療内容(薬剤名、スケジュール)
まとめ
乳がん治療に伴う下痢は比較的よく見られる副作用で、水分補給・食事調整・ロペラミドなどの止瀉薬で多くは安全に管理できます。 [1] [2] ただし、水様便が同日に3回以上、2日以上続く、血便や持続する肛門部症状、脱水サインがある場合は、速やかに医療機関へ連絡して適切な治療を受けることが大切です。 [7] [8] [9] 重症例ではオクトレオチドや点滴補液などの専門的管理が検討されます。 [PM24] [PM25]
もっと知りたいことがあれば、いつでも気軽に聞いてください。
関連する質問
出典
- 1.^abcdefNeoadjuvant Therapy for Breast Cancer: What It Is, How To Manage Side Effects, and Answers to Common Questions(mskcc.org)
- 2.^abcdefghAdjuvant Therapy for Breast Cancer: What It Is, How To Manage Side Effects, and Answers to Common Questions(mskcc.org)
- 3.^↑779-Treatment induced diarrhoea | eviQ(eviq.org.au)
- 4.^abKANJINTI- trastuzumab-anns injection, powder, lyophilized, for solution(dailymed.nlm.nih.gov)
- 5.^abHERZUMA- trastuzumab kit HERZUMA- trastuzumab injection, powder, lyophilized, for solution(dailymed.nlm.nih.gov)
- 6.^↑779-Treatment induced diarrhoea | eviQ(eviq.org.au)
- 7.^abcTreatment for Advanced Breast Cancer(mskcc.org)
- 8.^abcdeTreatment for Advanced Breast Cancer(mskcc.org)
- 9.^abcManaging Diarrhea(mskcc.org)
- 10.^ab779-Treatment induced diarrhoea | eviQ(eviq.org.au)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。