Medical illustration for 米国NIHの資料に基づく | ループス(全身性エリテマトーデス)で手足のしびれやピリピリする感覚はどのくらい一般的で、原因や考えられる神経合併症、受診の目安は何ですか? - Persly Health Information
Persly 医療専門チームPersly 医療専門チーム
2026年2月16日5分で読める

米国NIHの資料に基づく | ループス(全身性エリテマトーデス)で手足のしびれやピリピリする感覚はどのくらい一般的で、原因や考えられる神経合併症、受診の目安は何ですか?

要点:

SLEでは手足のしびれ・ピリピリは末梢神経障害によって起こりうる症状で、患者全体の約5〜6%にみられます。小線維ニューロパチーなど感覚優位の障害もあり、自己免疫以外の薬剤や腎・肝障害など多因子が原因となるため、持続・悪化・左右性のあるしびれは受診が推奨されます。突然の片側麻痺や言語障害、強い頭痛を伴う場合は緊急受診が必要です。

手足のしびれ・ピリピリ(異常感覚)は、ループス(全身性エリテマトーデス:SLE)でもみられることがあり、末梢神経の障害(末梢神経障害/ニューロパチー)が原因の一つになりえます。大規模研究では、SLE全体の約5〜6%に末梢神経障害がみられ、そのうち一部は「小線維ニューロパチー(痛みを伴いやすいタイプ)」など感覚優位の障害を呈します。 [1] 末梢神経障害は自己免疫(ループス)以外にも腎・肝障害、薬剤、毒素、他の自己免疫疾患など多様な原因で起こり得るため、持続するしびれは評価が推奨されます。 [2] [3]


どのくらい一般的か(有病率)

  • 全体頻度

    • 大規模コホート(2,097例・25年観察)では、SLE患者の5.9%に末梢神経障害が確認されました。 [1]
    • そのうち約2/3(66.7%)がSLE自体に起因すると判定されました。 [1]
  • 小線維ニューロパチー(痛み型)

    • SLEに起因する末梢神経障害の約17%で小線維ニューロパチーが認められ、焼けるような痛みやピリピリなどの感覚症状が主体で、一般的な検査(神経伝導検査)で捉えにくいことがあります。 [1]
    • 痛みが“靴下手袋型”に限られない(非定型分布)場合もあります。 [1]

原因とメカニズムの考え方

  • SLE関連(自己免疫)

    • 自己抗体や炎症による神経の障害で、感覚神経が主に侵されるとしびれ、ピリピリ、痛みが前景に出ます。 [1]
    • 小線維(痛覚・温度感覚・自律神経に関わる細い神経)の障害では、激しい灼熱痛・ピリピリが生じ、発汗機能異常など自律神経症状が伴うこともあります。 [1] [4]
  • SLE以外の併存因子

    • 他の自己免疫疾患(シェーグレン症候群、関節リウマチなど)、腎・肝疾患、特定の薬剤、毒物曝露、アルコールなども末梢神経障害の原因になり得ます。 [2] [3]
    • SLE患者では帯状疱疹の既往や感染症リスクが高い群で末梢神経障害が多かったという観察もあります。 [1]

起こりうる神経合併症のタイプ

  • 多発単神経炎(モノニューロパチー・マルチプレックス)

    • 複数の神経が斑状に障害され、左右非対称のしびれ・痛み・筋力低下が出ることがあります。
    • 結合組織疾患(例:SLE)が原因の一つとして知られています。 [5]
  • 遠位対称性多発ニューロパチー

    • 足先から始まる“靴下手袋型”のしびれ・ピリピリ・痛みが典型で、進行すると手にも広がります。 [6] [7]
  • 小線維ニューロパチー

    • 鋭い痛み、灼熱感、ピリピリが目立ち、筋力低下は目立たないのが一般的です。 [4]
    • 通常の神経伝導検査で異常が出にくいため、皮膚生検(表皮内神経線維密度)、発汗機能検査(QSART)などの追加評価が役立つことがあります。 [4]
  • その他(自律神経障害など)

    • 発汗異常、立ちくらみ、温度感覚の異常などがみられることがあります。 [7]

症状のチェックポイント

  • よくある症状

    • 手足のしびれ、ピリピリ、焼けるような痛み、感覚鈍麻(触ってもわかりにくい)、冷温感の異常など。 [6] [7]
    • 傷や熱さを感じにくくなると、二次的な怪我のリスクが上がります。 [6] [7]
  • 危険サイン(すぐの受診がすすめられる場面)

    • 症状が突然出現した、片側の手足全体に及ぶ、言葉が出にくい・顔の片側の下がり・強い頭痛などを伴う場合は、脳卒中などの緊急疾患を除外するため早急な対応が必要です。 [8] [9]
  • 外来受診の目安

    • 原因不明で持続するしびれ・ピリピリ、徐々に広がる/悪化する、左右両側に出る、反復する、特定の動作と関連、一部の指・足趾に限局などは、医療機関での評価が勧められます。 [10] [11]
    • 歩行時に悪化する下肢のしびれ、首・腕の痛みを伴う、めまい・筋痙攣・発疹などを伴う場合も相談をおすすめします。 [12]

診断の流れ(参考)

  • 問診・診察:症状の分布、経過、関連因子(新規薬剤、感染、代謝異常など)を確認します。
  • 神経伝導検査/筋電図(NCS/EMG):中・大線維の障害評価に有用です。 [13]
  • 追加検査:小線維が疑われる場合は皮膚生検(表皮内神経線維密度)や自律神経機能検査(QSARTなど)を検討します。 [4]
  • 原因検索:自己免疫、腎・肝機能、ビタミン、糖代謝、感染、薬剤歴などを確認します。 [2] [3]

治療とセルフケアのヒント

  • 原因治療

    • SLE活動性が関与する場合は、膠原病内科での疾患コントロールが重要です(免疫調整治療など)。
    • 併存要因(例:糖代謝異常、腎・肝障害、薬剤性、感染など)の是正も大切です。 [2] [3]
  • 症状緩和

    • 神経障害性疼痛に対しては、一般に適切な鎮痛薬・神経調整薬が用いられます(医師と相談)。
    • 皮膚・足のケア、怪我予防、温度管理は二次障害の予防に役立ちます。 [6] [7]
  • 生活面の工夫

    • アルコール制限、禁煙、バランスの良い食事、適度な運動は神経の健康維持に寄与します。 [13]

まとめ

  • SLEでは約5〜6%に末梢神経障害がみられ、しびれ・ピリピリが症状として出ることがあります。 [1]
  • 小線維ニューロパチーのように痛みが主体で、通常検査で見つかりにくいタイプも一定数あります。 [1] [4]
  • 自己免疫以外の原因も多いため、原因不明で続く・広がる・反復するしびれは医療機関での評価が勧められます。 [10] [11]
  • 突然の麻痺や言語障害などの神経症状があれば、緊急受診が必要です。 [8] [9]

受診のチェックリスト(保存版)

  • 次のいずれかに当てはまる場合は受診を検討しましょう。
    • しびれ・ピリピリが数日以上続く/徐々に悪化する。 [10] [11]
    • 症状が左右両側または範囲が広がる。 [10] [11]
    • 歩くと悪化する下肢のしびれ、首・腕の痛みを伴う。 [12]
    • 発疹、めまい、筋痙攣などを伴う。 [12]
    • 症状が突然出た、一側の手足全体、言語障害・強い頭痛を伴う(救急)。 [8] [9]

よくある質問Q&A

  • Q:しびれが軽い日もあるけど様子見でいい?

    • A:自然に改善しても、反復・持続するなら一度相談が安心です。 原因が特定できると対処が早まります。 [10] [11]
  • Q:検査で異常なしと言われたのに痛いのはなぜ?

    • A:小線維の障害は一般的な神経伝導検査で出にくいことがあります。 皮膚生検や自律神経検査が役立つ場合があります。 [4]

参考データ(構造化まとめ)

項目ポイント
SLEでの末梢神経障害頻度約5.9%(大規模コホート、25年観察) [1]
SLE起因の割合末梢神経障害例の約66.7% [1]
小線維ニューロパチーSLE起因例の約17.1%、痛み主体、非定型分布あり [1]
代表症状しびれ・ピリピリ・灼熱痛、感覚低下、温度感覚異常 [6] [7]
検査NCS/EMG(中・大線維)、皮膚生検/QSART(小線維) [13] [4]
受診の目安持続・悪化・左右性・反復・特定動作関連などで受診を検討 [10] [11]
緊急受診サイン突発、片側手足全体、言語障害・激しい頭痛などを伴う [8] [9]
その他の原因自己免疫、腎・肝疾患、薬剤、毒物、アルコールなど [2] [3]

しびれが続く場合は、無理をせず早めに相談して原因を一緒に確認していきましょう。

関連する質問

関連記事

出典

  1. 1.^abcdefghijklmPeripheral neuropathies in systemic lupus erythematosus: clinical features, disease associations, and immunologic characteristics evaluated over a twenty-five-year study period.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  2. 2.^abcdePeripheral Nerve Disorders(medlineplus.gov)
  3. 3.^abcdeSymptoms and causes - Mayo Clinic(mayoclinic.org)
  4. 4.^abcdefgSmall Fiber Neuropathy(stanfordhealthcare.org)
  5. 5.^Mononeuritis múltiple: MedlinePlus enciclopedia médica(medlineplus.gov)
  6. 6.^abcdePeripheral Nerve Disorders(medlineplus.gov)
  7. 7.^abcdefEnfermedades del sistema nervioso periférico(medlineplus.gov)
  8. 8.^abcdNumbness in hands When to see a doctor(mayoclinic.org)
  9. 9.^abcdNumbness When to see a doctor(mayoclinic.org)
  10. 10.^abcdefNumbness in hands When to see a doctor(mayoclinic.org)
  11. 11.^abcdefNumbness When to see a doctor(mayoclinic.org)
  12. 12.^abcNumbness and tingling: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
  13. 13.^abcPeripheral Nerve Disorders(medlineplus.gov)

ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。