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2026年2月16日5分で読める

PubMedの資料に基づく | ループス(全身性エリテマトーデス)では手足のしびれや感覚鈍麻は一般的な症状ですか?

要点:

ループス(SLE)での手足のしびれ・感覚鈍麻は、全員にみられる典型症状ではありませんが、末梢神経障害として約5~20%で報告されています。多くは足先から始まる左右対称の感覚優位ポリニューロパチーや小繊維神経障害で、持続・進行時は神経内科でNCS/EMG等の検査を受け原因を特定し治療します。

ループス(全身性エリテマトーデス)における手足のしびれ・感覚鈍麻の位置づけ

ループスで手足のしびれや感覚鈍麻(末梢の感覚障害)は「よくある一般的症状」とまでは言い切れませんが、神経系が影響を受けるケースの中では一定の頻度でみられる症状です。 [1] 神経合併症の全体像には中枢神経(けいれん、記憶・行動の変化)から末梢神経(しびれ・感覚鈍麻)まで幅広いスペクトラムが含まれます。 [2]


症状の頻度と特徴

  • 末梢神経障害(ポリニューロパチーなど)の頻度は、研究・診断基準や対象集団によって差がありますが、神経伝導検査などの電気生理学的検査を用いると、SLE患者の約15~21%に多発末梢神経障害が確認されたと報告されています。 [3] [4] これらは多くが左右対称で、足の先から始まる「長さ依存性」の感覚優位の障害(しびれ、痛み、触覚低下)として現れます。 [3]
  • 大規模コホートでは、SLE全体の中で末梢神経障害が約5.9%に認められ、そのうち「小繊維神経障害(small-fiber neuropathy)」という痛みを主体とするタイプが約17%を占めるとされています。 [5] 小繊維神経障害では、典型的な「手袋・靴下型」に限らない不均一な痛みのパターンがみられることがあります。 [5]

なぜ起こるのか(メカニズム)

  • ループスの免疫異常は、神経細胞や支持構造に対する自己抗体やサイトカインの作用によって直接的に神経機能を乱すことがあります。 [6]
  • もう一つの重要な機序は、神経を栄養する微小血管(vasa nervorum)の炎症による虚血性障害で、局所の低酸素が末梢神経線維を傷つけます。 [7]
  • このため、末梢神経障害の臨床像は「感覚優位の左右対称性ポリニューロパチー」「単神経障害(例:手根管に似た片側のしびれ)」「小繊維痛覚障害」など多様です。 [7]

典型的な症状のサイン

  • 指先・足先のしびれ、ピリピリ感(異常感覚)、灼熱感、痛み。 [3]
  • 触覚や痛覚が鈍くなる、温冷が分かりにくい。 [3]
  • 腱反射の低下(例:アキレス腱反射が弱い)。 [3]
  • 症状は下肢遠位から始まり、徐々に上行する傾向(長さ依存性)がよく見られます。 [3]

「一般的症状」かどうかの整理

  • ループスの症状は非常に多様で、関節痛・皮疹・口内炎・疲労などがよく見られますが、神経症状もときどき出現します。 [1]
  • 神経系の中でも末梢神経障害は「ありえる合併症」で、集団によっては10~20%前後の割合が報告されており、「稀ではないが、全員に起こるわけではない」程度の頻度感と捉えるとバランスがよいです。 [4] [3]
  • 遺伝情報の観点でも、ループスでは異常感覚や四肢の筋力低下を伴う末梢神経障害が起こりうるとされています。 [2]

受診・検査の目安

  • しびれや感覚鈍麻が数週間以上続く、夜間悪化する、歩行の安全性に影響する、片側性で進行する、急に悪化した――こうした場合は神経内科受診を検討してください。 [7]
  • 評価には、神経診察、神経伝導検査(NCS)や筋電図(EMG)、振動覚閾値検査などが有用です。 [4] 必要に応じて小繊維神経障害を疑う場合は皮膚生検で神経線維密度を調べることもあります。 [5]

似た症状を起こす他の原因にも注意

  • 糖尿病、甲状腺機能異常、腎・肝疾患、ビタミン欠乏、薬剤性、アルコール、多発性疾患などでも末梢神経障害は起こります。 [8]
  • ループス治療薬や免疫抑制状態に伴う感染(例:帯状疱疹)などが契機となることもあり、背景の見極めが大切です。 [5]

治療とセルフケアのヒント

  • 原因がループス活動性や血管炎であれば、主治医と相談の上で免疫治療(ステロイド、免疫抑制薬、IVIGなど)を検討することがあります。 [7]
  • 痛みやしびれに対しては、神経障害性疼痛薬(例:ガバペンチン、プレガバリン、デュロキセチンなど)や局所対策が役立つことがあります。 [5]
  • 足の保護(靴の見直し、足裏のチェック)、転倒予防、適度な運動療法、冷え対策は症状緩和に有益です。 [3]

まとめ

  • ループスで手足のしびれ・感覚鈍麻は、神経系の関与として「一定の頻度で見られる合併症」であり、左右対称の感覚優位のポリニューロパチーや小繊維神経障害として現れることが多いです。 [3] [5]
  • 一方で、全員に起こる「典型症状」とは言えず、個々の患者さんで程度や原因は大きく異なります。 [1]
  • 気になるしびれや感覚低下が続く場合は、神経学的評価と電気生理検査を含む精査によって、ループス自体によるものか、他の要因かを見極めることが大切です。 [4] [7]

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出典

  1. 1.^abcSystemic lupus erythematosus: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
  2. 2.^abSystemic lupus erythematosus: MedlinePlus Genetics(medlineplus.gov)
  3. 3.^abcdefghiClinical and electrophysiological characteristics of symmetric polyneuropathy in a cohort of systemic lupus erythematosus patients.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  4. 4.^abcdPeripheral neuropathy in systemic lupus erythematosus.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  5. 5.^abcdefPeripheral neuropathies in systemic lupus erythematosus: clinical features, disease associations, and immunologic characteristics evaluated over a twenty-five-year study period.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  6. 6.^Systemic lupus erythematosus: immunopathogenesis of neurologic dysfunction.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  7. 7.^abcde[Involvement of the peripheral nervous system in systemic connective tissue diseases: report on clinical cases].(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  8. 8.^Peripheral Nerve Disorders(medlineplus.gov)

ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。