
PubMedの資料に基づく | 全身性エリテマトーデス(ループス)で血便は症状として起こりますか?起こる場合に考えられる原因や受診の目安を教えてください。
血便はSLE(ループス)の典型症状ではありませんが、腸管の血管炎(虚血)、薬剤性潰瘍、感染性腸炎、他疾患の併存などで起こり得ます。大量出血・黒色便、強い腹痛や発熱は救急受診の目安で、少量でも反復する場合は消化器内科で採血・便検査・CT・内視鏡などの評価を受けましょう。原因に応じて免疫抑制、胃薬・内視鏡止血、抗菌薬などで治療します。
血便(便に鮮血や暗赤色の血が混じること)は、全身性エリテマトーデス(SLE, ループス)そのものの典型症状ではありませんが、まれにSLEの消化管合併症や治療薬の影響、感染症などで起こることがあります。SLEは全身の臓器に炎症や血管障害を起こしうる疾患で、消化管も例外ではなく、適切に見極めて早めに対応することが大切です。 [1] SLEでは腎臓・肺・心臓・血液など多臓器の異常が起こりえますが、消化管症状も少なくありません。 [1] 血便が出た場合は、SLEの活動性・薬剤・感染など複数の可能性を考え、医療機関で評価を受けることが一般的に推奨されます。 [2]
ありうる原因
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腸管の血管炎(虚血性腸炎・虚血性直腸炎)
SLEの活動が強いと、腸の小血管が炎症で傷み、腸粘膜へ血流が不足して潰瘍や出血を起こすことがあります。 [3] このタイプは頻度は高くありませんが、強い腹痛や下痢、血便で発症し、放置すると重症化することがあります。 [3] ステロイドなどの免疫抑制治療で改善するケースが報告されています。 [3] -
ループス腸管症(腸間膜血管炎など)
SLE関連の消化管合併症の中で比較的多いのは腸間膜の血管炎で、腹痛・下痢・嘔吐などが中心ですが、炎症や潰瘍に伴って出血を伴うこともありえます。 [2] 画像検査(腹部CTなど)が診断の助けになります。 [2] -
薬剤性(NSAIDsやステロイド関連)
SLEでよく用いられる鎮痛薬(NSAIDs)やステロイドは、胃腸粘膜を傷めて潰瘍や出血を起こすことがあります。 [4] 特に長期使用や併用時はリスクが上がるため、胃薬(PPIなど)の併用や服薬見直しが検討されることがあります。 [4] -
感染症による腸炎
SLEの治療で免疫が弱っていると、細菌性・ウイルス性腸炎が起こりやすく、下痢に血が混じることがあります。 [2] 半数以上の消化器症状は薬の副作用や感染が原因とされるため、発熱や腹痛、嘔吐の有無も評価の手がかりになります。 [2] -
炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)など併存
SLEと無関係に、別の消化管疾患が偶然合併して血便を示すケースもあり得ます。 [2] この場合も内視鏡などで鑑別が必要になります。 [2]
すぐ受診すべきサイン
- 大量の血便・黒色便(タール便)や、めまい・動悸・意識が遠のく感じがある(出血性ショックの危険)→救急受診が望ましいです。 消化管出血は重症化しうるため、速やかな評価が安全です。 [2]
- 強い腹痛、持続する下痢や発熱、腹部膨満 →腸管の血管炎や感染を疑い、早期の画像検査や採血が有用です。 [2]
- ステロイドやNSAIDsを内服中で、吐き気や胃痛、黒色便・血便が出た →薬剤性潰瘍や出血の可能性があり、薬の調整が必要になることがあります。 [4]
- SLEの活動性が高い兆候(関節痛の悪化、発熱、皮疹の増悪、検査で炎症反応上昇)と併発 →腸管の血管炎などSLE関連合併症の可能性を考慮します。 [2]
受診時に行われることが多い検査
- 血液検査(炎症反応・貧血・凝固):出血の程度や炎症の有無を確認します。 SLEでは血液学的異常(貧血・白血球・血小板の低下)がみられることがあり、出血リスクや感染合併の評価に役立ちます。 [5]
- 尿検査:腎障害の合併(ループス腎炎)確認のため、全身の活動性評価に用いられます。 尿蛋白や血尿は腎障害のサインで、SLEの活動を示すことがあります。 [6] [7]
- 便検査(便培養・便PCR・潜血):感染や出血源の手がかりになります。 免疫抑制中は感染性腸炎の頻度が上がるため、原因の切り分けが大切です。 [2]
- 腹部CT:腸間膜血管炎や腸管浮腫、壁肥厚などの所見が評価でき、SLE関連腸管症の診断に有用です。 [2]
- 内視鏡検査(大腸内視鏡・直腸鏡):出血源や潰瘍の確認、虚血性変化の診断に役立ちます。 虚血性直腸炎や大腸潰瘍では、内視鏡で病変を直接確認して治療方針を決めることがあります。 [3]
治療の考え方
- SLE関連腸管炎(血管炎・虚血):ステロイドを中心とした免疫抑制療法で改善することが期待できます(入院で点滴治療など)。 [3] [2]
- 薬剤性潰瘍・出血:NSAIDsの中止や胃酸を抑える治療(PPIなど)、必要に応じて内視鏡止血を行います。 薬の見直しで再発予防が期待できます。 [4]
- 感染性腸炎:原因に応じて抗菌薬・補液・腸管安静などを行い、免疫抑制薬の調整を検討します。 [2]
- 重症出血:内視鏡的止血、輸血、集中治療が必要になることがあります。 早期受診が予後改善につながります。 [2]
受診の目安(まとめ)
- 初めて血便が出た、少量でも繰り返す、腹痛や発熱を伴う →一般内科・消化器内科に早めに受診。 SLE診療科(膠原病内科)とも連携できる施設が安心です。 [2]
- 大量出血・黒色便、強い腹痛や意識が遠のく感じ →救急受診。 重篤な腸管血管炎や大出血の可能性があります。 [2]
- NSAIDs・ステロイド服用中の消化器症状 →服薬内容を持参して受診し、薬剤性の可能性を相談。 [4]
参考のポイント
- SLEの消化器症状は、薬剤の副作用や感染が原因のことが半数以上とされ、まずここを丁寧に見極めます。 [2]
- 一方で、腸間膜血管炎や虚血性腸炎などSLE特有の合併症は重症化しやすく、画像診断と早期の免疫抑制治療が有効です。 [2] [3]
- SLEは腎臓や心肺・血液など多臓器に波及するため、消化器症状があるときも全身状態のチェック(血圧、尿、浮腫、胸痛・呼吸苦など)が大切です。 [1] [7] [8]
受診前にできること
- 出血の色(鮮血か暗赤色か黒色か)、量、回数、腹痛・発熱の有無、服薬内容(NSAIDs・ステロイド・抗凝固薬など)をメモしておくと診断がスムーズです。 症状日誌は原因特定に役立ちます。 [2]
- 脱水を避け、水分をしっかり摂りましょう。 市販の止瀉薬は原因不明の血便では避け、医師の指示を待つのが安全です。 [2]
まとめ
- SLEで血便は「よくある症状」ではないものの、腸管の血管炎、薬剤性潰瘍、感染性腸炎などで起こり得ます。 [2] [4] [3]
- 重症化する可能性もあるため、血便が出たら早めの医療機関受診が安全です。 [2]
- 大量出血や強い腹痛・黒色便は救急受診の目安です。 [2]
このような症状はいつ頃から、どのくらいの量・回数で起きていますか?
関連する質問
出典
- 1.^abcDiagnosing Systemic Lupus Erythematosus(nyulangone.org)
- 2.^abcdefghijklmnopqrstuvwxGastrointestinal involvement in systemic lupus erythematosus: insight into pathogenesis, diagnosis and treatment.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 3.^abcdefgSystemic lupus erythematosus presenting as ischaemic proctitis.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 4.^abcdef[Gastrointestinal manifestations of systemic lupus erythematosus: symptoms, diagnosis and differential diagnosis].(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 5.^↑Diagnosing Systemic Lupus Erythematosus(nyulangone.org)
- 6.^↑Diagnosing Systemic Lupus Erythematosus(nyulangone.org)
- 7.^abDiagnosing Systemic Lupus Erythematosus(nyulangone.org)
- 8.^↑Diagnosing Systemic Lupus Erythematosus(nyulangone.org)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


