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2026年2月16日5分で読める

米国NIHの資料に基づく | 全身性エリテマトーデス(ループス)で吐き気(悪心)が生じる主な原因と、どのような場合に受診すべきかを教えてください。

要点:

SLE(ループス)での吐き気は、腸間膜血管炎や腹膜炎などの消化管病変、膵炎、感染症、免疫抑制薬などの副作用が主な原因です。激しい腹痛や持続する嘔吐、発熱・脱水、背部へ放散する上腹部痛、薬開始後の強い悪心は早期受診(救急含む)のサインです。自宅では水分補給や少量頻回食を心がけ、薬剤性が疑われる場合は独断中止せず主治医に相談してください。

全身性エリテマトーデス(SLE/ループス)で吐き気(悪心)が起こりうる主な原因は、病気そのものによる消化管の炎症・血管炎、漿膜炎(腹膜炎)、膵炎などの臓器合併症に加えて、感染症や内服薬の副作用など複数が考えられます。多くの場合、消化器症状はSLEの活動性(いわゆる“フレア”)や薬剤、感染が関与するため、症状の背景を丁寧に見極めることが大切です。 [1] [2]


よくある原因

  • SLE関連の消化管病変

    • 腸間膜血管炎(ループス腸間膜血管炎): 小腸を栄養する血管の炎症で、腹痛とともに吐き気・嘔吐を起こします。画像検査(CT)が診断に有用で、早期のステロイド治療で改善が期待できます。 [2]
    • たんぱく漏出性腸症・腸管偽性閉塞: 吐き気・嘔吐、腹部膨満、下痢などがみられることがあり、SLEの消化器合併症として報告されています。これらも適切な免疫抑制療法に反応しやすいとされています。 [2]
    • SLE関連腹膜炎(漿膜炎): 腹膜の炎症で腹痛や悪心が出ることがあり、SLEの活動性に伴い起こります。中等度〜重症では救急受診の対象になり得ます。 [3] [1]
  • 膵炎

    • SLE自体や薬剤、血栓傾向などが関与しうるとされ、急な上腹部痛と吐き気・嘔吐が特徴です。早期診断と入院管理が必要となることがあります。 [2]
  • 感染症

    • 免疫抑制薬の使用やSLEの免疫異常により胃腸炎などの感染症リスクが上がることがあります。感染はSLEの症状に似ることがあり、発熱・下痢・嘔吐が続く場合は評価が必要です。 [2]
  • 薬剤の副作用

    • メトトレキサート、アザチオプリン、ミコフェノール酸などの免疫抑制薬、さらには抗菌薬などで吐き気・食欲不振・腹痛が見られることがあります。メトトレキサートでは10%前後で悪心・嘔吐が報告されています。 [4] [5]
    • コルチコステロイド(プレドニゾロンなど)は胃部不快感や胃炎を悪化させることがあり、胃腸保護薬の併用が検討されることがあります。 [6]
  • 中枢神経症状・全身症状

    • SLEの活動性が高いと、全身倦怠感や発熱とともに消化器症状(腹痛・吐き気)が現れることがあります。 [7] [1]
  • その他

    • 上腸間膜静脈血栓、肝障害、炎症性腸疾患、セリアック病など、多彩な消化器疾患がSLEに併発することがあり、鑑別には血液・尿検査、便検査、画像検査が役立ちます。 [8] [2]

SLEでみられやすい症状の例

  • SLEでは、関節痛、発熱、倦怠感、体重変化、胸痛、皮疹など多彩な症状が現れ、消化器では腹痛・吐き気・嘔吐が起こりえます。 [7] [1]
  • 口腔内潰瘍、漿膜炎(心膜炎・胸膜炎)など他部位の炎症が併発することも多く、症状の組み合わせから活動性が推測されることもあります。 [9] [1]

受診が必要となるサイン

次のような場合は、早めの受診(場合により救急受診)が勧められます。

  • 激しい腹痛、持続する嘔吐、血便・黒色便、吐血を伴う場合(腸管血管炎、出血、穿孔、腸閉塞などの緊急病態を除外する必要があります)。 [2] [3]
  • 発熱を伴う吐き気・嘔吐、脱水症状(口渇、尿量減少、ふらつき)がある場合(感染症・SLEの高活動性の可能性)。 [2]
  • 背部に放散する上腹部痛と強い吐き気(膵炎を疑います)。 [2]
  • 新規または増量した薬の開始後に吐き気が強い、あるいは薬が飲めないほどの悪心(薬剤性の可能性や内服継続可否の判断が必要)。 [5] [4]
  • SLEのほかの症状(発疹、関節痛、胸痛、息切れ、むくみ)が同時に悪化している場合(全身フレアや多臓器合併症のサイン)。 [7] [1]

自宅でできる対処と注意

  • 水分・電解質補給をこまめに行い、脂っこい食事や刺激物を控え、少量頻回の食事を心がけましょう。(ただし、強い腹痛や嘔吐持続時は飲食を控え受診)
  • メトトレキサートなどでの悪心が疑われる場合、投与日のタイミング調整、葉酸補充の確認、制吐薬の併用などの選択肢があります。独断で中止せず、処方医に相談してください。 [5]
  • 発熱や下痢を伴うときは感染症の可能性もあるため、解熱鎮痛薬や市販薬の使用前に主治医へ連絡すると安心です。 [2]

よくある原因の比較表

想定原因主な症状危険サイン初期対応の目安
腸間膜血管炎(SLE関連)強い腹痛、吐き気・嘔吐、下痢激痛、発熱、血便、脱水早期受診、画像検査、ステロイド治療が有効なことが多い [2]
SLE関連腹膜炎腹痛、悪心、時に発熱痛み増悪、反跳痛受診推奨、活動性評価と治療 [3]
膵炎上腹部痛(背部へ放散)、嘔吐強い痛み、発熱緊急受診・入院で管理 [2]
感染性胃腸炎吐き気、嘔吐、下痢、発熱高熱、血便、脱水受診して検査、補液や抗菌薬検討 [2]
薬剤性(MTX等)悪心、食欲不振、腹痛持続性・重症、内服不可処方医に相談、用量調整・制吐薬等 [5] [4]

まとめ

  • SLEでの吐き気は、病気の活動性に伴う消化管病変(血管炎・腹膜炎など)、膵炎、感染症、薬剤の副作用など複数の要因が関わることが多いです。腹痛や発熱、嘔吐の持続、脱水などを伴う場合は早めの受診が安全です。 [2] [1]
  • 多くの消化器合併症は、迅速な診断とステロイドや免疫抑制治療で改善が見込めます。一方で、重症化すると命に関わるケースもあるため、危険サインがあれば迷わず医療機関へ相談してください。 [2] [3]

参考になるポイント

  • SLEでは消化器症状(腹痛・悪心・嘔吐)が現れることがあり、とくにフレア時に目立つことがあります。 [1]
  • SLEの治療薬の一部では悪心がよくある副作用として知られており、用量調整や制吐薬の併用、投与タイミング変更などで対処できるケースもあります。 [5] [4]

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出典

  1. 1.^abcdefghSystemic lupus erythematosus: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
  2. 2.^abcdefghijklmnoGastrointestinal involvement in systemic lupus erythematosus: insight into pathogenesis, diagnosis and treatment.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  3. 3.^abcd약학정보원(health.kr)
  4. 4.^abcdLupus-Lupus - Diagnosis & treatment - Mayo Clinic(mayoclinic.org)
  5. 5.^abcdeMethotrexate  Tablets  USP(dailymed.nlm.nih.gov)
  6. 6.^Systemic lupus erythematosus: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
  7. 7.^abcSystemic lupus erythematosus: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
  8. 8.^Clinical analysis of systemic lupus erythematosus with gastrointestinal manifestations.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  9. 9.^Systemic lupus erythematosus: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)

ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。