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2026年2月15日5分で読める

WHOの資料に基づく | 頭頸部がんでは夜間発汗(寝汗)はどの程度みられ、どのような特徴や原因が考えられ、併発しやすい他の症状は何ですか?

要点:

頭頸部がんの夜間発汗(寝汗)は特異的症状ではなく、治療や薬剤の影響、感染症、内分泌(ホルモン)機能の変化、がん関連の睡眠障害などが重なって起こり得ます。頻度の厳密な数値は限られますが、ほてり、発熱・悪寒、倦怠感、口腔・咽頭症状、皮疹などが併発しやすく、強い寝汗や発熱が続く場合は早期受診が推奨されます。長期的には甲状腺などの内分泌評価も重要です。

概要

頭頸部がんにおける夜間発汗(寝汗)は、がん自体・治療・薬剤・感染症・内分泌(ホルモン)機能の変化など複数の要因が重なって生じることがあり、頻度は一律に確定しにくいものの、がん患者の睡眠障害の一部としてしばしば言及される非特異的症状です。夜間発汗は単独で起こる場合もあれば、ほてり(ホットフラッシュ)や発熱・悪寒と伴って認められることもあります。夜間発汗は悪性リンパ腫で典型的に強くみられる一方、固形がん(頭頸部がんを含む)でも治療や併発症によってみられる可能性があります。 [1] [2] [3]


頻度(どの程度みられるか)

  • 夜間発汗は全般的に「非特異的」な症状で、がん患者を含む集団で一定割合が報告されますが、頭頸部がん単独の厳密な発生率は信頼できる大規模データが限られます。一次医療の文献レビューでは、夜間発汗の有病率は集団により幅があり、特定疾患に限定しない症状として扱われています。 [4]
  • がん患者の睡眠障害についての調査では、原因の一つとして夜間発汗が挙げられており、がん診断〜治療〜フォローアップの各段階で睡眠の質に影響する訴えとして観察されています。 [2]
  • なお、夜間発汗が強く特異的にみられるがんとしては悪性リンパ腫が知られており、これは“B症状”(不明熱・体重減少・寝汗)に該当しますが、頭頸部がんの患者でも治療関連や併発症で生じることがあります。 [5] [3]

特徴(どのような様相か)

  • 夜間発汗は「突然身体が熱くなるほてり」に随伴したり、単独で出現することがあります。強い発汗で寝具が濡れるほどになる場合もあれば、軽度の湿り程度で推移する場合もあります。 [1]
  • 一部のがん患者では、夜間発汗が持続・反復し、睡眠の中断、日中の倦怠、不安の増悪、生活の質の低下に結びつくことがあります。 [2]
  • 患者によってはほてり以外に「悪寒」「寒気」など温度調節異常の自覚を伴うことがあります。これは発熱の変動や自律神経・ホルモン変化、薬剤影響などが背景にあることがあります。 [1] [6]

主な原因(考えられるメカニズム)

1) がん治療に伴うほてり・寝汗

  • 放射線治療、化学療法、ホルモン治療、手術(性腺摘除や卵巣摘出などが該当する状況)など、いくつかの治療がほてり・夜間発汗を引き起こすことがあります。頭頸部がんの治療では、全身的な化学療法や放射線の影響が間接的に関与することがあります。 [3] [1]
  • 特定の薬剤(アロマターゼ阻害薬、タモキシフェン、オピオイド、三環系抗うつ薬など)が寝汗の増悪に関与することがあります。頭頸部がんで用いられる疼痛管理薬(例:オピオイド)でも寝汗が生じうる点に留意が必要です。 [7]

2) 内分泌(ホルモン)機能の変化

  • 頭頸部領域への放射線治療後には、長期的に甲状腺機能低下症やTSH上昇など甲状腺関連の異常が起こり得るため、体温調節・代謝の変化を介して発汗パターンが変わる可能性があります。こうした内分泌の変化は治療後長期追跡が推奨される代表的な合併症です。 [8] [9]
  • 放射線や化学療法は下垂体・性腺・副腎など広範な内分泌軸に影響することがあり、ホルモンバランスの乱れがほてり・寝汗を誘発することがあります。 [10]

3) 感染症(免疫抑制時)

  • 化学療法や一部の免疫療法中は免疫が低下し、二次感染を起こしやすくなります。感染のサインとして「発熱」「悪寒・汗」が現れるため、寝汗が増えることがあります。発熱は時に唯一のサインになるため、体温の確認が重要です。 [6] [11]
  • 38.0℃以上の発熱、悪寒・シバリング・寝汗などがあれば、緊急受診が推奨されます。 [12] [13]

4) がんそのものの影響

  • 全身性の炎症・サイトカイン変動、がん悪液質に関連する代謝異常、不安・痛みなどが複合的に睡眠覚醒リズムと体温調節に影響し、夜間発汗が増えることがあります。がん患者の睡眠障害の一環として、夜間発汗は患者報告でしばしば挙げられます。 [2]
  • なお、悪性リンパ腫では「寝汗」はB症状として診断や病期評価で重要です。固形がん(頭頸部がん)では特異性は低いものの、併発症や治療の影響を通じて出現することがあります。 [5] [3]

頭頸部がんで併発しやすい他の症状(寝汗と同時に起こりうるもの)

  • 口腔・咽頭の炎症や痛み、嚥下困難、口腔乾燥、味覚変化など、放射線治療に伴う局所症状が一般的です。これらが睡眠の質を下げ、夜間の不快感や発汗の自覚を助長することがあります。 [14] [15] [16]
  • 化学療法中の倦怠感、食欲低下、皮疹・掻痒(分子標的薬例:セツキシマブ関連の皮膚症状)なども併発し、睡眠障害と重なりやすい症状です。 [17]
  • 感染症の兆候(発熱、悪寒、寝汗、咳・咽頭痛、局所の発赤・腫脹など)は治療中に重要な警告サインで、夜間の汗はその一部として認められることがあります。 [6] [11]
  • 長期的には甲状腺機能異常(疲労感・寒がり・体重変化など)や他の内分泌合併症が生じ、体温調節・発汗に影響しうるため、定期的なホルモン検査が推奨されます。 [8] [10] [9]

実際的な見分け方と受診の目安

  • ほてりに伴う軽度の寝汗が治療中に一時的にみられることはありますが、強い寝汗が持続し寝具が濡れるほど、あるいは発熱・悪寒・震えを伴う場合は感染や他の原因が疑われます。こうした場合は速やかな連絡・受診が望まれます。 [1] [6] [12]
  • 頭頸部の放射線治療や化学療法の既往がある方で、体調の変動(寒がり、易疲労、体重変化など)が持続する場合は、甲状腺を含む内分泌評価を検討する価値があります。 [8] [9] [10]

まとめ

  • 夜間発汗は頭頸部がんに特異的な症状とは言い切れませんが、がん治療(放射線・化学療法・薬剤)の影響、感染症、内分泌機能変化、睡眠障害の一部として生じることがあり、がん診療の場面でしばしば問題になります。 [1] [3] [2] [10]
  • 併発症としては、局所の口腔・咽頭症状、倦怠感・食欲低下、皮疹、発熱・悪寒などが同時にみられやすく、強い寝汗や発熱があれば早期対応が重要です。 [14] [15] [17] [6]
  • 長期フォローでは甲状腺を含む内分泌合併症が体温調節に影響しうるため、定期的評価が推奨されます。 [8] [9] [10]

原因と併発症の整理(表)

区分主な機序・要因夜間発汗の特徴併発しやすい症状・所見対応のポイント
治療関連(放射線・化学療法・薬剤)ほてり誘発、薬剤性発汗ほてりに伴う汗、単独の寝汗もあり皮疹・掻痒、倦怠、味覚変化、口腔乾燥薬剤調整や支持療法を検討 [1] [7] [14]
内分泌機能変化(甲状腺など)甲状腺機能低下、TSH上昇など体温調節の変化で汗パターン変動寒がり、易疲労、体重変化長期的なホルモン検査と補充療法の検討 [8] [9]
感染症免疫低下時の発熱反応発熱・悪寒・寝汗がセットで出現咽頭痛、咳、局所発赤・腫脹38℃以上は緊急連絡・受診、培養・抗菌薬評価 [6] [12] [13]
がんそのもの・睡眠障害炎症性サイトカイン、心理的要因持続・反復する寝汗不眠、悪夢、痛み、不安睡眠衛生・症状緩和介入を併用 [2]
悪性リンパ腫(参考)B症状(寝汗・不明熱・体重減少)多量の寝汗発熱、体重減少、リンパ節腫大迅速な診断・病期評価(頭頸部がんとは別疾患) [5] [3]

夜間発汗が続く場合や、発熱・悪寒・震えを伴う場合、あるいは治療薬の変更後に悪化する場合は、原因の切り分け(感染症評価、薬剤の見直し、内分泌検査など)を主治医と相談することが大切です。 [6] [11] [8] [10]

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出典

  1. 1.^abcdefgCancer treatment: dealing with hot flashes and night sweats: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
  2. 2.^abcdefSleep-wake functioning along the cancer continuum: focus group results from the Patient-Reported Outcomes Measurement Information System (PROMIS(®)).(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  3. 3.^abcdefCancer treatment: dealing with hot flashes and night sweats: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
  4. 4.^Night sweats: a systematic review of the literature.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  5. 5.^abc국가암정보센터(cancer.go.kr)
  6. 6.^abcdefgKnow the Signs and Symptoms of Infection(cdc.gov)
  7. 7.^abCancer treatment: dealing with hot flashes and night sweats: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
  8. 8.^abcdefDisorders of endocrine function following cancer therapies.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  9. 9.^abcde[Hypothyroidism following combined treatment of pharyngolaryngeal carcinoma].(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  10. 10.^abcdefEndocrine sequelae of cancer and cancer treatments.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  11. 11.^abcCancer treatment - preventing infection: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
  12. 12.^abcPreventing Infections in Cancer Patients(cdc.gov)
  13. 13.^abPatient information - Head and neck cancer recurrent or metastatic - Cisplatin, fluorouracil and pembrolizumab(eviq.org.au)
  14. 14.^abcRadiation Therapy for Head and Neck Cancer(mskcc.org)
  15. 15.^abRadiation Therapy for Head & Neck Cancer(nyulangone.org)
  16. 16.^두경부 방사선 치료(mskcc.org)
  17. 17.^abChemotherapy & Targeted Drugs for Head & Neck Cancer(nyulangone.org)

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