肺がんで腹部膨満は一般的?原因と対処法
肺がんで腹部膨満は一般的?原因と対処法
結論として、腹部膨満(お腹の張り)は肺がんの“典型的な初期症状”ではありませんが、進行や合併症・治療の影響で起こり得ます。 肺がんの代表的な症状は、持続する咳、血痰、胸痛、息切れ、嗄声、体重減少などです。これらは病気が肺やその周囲に影響することで現れます。 [1] [2]
ただし、肺がんが進行して胸腔内に液体がたまる「胸水(胸膜腔の水)」が増えると、呼吸が浅くなり、体幹の圧迫感や不快感につながることがあります。胸水は主に息切れの原因ですが、全身の不快感として「張り」を訴える方もいます。 [3] [4] [5]
一方で、腹部の膨満が目立つケースでは「腹水(お腹の水)」など腹腔内の合併症を考えます。腹水は腹膜にがんが広がることで起こり、腹の張りや体重増加、呼吸困難を招くことがあります。 [6] [7] [8] [9] [10]
よくある原因と仕組み
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胸水(胸膜の水)
肺がんが胸膜に炎症・浸潤を起こすと胸膜腔に液体が溜まり、息切れや胸部圧迫感の原因になります。これは腹部膨満というより「胸部の張り・圧迫感」が主体です。 [3] [4] [5] -
腹水(腹膜の水)・腹膜播種(腹膜への転移)
がん細胞が腹膜に広がると体液が貯留してお腹が張ります。典型的には腹囲増加、膨満、食後すぐの満腹感、便通異常、呼吸が苦しくなるなどが出ます。 [6] [7] [8] [9] [10] -
消化管運動低下(がストパレシスなど)
まれですが、肺がんに伴う免疫の異常(傍腫瘍症候群)で胃腸の動きが落ち、食後の膨満、吐き気、早期満腹、体重減少が続くことがあります。 [PM13] [PM14] -
治療薬の副作用・便秘
一部の分子標的薬や化学療法で腹部の張り、食欲低下、便秘が起き、膨満感につながります。便通が3日以上ない場合は必ず医療者に相談が必要です。 [11]
受診の目安(危険サイン)
- 急に腹囲が増える、強い膨満と息切れが出る(腹水や胸水の増加が疑われます)。 [6] [8] [5]
- 持続する嘔吐、食事がとれない、体重が急減する(消化管運動障害などの可能性)。 [PM13] [PM14]
- 便に血が混じる、発熱や強い腹痛、極端な便秘(合併症のサイン)。 [12]
これらがある場合は、早めの医療機関受診が推奨されます。 [12]
検査と評価
- 診察・身体所見(腹囲測定、圧痛・波動の確認)。
- 画像検査:胸部X線・胸部/腹部CT、必要に応じて超音波で胸水・腹水の有無と量を評価します。胸水の確認は胸部画像、腹水は腹部画像が有用です。 [3] [5] [6] [7]
- 穿刺検査:胸水・腹水が多い場合は液を抜いて性状・細胞診を確認して原因を特定します。 [3] [6]
- 胃排出検査など:膨満の主訴が消化器症状中心なら消化管運動の評価を行うことがあります。 [PM13] [PM14]
対処法(原因別)
胸水への対処
- 胸腔ドレナージ(胸水を抜く):息切れを軽減します。再発予防の処置(胸膜癒着術など)を検討することがあります。 [3] [4] [5]
- がん治療の調整:腫瘍負荷を下げることで胸水が減る場合があります。 [3] [4]
腹水への対処
- 腹水穿刺(パラセンテシス):症状緩和のために腹水を抜きます。繰り返し必要になることがあり、カテーテル管理を選ぶ場合もあります。 [6] [9]
- 利尿薬や塩分調整:原因により補助的に用いられますが、がん性腹水では効果に限界があります。 [6] [8]
- 原疾患治療:腫瘍の制御が腹水軽減につながります。 [6] [7]
消化管運動低下(がストパレシスなど)
- 食事の工夫:小分けで少量頻回、脂肪・食物繊維が多いものは控えめ、温かくて消化の良い飲食を中心に。 [PM14]
- 薬物療法:消化管運動促進薬、制吐薬の調整を検討します。 [PM14]
- 栄養支援:体重減少があるときは栄養士や緩和ケアの介入が有効です。 [PM14]
便秘・薬の副作用
- 水分摂取・食物繊維・軽い運動を取り入れ、指示された下剤を適切に使用します。3日以上排便がないときは必ず医療者に連絡しましょう。 [11]
生活でできる工夫
- 食事:消化にやさしいものを少量ずつ、炭酸やガスを生む食品は控えめに。腹水がある場合は塩分の管理が勧められることがあります。 [6] [7]
- 体位:食後は上半身を少し起こして休むと胃の負担が減ります。 [PM14]
- 呼吸リハ:胸水や膨満で息苦しいときは、ゆっくり深呼吸や口すぼめ呼吸が役立つことがあります。 [3] [5]
- 早めの相談:症状が急に悪化、持続、日常生活に影響する場合は主治医へ早めに連絡しましょう。 [12]
まとめ
- 腹部膨満は肺がんの一般的な初期症状ではありませんが、胸水・腹水・消化管運動低下・治療副作用などで起こり得ます。 [1] [2] [3] [5] [6] [7] [PM13] [PM14] [11]
- 評価には画像・穿刺・消化管機能検査が有効で、原因に応じた対処(胸水・腹水の排液、薬物・栄養・生活調整)が症状緩和に役立ちます。 [3] [5] [6] [9] [PM14] [11]
症状が続く、悪化する、息苦しさや嘔吐・便秘が強いときは、早めに医療機関へ相談してください。 [12]
関連する質問
出典
- 1.^abLung cancer - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
- 2.^abSymptoms of Lung Cancer(cdc.gov)
- 3.^abcdefghiLung cancer - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
- 4.^abcdLung cancer - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
- 5.^abcdefghLung cancer - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
- 6.^abcdefghijkPeritoneal carcinomatosis - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
- 7.^abcdefPeritoneal carcinomatosis - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
- 8.^abcdPeritoneal carcinomatosis - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
- 9.^abcdSymptoms and causes - Mayo Clinic(mayoclinic.org)
- 10.^abSymptoms and causes - Mayo Clinic(mayoclinic.org)
- 11.^abcdPatient information - Lung cancer locally advanced or metastatic - Brigatinib(eviq.org.au)
- 12.^abcdWhat to know about cancer and diarrhea(mayoclinic.org)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。