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2026年2月16日5分で読める

PubMedの資料に基づく | ループス(全身性エリテマトーデス)では、めまいはどのような機序や合併症で生じ、どのような随伴症状があれば受診の目安になりますか?

要点:

SLE(全身性エリテマトーデス)のめまいは、自己免疫による内耳障害(メニエール病様)、中枢神経障害、血管合併症、薬剤性など多因子で生じます。耳鳴り・耳閉感・難聴を伴う反復する回転性めまいは耳鼻科受診、片麻痺・構音障害・複視・激しい頭痛・けいれん等を伴えば救急受診が目安です。発熱・皮疹・関節痛・尿異常を同時に認める場合は病勢悪化の可能性があり、主治医へ早期相談しましょう。

ループス(全身性エリテマトーデス)のめまい:機序・合併症・受診の目安

ループス(全身性エリテマトーデス:SLE)では、免疫の異常による全身性炎症が脳・血管・内耳などに影響し、回転性めまい(グルグルする)、ふらつき、立ちくらみなどの形で現れることがあります。SLEの活動性(「病勢の強さ」)や併存症によって原因は複数あり、内耳性(末梢性)と中枢性の両方が関わり得ます。SLEは血管・神経・腎臓・心臓など多臓器に波及するため、めまいが他の症状と組み合わさる場合は重症原因のサインになることがあります。SLEは脳・神経系、血管、内耳、心臓などさまざまな臓器を侵します。 [1] SLEが神経系を侵すとけいれんや精神症状が出ることがあります。 [2]


主な機序(なぜめまいが起きるか)

  • 内耳(聴覚・前庭系)への自己免疫性障害

    • SLEでは内耳の聴力系(蝸牛)と平衡系(前庭)が障害され、感音難聴や発作性のめまいとして現れることがあります。これは自己免疫による炎症・循環障害・免疫複合体の沈着などが背景にあると考えられています。 [3]
    • メニエール病様の前庭発作(耳鳴り・耳閉感・難聴を伴う反復する回転性めまい)を示すSLEの一群が報告されており、SLEとめまい・感音難聴は同じ内耳障害の表現型として相関します。 [4]
  • 自己免疫性内耳炎(AIED)/内リンパ水腫(メニエール病機序)

    • メニエール病は自己免疫反応と関連することがあり、SLEなどの自己免疫疾患に合併しやすいとされています。メニエール病では内リンパ液が過剰にたまり、発作性の回転性めまい・耳鳴り・難聴を起こします。 [5] メニエール病は自己免疫疾患があるとリスクが高くなります。 [6]
  • 中枢神経系の関与(中枢性めまい)

    • SLEが脳や脊髄など中枢神経に及ぶと、炎症・血管炎・微小梗塞などでめまい、複視、構音障害、失調などが起きることがあります。SLEでは脳・神経系の広範な症状(頭痛、痙攣、精神症状など)が知られ、病勢が高いときに併発しやすい傾向があります。 [7] SLEで神経系が侵される場合は、けいれんや精神症状などの神経症状が出現し得ます。 [2]
    • 方向が変わる自発眼振・誘発眼振などの所見が、SLEの急性期に一過性に観察されることがあり、短時間の均質なめまいエピソードが見過ごされがちだと指摘されています。 [8]
  • 血管合併症(血栓・血管炎)

    • SLEでは大小さまざまな血管に炎症や血栓が生じ、脳血管障害(脳梗塞など)につながることがあります。これは突然のめまいに加え、麻痺や言葉が出にくいなどの神経欠落症状を伴うことがあります。 [7] SLEでは血管の炎症や血栓症が合併し得ます。 [9]
  • 薬剤性(治療薬の影響)

    • 小児を含むSLE治療では、一部薬剤の耳毒性が聴覚・前庭機能に影響することがあり、病勢の急性期や治療中は定期的な聴覚・前庭評価が推奨されます。 [10]

合併しやすい障害と随伴症状

  • 内耳性(末梢性)

    • 感音難聴(片側または両側)、耳鳴り、耳閉感、音が歪んで聞こえる、反復する回転性めまい。これらが同時・反復する場合、内耳の自己免疫性障害やメニエール病様病態が疑われます。 [4] メニエール病では耳鳴り・難聴が随伴し、自己免疫疾患でリスクが高まります。 [5] [6]
  • 中枢性(脳・小脳・脳幹)

    • ふらつきが強い、歩行時に左右によろける、複視(物が二重に見える)、構音障害(言葉がもつれる)、嚥下困難、片麻痺、感覚低下、激しい頭痛、意識の混濁、けいれん、精神症状(幻覚・妄想など)。SLEではこうした神経症状が出ることがあり、緊急評価が必要なことが多いです。 [7] SLEの神経系障害では痙攣や精神症状が起こり得ます。 [2]
  • 全身炎症や循環のサイン

    • 発熱、著明な疲労、皮疹(日光で悪化)、関節痛・腫れ、胸痛(心膜炎・心筋炎)、動悸、腎臓の影響(むくみ、尿の泡立ち=蛋白尿)。SLEは腎・心・血管・神経など多臓器に波及するため、めまいがこれらと同時に起きる場合は病勢上昇の可能性があります。 [1] SLEは腎や心臓などにも影響します。 [9] SLEでは腎障害(ループス腎炎)を来しうるため、全身症状の変化にも注意が必要です。 [11]

受診の目安(緊急・早期受診が望ましいサイン)

  • 今すぐ救急受診が望ましいサイン(中枢性・血管性を疑う場合)

    • 突然の激しいめまいに加えて、片側の手足の脱力・しびれ、顔の歪み、ろれつが回らない、視野の欠け・複視、強い頭痛、意識が遠のく、けいれんなどを伴う場合。これらは脳梗塞や中枢神経ループスの可能性があり、緊急の評価(脳画像など)が必要です。 [7] SLEでは神経系の広範な症状(頭痛、痙攣、局所梗塞など)が起こり得ます。 [12]
  • 数日以内に耳鼻科・神経内科を受診したいサイン(内耳性を疑う場合)

    • 回転性めまいが反復する、耳鳴り・耳閉感・難聴を伴う、発作が数十分〜数時間続くなどのメニエール病様パターン。SLEの方では自己免疫性内耳障害が背景にあることがあり、早期の聴力検査・前庭機能検査が役立ちます。 [4] メニエール病は自己免疫疾患でリスクが上がるため、早めの評価が推奨されます。 [5] [6]
  • 主治医(膠原病科)へ早めに相談したいサイン(病勢悪化の可能性)

    • めまいに加えて、新しい関節痛や皮疹、発熱、強い倦怠感、胸痛、むくみや尿の異常が出てきた場合。これはSLE活動性の上昇や多臓器への波及の可能性があり、治療調整(ステロイド・免疫抑制薬の見直しなど)が必要になることがあります。SLEは腎・心・肺・神経など広範囲に影響します。 [1] SLEでは腎炎や心臓・血管炎などの重症合併症が起こり得ます。 [9] 尿異常や腎炎が示唆される場合は速やかな対応が重要です。 [11]

診断・検査で考慮されること

  • 耳鼻科的評価

    • 聴力検査(オージオグラム)、前庭機能検査(眼振検査、カロリックテスト、ビデオ眼球運動検査)により、感音難聴や前庭障害を客観的に把握します。SLEでは聴覚・前庭の定期評価が推奨されます。 [3] 病勢の増悪時には内耳機能の評価を行う意義が高いです。 [10]
  • 神経内科的評価

    • 神経診察、脳MRI(炎症・虚血・出血の評価)、必要に応じて脳血管画像、自己抗体(抗リン脂質抗体など)評価、凝固系検査などを行い、中枢神経ループスや脳血管障害を鑑別します。SLEで中枢神経が疑われるときはMRIなどの画像検査が用いられます。 [12]
  • 膠原病科での全身評価

    • 病勢(活動性)評価、腎機能(尿タンパク・血尿・Cr)、心・肺の評価、治療薬の見直し(耳毒性リスクを含む)など、全身管理が重要です。SLEは腎臓・心臓・血管・神経など多臓器疾患であるため、全身的なアプローチが必要です。 [1] 腎炎や血管炎など重大合併症の監視が求められます。 [9] 尿異常は腎障害のサインであり注意が必要です。 [11]

典型的なパターンと鑑別のポイント(簡易表)

パターン主な症状考えやすい機序受診の目安
メニエール病様発作回転性めまい(数十分〜数時間)、耳鳴り、耳閉感、低音難聴の変動自己免疫性内耳炎/内リンパ水腫数日以内に耳鼻科で精査、膠原病科にも共有(治療調整検討) [5] [6] [4]
末梢性前庭障害反復するめまい、頭位で悪化、聴覚症状の有無は様々内耳の自己免疫・微小循環障害耳鼻科で前庭機能検査と聴力評価 [3]
中枢性めまい強いふらつき、歩行失調、複視、構音障害、片麻痺、けいれん、激しい頭痛中枢神経ループス、脳血管炎・梗塞直ちに救急受診(脳画像・血管評価) [7] [12]
病勢増悪に伴うめまいめまい+発熱、皮疹、関節痛、胸痛、浮腫、尿異常全身炎症・臓器障害(腎・心・血管・神経)早期に主治医へ相談し全身評価 [1] [9] [11]

日常でできるセルフチェック・対策のヒント

  • 症状の記録:発作のタイミング、持続時間、耳鳴り・難聴の有無、頭痛・神経症状の併発、服薬状況を簡単なメモやスマホに記録しておくと診療がスムーズです。SLEではめまいと聴覚症状の連動が診断の鍵になります。 [4]
  • 薬の再確認:新規薬剤開始後に耳鳴りやめまいが増えた場合は耳毒性の可能性もあり、主治医に相談しましょう。小児SLEでは特に耳毒性への配慮が必要とされています。 [10]
  • 活動性の管理:紫外線対策、十分な睡眠、感染予防、主治医の指示どおりの服薬は病勢を落ち着かせ、神経・内耳イベントのリスクを下げるうえで大切です。SLEは全身性自己免疫疾患であり、広範な臓器に影響します。 [1]

まとめ

SLEのめまいは、内耳の自己免疫性障害(メニエール病様を含む)から、中枢神経障害や血管合併症まで幅広い機序で起こり得ます。耳鳴り・耳閉感・感音難聴を伴う反復するめまいは内耳性を示唆し耳鼻科での検査が有用です。 [4] [5] 一方、片麻痺・構音障害・複視・激しい頭痛・けいれんなどを伴えば緊急評価が必要です。 [7] [12] また、めまいに発熱や皮疹・関節痛・尿異常が重なる場合は病勢増悪の可能性があり、早めに主治医へ相談しましょう。SLEは多臓器に影響する慢性自己免疫疾患であり、症状の組み合わせから重症原因を見逃さないことが大切です。 [1] [9] [11]

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出典

  1. 1.^abcdefgDiagnosing Systemic Lupus Erythematosus(nyulangone.org)
  2. 2.^abcDiagnosing Systemic Lupus Erythematosus(nyulangone.org)
  3. 3.^abcHearing and vestibular disorders in patients with systemic lupus erythematosus.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  4. 4.^abcdefHearing and vestibular disorders in patients with systemic lupus erythematosus.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  5. 5.^abcdeMeniere's Disease(stanfordhealthcare.org)
  6. 6.^abcdSymptoms and causes - Mayo Clinic(mayoclinic.org)
  7. 7.^abcdef약학정보원(health.kr)
  8. 8.^[Transient, direction changing spontaneous and provocation nystagmus in the course of visceral lupus erythematosus].(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  9. 9.^abcdefLupus(medlineplus.gov)
  10. 10.^abcFunction of the audiovestibular system in children with systemic lupus erythematosus.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  11. 11.^abcdeDiagnosing Systemic Lupus Erythematosus(nyulangone.org)
  12. 12.^abcdDiagnosing Systemic Lupus Erythematosus(nyulangone.org)

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