肺がんで背中の痛みはよくある?原因と対処法
肺がんの背部痛:よくある症状か、原因と管理法
背中の痛みは肺がんで「起こり得る症状」ですが、頻度や原因には幅があります。 肺がんは胸膜や胸壁の侵潤、肋骨や脊椎への転移で胸部・背部の痛みを生じることがあり、胸痛を訴える方が約3分の1いると報告されています。 [1] 痛みは鋭い刺すような痛みから、進行に伴い鈍い持続痛へと変化することがあります。 [1] 胸膜への転移で悪性胸水がたまり、持続する痛みを生じることもあります。 [1] 肺がんが骨に転移すると、強い局所痛や外傷なしの骨折が起きる場合があります。 [2]
背部痛が起こる主なメカニズム
-
胸壁・胸膜浸潤
肺の末梢にできた腫瘍が胸膜や胸壁へ広がると、痛み刺激が強まり、特徴的な鋭い痛みや持続痛を生じます。 [1] -
胸膜転移による悪性胸水
胸膜面の転移は胸水を増やし、呼吸や体位で増悪する継続的な痛みにつながります。 [1] -
肋骨・脊椎などの骨転移
肺がんは骨転移を起こしやすく、肋骨や脊椎に及ぶと局在する強い痛み、病的骨折、脊髄・神経圧迫によるしびれや筋力低下、排尿・排便障害などの神経症状が現れ得ます。 [3] 骨転移が脊椎にある場合、神経圧迫が疑われるときは緊急評価と治療が必要です。 [4] -
治療関連の神経障害性疼痛
化学療法後に末梢神経障害(しびれ、灼熱痛、チクチク痛など)が遅れて現れ、神経障害性痛として残ることがあります。 [5]
背部痛の注意サインと見分け方
- 痛みが次第に持続性・夜間増悪へ変わる、咳や深呼吸で増悪する。 [1]
- 局所を押すと強く痛む、体を捻る・起き上がる時に鋭い痛み。骨転移・肋骨病変を示唆。 [3]
- しびれ、筋力低下、歩行困難、排尿・排便障害などが出現した場合は脊髄圧迫の可能性が高く、救急対応が推奨されます。 [4]
診断の流れ
- 画像検査
背部痛を伴う肺がんが疑われるときは、胸部X線やCTで原発巣や胸壁浸潤を評価します。 [6] 骨転移が疑わしい場合は、骨病変の画像評価(脊椎や肋骨のCT、MRI、必要に応じてPET)を行います。 [6] - 組織学的確定
気管支鏡、EBUS(気管支鏡下超音波)、経皮細針吸引などで確定診断します。 [6] - 病期評価(ステージング)
PETや脳MRI等で全身の広がりを評価し、最適な治療方針を決めます。 [6]
管理・治療の選択肢
薬物療法(痛みの段階に応じて)
- 軽度〜中等度痛:アセトアミノフェン、NSAIDsを検討。
- 中等度〜重度痛:オピオイド(モルヒネ、フェンタニル貼付など)を用い、用量調整や回転(ローテーション)で効果不十分や副作用時に対応します。 [PM13]
- 神経障害性痛:プレガバリン、ガバペンチン、デュロキセチンなどの補助薬を併用することがあります。 [5]
局所・放射線治療
- 骨転移の疼痛緩和に外照射(放射線治療)は有効で、痛みの軽減と骨折予防の一助になります。 [7]
- 脊椎転移で強い痛みや神経症状がある場合、緊急の放射線照射や外科的除圧が検討されます。 [4]
- 病的骨折や高度な骨破壊が予測されるときは、予防的固定術(内固定)を考慮します(病変の大きさや皮質骨破壊率に基づくリスク評価)。 [8]
介入的疼痛緩和
- 高精度放射線(定位放射線手術)は脊椎転移の難治性疼痛や局所制御に選択されることがあります。 [PM18]
- 痛みが難治性で局在する場合、ラジオ波焼灼(RFA)などの低侵襲手技が疼痛緩和に役立つ可能性があります。 [PM19]
- 脊椎の構造的支持と疼痛緩和目的で、椎体形成術(バルーン併用含む)が行われることがあります。 [PM21]
原発巣への治療
- 病期・全身状態に応じ、手術、抗がん剤、放射線、分子標的・免疫療法を組み合わせ、原病のコントロールが痛み軽減に直結します。 [6]
緩和ケアの統合
- 痛み管理は多職種連携(腫瘍内科、放射線科、整形外科、緩和ケア、リハビリ等)が重要です。 [7]
- 呼吸練習、水中運動、筋弛緩、イメージ療法、音楽療法などの非薬物的介入は補助的に役立つことがあります。 [7]
受診の目安と緊急度
- 背部痛が新たに出現して持続する、夜間に悪化、鎮痛薬で十分に治まらない場合は、速やかな医療機関受診が望ましいです。 [1]
- しびれ・筋力低下・歩行障害・排尿排便障害がある場合は、脊髄圧迫が疑われるため緊急受診が一般的に推奨されます。 [4]
背部痛と肺がんに関する要点まとめ(表)
| 事項 | 重要ポイント |
|---|---|
| 痛みの頻度 | 肺がんでは胸痛(背部痛含む)が約3分の1でみられることがある。 [1] |
| 主な原因 | 胸膜・胸壁浸潤、悪性胸水、肋骨・脊椎への骨転移、治療関連の神経障害性痛。 [1] [3] [5] |
| 危険サイン | しびれ・筋力低下、排尿・排便障害などの神経症状は脊髄圧迫の可能性。 [4] |
| 診断 | 胸部X線/CT、気管支鏡・EBUS・細針吸引、PET・MRIで病期評価。 [6] |
| 管理 | 鎮痛薬(非オピオイド〜オピオイド)、神経障害性疼痛薬、放射線、外科的除圧、固定術、低侵襲介入、原発巣治療、緩和ケア連携。 [PM13] [7] [4] [8] [PM18] [PM19] [PM21] [6] |
よくある質問
背部痛がある=肺がんということでしょうか?
背部痛は多くの原因で起こるため、必ずしも肺がんとは限りません。 ただし、喫煙歴、体重減少、長引く咳、血痰、持続する胸・背部痛などが重なる場合は、肺や骨の精査が望ましいと考えられます。 [6] 背部痛が進行性で神経症状を伴う場合は、緊急対応が必要となることがあります。 [4]
実践的なセルフケアのヒント
- 痛みの性質(刺す痛み、鈍痛、しびれ)、持続時間、体位や咳との関係を痛み日誌に残すと、診療に役立ちます。
- 負担の少ない体位調整・温罨法、呼吸法、リラクゼーションは補助的に痛みの緩和に役立つことがあります。 [7]
- 鎮痛薬を自己判断で増量せず、医療者と用量・種類の調整を相談しましょう。オピオイドはローテーションや併用で副作用を抑えつつ効果を高められる場合があります。 [PM13]
まとめ
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出典
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。