Medical illustration for WHOの資料に基づく | 頭頸部がんでみられる視力低下や視野の異常、複視などの視覚症状にはどのようなものがありますか? - Persly Health Information
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2026年2月15日5分で読める

WHOの資料に基づく | 頭頸部がんでみられる視力低下や視野の異常、複視などの視覚症状にはどのようなものがありますか?

要点:

頭頸部がんでは、腫瘍の眼窩・頭蓋底への浸潤や視神経・脳神経の障害、治療の副作用により、視力低下、視野異常、複視など多様な視覚症状が生じます。眼痛・充血、光過敏、眼球突出、眼瞼下垂、眼球運動障害もみられます。原因不明で進行する視覚症状は、神経眼科を含む専門連携で早期の検査・評価が推奨されます。

頭頸部がんで起こりうる視覚症状の全体像

頭頸部がんでは、腫瘍そのものの浸潤や周囲の神経・眼窩(目の周りの骨の空間)・頭蓋底への影響、さらに放射線治療や薬物療法の副作用によって、さまざまな視覚症状が生じることがあります。代表的な症状には、視力低下、視野の異常(欠けや狭窄)、複視(ものが二重に見える)、眼痛・充血、光に敏感になるなどが含まれます。 [1] [2] これらは腫瘍の位置(副鼻腔・鼻腔・上顎洞・鼻咽腔・頭蓋底など)や進展範囲、治療内容によって現れ方が変わります。 [1] [3]


主な症状カテゴリー

視力低下(中心視の低下)

  • 腫瘍や炎症・治療の影響が視神経(眼から脳へ情報を送る神経)に及ぶと、視力が徐々に低下することがあります。 [1]
  • 視神経の圧迫や障害(視神経症)により、色の識別が落ちる、かすんで見えるなどの訴えが出ることがあります。 [4]
  • 放射線治療後に稀ですが「放射線誘発視神経症(RION)」が起こり、視力に影響することがあります。 [5]

視野異常(欠損・狭窄)

  • 視神経から視交叉(左右の視神経が交差する部位)にかけての圧迫で、片目または両目の視野が部分的に欠ける、端(周辺)の視野が狭くなるといった症状がみられます。 [6]
  • 進行する視野障害が続く場合、頭蓋底の精密画像検査が必要になることがあります。 [4]

複視(ものが二重に見える)

  • 眼球運動を司る脳神経(動眼・滑車・外転神経)の障害で生じ、腫瘍の頭蓋底浸潤や鼻咽腔がんで比較的起こりやすい所見のひとつです。 [3] [7]
  • 複視が初期症状として単独で現れ、しばらく他の症状が出ないこともあり、若年者でも注意が必要です。 [8]

眼痛・充血・腫脹・光過敏などの眼症状

  • 眼窩や周辺組織への炎症・腫瘍浸潤、あるいは薬物療法の影響で、目の痛み、かゆみ、充血、腫れ、涙目、乾燥、まぶしさ(光過敏)などが起こることがあります。 [9]
  • 副鼻腔・鼻腔腫瘍では、眼球突出(飛び出して見える)や眼瞼の腫れを伴うこともあります。 [7]

原因別にみる機序と特徴

腫瘍の局所浸潤・圧迫

  • 副鼻腔(上顎洞や篩骨洞など)や鼻腔のがんが眼窩へ広がると、視力低下、複視、眼球の位置異常(斜視・突出)、眼痛が出やすくなります。 [1] [10]
  • 上顎洞がんの眼窩浸潤では視機能の温存が課題で、治療法により生存率と眼機能温存率のバランスが異なります。 [11]

頭蓋底・視路(視神経~視交叉)への影響

  • 視野の半分が見えにくくなる半盲(半側性の視野障害)や、交叉部に特徴的な両耳側半盲(左右で外側視野が欠ける)などがみられることがあります。 [6]
  • 視神経伝導の障害は、相対性瞳孔求心路障害(RAPD)や色覚低下の検査で早期に見つかることがあります。 [4] [6]

脳神経麻痺(眼球運動障害)

  • 腫瘍や炎症が動眼神経(III)、滑車神経(IV)、外転神経(VI)に及ぶと、眼球が十分に動かせず、複視や眼瞼下垂、焦点が合わないなどの症状が出ます。 [8] [7]
  • 鼻咽腔がんでは、眼痛・複視・眼球運動障害・角膜障害(露出角膜症)など、複数の眼症状が組み合わさることがあります。 [7]

治療の副作用

  • 一部の化学療法・免疫療法では、視界のぼやけ、色の見え方の変化、ドライアイ、光過敏などの眼症状が起こることがあります。 [9]
  • 放射線治療では、まれに視神経の障害(RION)が報告され、線量と照射範囲の慎重な設計が重要です。 [5]

症状の具体例一覧(早見リスト)

  • 視力低下(かすみ、視力の段階的な低下、色覚低下)。 [4] [1]
  • 視野障害(周辺視野の狭窄、半盲、部分的な欠け、交叉部特有の両耳側半盲)。 [6] [4]
  • 複視(水平・垂直・斜め方向の二重視、距離で変化する二重視)。 [8] [7]
  • 眼痛・充血・腫脹・光過敏・ドライアイ・涙目。 [9]
  • 眼球突出(プロプトーシス)、眼瞼下垂、眼球運動障害。 [7] [1]
  • 露出角膜症(まぶたの閉鎖不全による角膜障害)。 [7]

受診の目安と注意点

  • 原因不明の視力低下や進行する視野障害、持続する複視がある場合は、速やかな眼科(神経眼科)・耳鼻咽喉科・脳神経外科の連携診療が望ましいです。 [12] [13]
  • 視野の欠けやRAPD、色覚低下などの微細な所見は、早期の画像検査につながる重要なサインです。 [4]
  • 鼻咽腔がんや副鼻腔腫瘍では、耳症状(難聴・耳閉感)や鼻症状(鼻閉・出血)・顔面痛に視覚症状が伴うことがあり、組み合わせの訴えは診断の手がかりになります。 [3] [2]

まとめ

頭頸部がんの視覚症状は、腫瘍の局在・進展、神経への影響、治療の副作用が重なり合って多彩に現れます。 [1] [5] 視力低下・視野異常・複視は早期診断が重要で、症状が続く場合は専門科の連携による精密検査(視野検査・眼底評価・色覚検査・画像検査)を検討すると良いでしょう。 [4] [12]

ご自身やご家族に当てはまる症状があれば、どの症状がいつからどの程度あるのか、生活への影響とともに記録して受診時に伝えると診断の助けになります。 [4] [13]

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関連記事

出典

  1. 1.^abcdefgSkull base tumors - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
  2. 2.^ab국가암정보센터(cancer.go.kr)
  3. 3.^abc두경부암(Head and Neck Cancer) | 질환백과 | 의료정보 | 건강정보(amc.seoul.kr)
  4. 4.^abcdefghVisual dysfunction with basal skull tumours.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  5. 5.^abcReview: Benefits and Future Directions for Proton Therapy in Head and Neck Cancer(mskcc.org)
  6. 6.^abcdPerichiasmal tumors: diagnostic and prognostic features.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  7. 7.^abcdefgNeuro-ophthalmic manifestation of nasopharyngeal carcinoma at Ilorin: a five year review.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  8. 8.^abc[Diplopia as an initial symptom of intracranial tumors].(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  9. 9.^abcPatient information - Head and neck cancer recurrent or metastatic - Carboplatin, fluorouracil and pembrolizumab(eviq.org.au)
  10. 10.^The risk to the orbit in head and neck cancer.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  11. 11.^Multi-institutional retrospective study for the evaluation of ocular function-preservation rates in maxillary sinus squamous cell carcinomas with orbital invasion.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  12. 12.^abHead and Neck Cancer Program(stanfordhealthcare.org)
  13. 13.^abNeuro-Ophthalmology(stanfordhealthcare.org)

ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。