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2026年2月16日5分で読める

PubMedの資料に基づく | ループス(全身性エリテマトーデス)では嚥下困難が起こることはありますか?主な原因、関連症状、受診の目安や治療法は何ですか?

要点:

SLEでも嚥下困難は起こり得、食道運動障害(ときに痙攣)、GERD/食道炎、免疫性消化管運動障害、筋炎の併発、薬剤性などが原因となります。胸やけや食物のつかえ、むせ、体重減少などを伴う場合は受診し、内視鏡・食道マノメトリー・嚥下造影・pH検査等で評価します。原因に応じてPPIや平滑筋弛緩薬、免疫療法、嚥下リハ・栄養管理、生活調整などを組み合わせて治療します。

ループス(全身性エリテマトーデス)と嚥下困難:起こり得る原因・症状・受診の目安・治療

ループス(全身性エリテマトーデス:SLE)では、嚥下困難(飲み込みにくさ)が起こることがあり、原因は多岐にわたります。 特に食道や咽頭の筋肉・神経の機能障害、胃食道逆流症(GERD)、薬剤の副作用などが関与します。 [1] 嚥下困難はSLEだけでなく他の膠原病でもみられますが、SLEでは重い食道運動障害は比較的少なめで、蠕動(食道の送り出し運動)の軽度異常が中心とされます。 [2]


起こり得る主な原因

  • 食道運動障害(食道の筋肉の収縮異常)

    • SLEでは食道の蠕動の異常がみられることがあり、飲み込みにくさや胸のつかえ感につながります。 [2]
    • まれにびまん性食道痙攣が起き、嚥下困難と非典型的な胸痛を繰り返すことがあります。 [3]
  • 胃食道逆流症(GERD)や食道炎

    • 胃酸の逆流で食道粘膜が傷み、狭窄や痙攣の誘因となり固形物の嚥下が難しくなることがあります。 [4]
  • 免疫関連の食道・消化管病変

    • 好酸球性食道炎など免疫性疾患で食道に好酸球が蓄積し、嚥下困難を起こすことがあります。 [4]
    • 自律神経や腸の運動が障害される自己免疫性消化管運動障害(AGID)の枠組みで、消化管の蠕動低下や機能不全が生じることがあります。 [5] [6] [7] [8]
  • 筋炎の併存(多発筋炎・皮膚筋炎)

    • SLEの人は多発筋炎などの炎症性筋疾患を合併するリスクがあり、食道・咽頭の筋力低下による嚥下困難が起こり得ます。 [9] 嚥下障害が進むと栄養不良や誤嚥性肺炎の原因になります。 [9]
  • 薬剤性

    • 一部の向精神薬(例:ハロペリドール)などで重い嚥下障害が悪化し得ることが報告されており、薬剤変更で改善する場合があります。 [10]
  • まれな合併症

    • 大動脈瘤による食道圧迫(嚥下性大動脈症)がSLEの若年女性でも起こり得るとされ、見逃されやすいことがあります。 [11]

関連しやすい症状

  • 食べ物が喉や胸の途中で止まる感じ、固形物で悪化しやすい嚥下困難。 [4]
  • 胸やけ・逆流感・口内の酸味(GERDのサイン)。 [4]
  • 飲み込み時の咳き込み・むせ、食後の嗚咽や逆流。 [4]
  • 体重減少、栄養不足、食事時間の延長。 [4]
  • 胸痛(非狭心症性)、ときに間欠的な激しい胸痛(食道痙攣)。 [3]

受診の目安(緊急度の判断)

  • 次のサインがある場合は、すぐに医療機関へ(救急を含む):

    • 息がしにくい、気道閉塞の疑いがある。 [12]
    • 血を吐く/咳に血がまじる。 [13]
    • 高熱や呼吸困難、誤嚥性肺炎が疑われる。 [13]
    • 嚥下困難が急速に悪化、体重が減っている。 [13] [12]
  • 上記に当てはまらなくても、嚥下困難が続く/繰り返す、逆流・嘔吐を伴う場合は、耳鼻咽喉科・消化器内科・神経内科などへの受診が勧められます。 [14] 日常的な工夫(食事の形態調整など)を試しても改善しない場合も受診が目安です。 [15]


診断の進め方

  • 問診・診察:症状の経過、食事形態(固形 vs 液体)、薬剤歴、胸痛・逆流の有無を確認します。 [14]
  • 上部内視鏡(胃カメラ):逆流性食道炎、狭窄、好酸球性食道炎などの粘膜病変を評価します。 [4]
  • 食道マノメトリー(圧測定):蠕動低下や食道痙攣などの運動障害の特定に有用です。 [2] [3]
  • 食道造影(嚥下造影):構造的狭窄や通過障害の評価に用います。 [4]
  • pH・インピーダンス検査:酸・非酸逆流の評価でGERDの関与を判断します。 [4]
  • 合併症が疑われる場合は胸部画像(大動脈瘤などの圧迫評価)。 [11]
  • 筋炎が疑われる場合は筋酵素・筋電図・筋MRI、言語聴覚士による嚥下評価も考慮されます。 [16]

治療と対処法

原因に応じた治療

  • GERD・食道炎に対して

    • 生活調整(就寝前の飲食回避、体位工夫)、酸分泌抑制薬(PPI等)、食道狭窄があれば拡張術が検討されます。 [4] [17]
  • 食道運動障害(痙攣・蠕動異常)に対して

    • 痙攣緩和を目的とした平滑筋弛緩薬やカルシウム拮抗薬が使われることがあります(専門医判断)。 [3]
    • 難治例ではボツリヌス毒素局注や特定の内視鏡治療が検討されることがあります(疾患・所見により選択)。 [17]
  • 免疫性・自己免疫性の消化管運動障害(AGID)

    • ステロイドや免疫療法(IVIgなど)で機能回復が得られることがあり、神経自己抗体の評価と消化管運動検査を組み合わせて治療計画を立てます。 [5] [6] [7] [8]
  • 筋炎の併存による嚥下障害

    • ステロイド・免疫抑制薬・IVIgなどの免疫治療に加え、言語療法(嚥下訓練)、栄養管理を行います。 [16] [18]
  • 薬剤性が疑われる場合

    • 原因薬の減量・中止・切り替えで改善が期待できます。 [10]

生活の工夫・支持療法

  • 食事の形態調整:一口量を少なく、よく噛み、ゆっくり食べる、固形で詰まりやすい場合は柔らかい食材へ変更。 [15]
  • 液体のとろみ付け:液体でむせる場合はとろみ剤で飲み込みやすく。 [15]
  • 体位の工夫:食後すぐ横にならない、上体を少し起こして食事。 [15]
  • 栄養管理:管理栄養士の助言で十分なカロリー・タンパク質を確保し、必要に応じ栄養補助食品を活用。 [17]
  • リハビリテーション:言語療法(嚥下訓練)で安全な飲み込み方を習得。 [16]

病診連携と受診先

嚥下困難の原因は複数領域にまたがるため、消化器内科(食道評価)、耳鼻咽喉科(咽頭・喉頭)、神経内科(神経・自律神経)、膠原病内科(SLE管理)の連携が重要です。 [14] 検査で原因を絞り込み、個別化した治療を組み合わせることで改善が期待できます。 [5] [6] [7] [8]


まとめ

  • SLEでも嚥下困難は起こり得ますが、重度の食道機能障害は比較的少なく、食道蠕動の軽度異常やGERDなどが関与することが多いです。 [2] [4]
  • 原因は、食道運動障害(ときに痙攣)、GERD/食道炎、免疫性消化管運動障害、筋炎の併発、薬剤性など多岐にわたります。 [3] [4] [5] [9] [10]
  • 呼吸困難、吐血、発熱・誤嚥疑い、体重減少などがある場合は早急に受診し、必要な検査(内視鏡、食道マノメトリー、pH検査、嚥下造影など)で原因を特定します。 [13] [12] [3] [2]
  • 原因に応じた薬物療法(PPI、平滑筋弛緩薬、免疫療法など)と、嚥下リハ・栄養管理・生活調整を組み合わせることで多くの場合改善が期待できます。 [4] [5] [16] [18] [15] [17]

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出典

  1. 1.^Esophageal dysfunction in patients with mixed connective tissue diseases and systemic lupus erythematosus.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  2. 2.^abcdeEsophageal motility disorders in the rheumatic diseases: a review of 150 patients.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  3. 3.^abcdefEsophageal motor dysfunction in systemic lupus erythematosus. Two cases with unusual features.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  4. 4.^abcdefghijklmDysphagia - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
  5. 5.^abcdeExpanding insights into autoimmune GI dysmotility(mayoclinic.org)
  6. 6.^abcExpanding insights into autoimmune GI dysmotility(mayoclinic.org)
  7. 7.^abcExpanding insights into autoimmune GI dysmotility(mayoclinic.org)
  8. 8.^abcExpanding insights into autoimmune GI dysmotility(mayoclinic.org)
  9. 9.^abcSymptoms and causes - Mayo Clinic(mayoclinic.org)
  10. 10.^abcSevere dysphagia associated with major tranquillizer treatment.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  11. 11.^abDysphagia as the mere chief complaint of ruptured thoracic aneurysm in a patient with systemic lupus erythematosus.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  12. 12.^abcDysphagia - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
  13. 13.^abcdSwallowing difficulty: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
  14. 14.^abcDiagnosis and treatment - Mayo Clinic(mayoclinic.org)
  15. 15.^abcdeDiagnosis and treatment - Mayo Clinic(mayoclinic.org)
  16. 16.^abcdDiagnosis and treatment - Mayo Clinic(mayoclinic.org)
  17. 17.^abcdTypes(stanfordhealthcare.org)
  18. 18.^abDiagnosis and treatment - Mayo Clinic(mayoclinic.org)

ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。