Medical illustration for PubMedの資料に基づく | ループス(全身性エリテマトーデス)では背中の痛みはどのような原因で起こり、注意すべきサインは何ですか? - Persly Health Information
Persly 医療専門チームPersly 医療専門チーム
2026年2月16日5分で読める

PubMedの資料に基づく | ループス(全身性エリテマトーデス)では背中の痛みはどのような原因で起こり、注意すべきサインは何ですか?

要点:

ループス(SLE)の背中の痛みは、関節・筋肉の炎症、胸膜炎・心膜炎、長期ステロイドに伴う骨壊死や骨粗鬆症、脊椎骨髄炎や膿瘍などの感染、神経・皮膚病変など多岐にわたります。発熱、痛みの夜間・安静時増悪、呼吸で悪化する胸背部痛、神経症状、長期ステロイド歴での突然の激痛などはレッドフラッグで、早期受診と血液・画像・培養検査が推奨されます。

ループス(全身性エリテマトーデス:SLE)で起こる背中の痛みは、いくつかの異なるメカニズムで生じる可能性があります。代表的には、関節や筋肉の痛み、胸膜や心膜の炎症に伴う胸背部痛、骨壊死や骨粗鬆症に関連する痛み、感染症(脊椎の骨髄炎や膿瘍など)による痛みなどが挙げられます。 [1] [2] 背中の痛みが新たに強く出てきた、発熱や神経症状を伴う、痛みが夜間に悪化する・徐々に増悪する、といった場合は特に注意が必要です。 [3] [4]

背中の痛みの主な原因

  • 関節・筋肉の痛み(筋骨格症状)

    • SLEではほぼ全員に筋骨格系の症状がみられ、関節痛や関節炎、筋肉痛が一般的です。 [5] これらは体幹の姿勢筋や肋椎関節などに波及し、肩甲間部や腰背部の痛みとして感じられることがあります。 [5]
    • 長期・高用量のステロイド治療は、骨壊死(大腿骨頭などの無腐性壊死)や骨粗鬆症・骨折のリスクを高め、背部痛の原因になり得ます。 [6] こうした筋骨格系のダメージはSLEの主要な後遺症の一つとされています。 [6]
  • 胸膜炎・心膜炎などの漿膜炎(しょうまくえん)

    • 胸膜の炎症(胸膜炎)は深呼吸や咳で増悪する胸痛として出現し、背中(肩甲部~背部)に放散することがあります。 [7] 心膜の炎症(心膜炎)でも前胸部痛が背部に響くことがあります。 [7]
  • 感染症(免疫抑制中は特に注意)

    • SLE自体および免疫抑制薬により、骨・関節感染(脊椎骨髄炎、椎間板炎、化膿性関節炎)のリスクが上がります。 [3] ループスの人は重い感染でも微熱や軽い痛みなど症状が目立ちにくいことがあり、診断まで遅れやすい点に注意が必要です。 [3]
    • 報告例では、肺炎球菌による脊椎骨髄炎と腸腰筋膿瘍が急性の激しい腰背部痛で発症したケースがあり、血液培養やドレナージで病原体が同定されています。 [4] まれですが真菌(カンジダ)による椎体骨髄炎も報告されています。 [8]
  • 神経・その他の要因

    • SLE関連の神経障害や、感染に伴う臀部・骨盤内膿瘍などが坐骨神経痛様の腰背部痛を起こした例もあります。 [9]
    • 皮膚ループスや光過敏に伴う皮疹や皮下の炎症が背部痛やヒリヒリ感を伴うこともあります。 [10] [1]

注意すべきサイン(レッドフラッグ)

次のサインがある場合は、早めの受診や追加検査を検討してください。

  • 🔥 発熱、悪寒、原因不明の体調不良(感染症の可能性) [3] [4]
  • ⏳ 痛みが夜間に悪化、あるいは安静でも強い・徐々に悪化(骨病変や感染を示唆) [3]
  • 🦴 ステロイド治療歴があり、荷重や動作で悪化する深部の痛み(骨壊死・圧迫骨折などの可能性) [6]
  • 🫁 深呼吸や咳で悪化する胸背部痛、息苦しさ(胸膜炎・心膜炎の可能性) [7]
  • 🧠 神経症状の併発(脚のしびれ・脱力、排尿排便の異常、歩行困難など:脊椎感染・馬尾症候群などを示唆) [4]
  • 🩸 体重減少や極度の倦怠感、持続する発熱(全身性の活動性や合併症を示唆) [11] [12]

受診時に想定される評価

  • 診察と基本検査
    • 血液検査(炎症反応、血球数、腎機能等):SLEでは赤血球・白血球・血小板が低下することがあり、活動性や感染の有無の手掛かりになります。 [7]
    • 尿検査:腎障害の併発評価(全身症状の背景把握のため)。 [1]
  • 画像・追加検査
    • X線やMRI:骨壊死、骨折、椎体炎・椎間板炎、膿瘍などの評価に有用です。 [3] [4]
    • 超音波・心エコー・胸部画像:胸膜炎・心膜炎、胸水・心嚢液の有無を確認します。 [7]
    • 培養検査(血液培養、必要に応じドレナージ液培養):感染の病原体同定に重要です。 [4]

自宅でできる対処と予防のヒント

  • 🧴 痛みが軽度でレッドフラッグがない場合、安静、姿勢調整、温罨法が役立つことがあります。筋緊張由来の痛みには短期的なやさしいストレッチも検討できます。 [5]
  • 💊 市販の鎮痛薬はSLEの病状や腎機能、服用中の薬(例えば抗凝固薬)によっては注意が必要なため、使用前に主治医に確認するのが安全です。 [6]
  • 🦴 長期ステロイド中なら、骨粗鬆症対策(カルシウム・ビタミンD、荷重運動、骨密度評価、必要に応じ薬物療法)を主治医と相談しましょう。 [6]
  • 🛡️ 免疫抑制中は感染予防(手洗い、ワクチン適宜、早期受診)を心がけましょう。 [3]

よくある原因と注意サインの整理

区分起こりやすい原因特徴的な痛み・所見要注意サイン
筋骨格(関節・筋)関節痛・関節炎、筋痛、骨壊死、骨粗鬆症動作で増悪、局所圧痛、可動域制限、荷重で痛み夜間痛・進行性の痛み、突然の激痛(骨折)、長期ステロイド歴 [5] [6]
漿膜炎胸膜炎・心膜炎深呼吸や咳で悪化、胸背部に放散、息苦しさ呼吸困難、持続する胸背部痛、発熱 [7]
感染症脊椎骨髄炎、椎間板炎、膿瘍(腸腰筋・臀部)安静時も強い、持続的・進行性、発熱、圧痛微熱〜高熱、神経症状、採血・培養陽性、画像異常 [3] [4] [9]
その他皮膚・皮下病変、血管炎など皮疹に伴うヒリヒリ、限局痛広範囲皮疹、潰瘍、全身症状の併発 [10] [1]

受診の目安

  • 次のいずれかがあれば、できるだけ早く医療機関で評価を受けてください。
    • 発熱や悪寒、息苦しさ、咳で悪化する胸背部痛がある。 [7] [4]
    • 痛みが安静でも強い、夜間に悪化、数日〜数週で悪化している。 [3]
    • 足のしびれ・脱力、排尿排便の異常など神経症状を伴う。 [4]
    • 長期ステロイド中で突然の鋭い背部痛(圧迫骨折や骨壊死の可能性)。 [6]

まとめ

SLEでの背中の痛みは、筋骨格の炎症や骨合併症、漿膜炎、感染症など多岐にわたります。 [5] [7] 特に発熱、夜間・安静時の増悪、神経症状、呼吸で悪化する胸背部痛は見逃したくないサインです。 [3] [4] 背部痛が続く・強くなる・いつもと違うと感じたら、早めに主治医へ相談し、必要に応じて血液検査や画像検査、培養検査を受けることが安全です。 [7] [4]

関連する質問

関連記事

出典

  1. 1.^abcdDiagnosing Systemic Lupus Erythematosus(nyulangone.org)
  2. 2.^Diagnosing Systemic Lupus Erythematosus(nyulangone.org)
  3. 3.^abcdefghijOrthopedic surgery and its complication in systemic lupus erythematosus.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  4. 4.^abcdefghijkPneumococcal vertebral osteomyelitis and psoas abscess in a patient with systemic lupus erythematosus disclosing positivity of pneumococcal urinary antigen assay.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  5. 5.^abcdeMusculoskeletal manifestations of systemic lupus erythematosus.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  6. 6.^abcdefgMusculoskeletal complications of systemic lupus erythematosus in the Hopkins Lupus Cohort: an update.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  7. 7.^abcdefghiDiagnosing Systemic Lupus Erythematosus(nyulangone.org)
  8. 8.^Candida albicans vertebral osteomyelitis in chronic renal failure.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  9. 9.^abGluteal abscess causing sciatica in a patient with systemic lupus erythematosus.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  10. 10.^abDiagnosing Systemic Lupus Erythematosus(nyulangone.org)
  11. 11.^Symptoms(stanfordhealthcare.org)
  12. 12.^Lupus Basics(cdc.gov)

ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。