
WHOの資料に基づく | 頭頸部がんでみられる疲労(倦怠感)の特徴や原因、受診の目安は何ですか?
要点:
頭頸部がんに伴う疲労は休息だけでは改善しにくく、治療の影響、貧血・栄養不足、睡眠障害、心理的要因などが重なる多因子性の症状です。日常生活に支障が出る、発熱や強い息切れ・めまいを伴う場合は早めに受診し、評価ツールを用いた評価と原因治療、運動・栄養・睡眠の見直しを組み合わせます。
頭頸部がんに伴う疲労(倦怠感):特徴・原因・受診の目安
頭頸部がんの治療中や治療後にみられる疲労(倦怠感)は、単なる「疲れ」とは異なり、休んでも十分に回復しない強いだるさやエネルギー低下が続くことが多いです。治療の影響と病気そのものの負荷が重なり、日常生活や集中力、気分にまで影響しやすいのが特徴です。 [1] 多くの場合、治療開始から2〜3週間で自覚され、軽度から重度まで幅があり、治療終了後もしばらく続くことがあります。 [2] [3]
疲労の主な特徴
- 休息で十分に改善しないだるさ(「身体が重い」「動きが遅くなる」などの自覚)。 [1]
- 集中力の低下や気力の減退(物事に取り組む意欲が湧きにくい)。 [1]
- 睡眠の質の低下や日中の眠気が重なることがある(睡眠関連の障害が疲労を悪化)。 [4]
- 治療中期以降に強まる傾向(化学放射線療法や放射線単独療法で顕著)。 [3] [5]
疲労を引き起こす主な原因
治療に伴う要因
- 放射線の全身的影響(正常細胞の障害・炎症性サイトカインの増加などで疲労が増悪)。 [3] [6]
- 化学療法や分子標的薬の副作用(食欲低下、末梢神経障害、聴力低下などが重なりエネルギーを消耗)。 [7]
- 治療スケジュール・通院負担(移動や待ち時間による体力消耗)。 [3]
身体的・代謝的要因
- 貧血(赤血球低下)や炎症(酸素運搬能力・代謝の低下で持久力が落ちる)。 [8] [9]
- 感染・発熱・脱水(体内水分不足や熱産生増加で疲労が増す)。 [8]
- 栄養不足・摂食困難(嚥下障害や口腔痛に伴うカロリー不足・筋力低下)。 [8]
- 睡眠障害(閉塞性睡眠時無呼吸を含む)(頭頸部がんでは治療前後ともに有病率が高め)。 [6]
心理社会的要因
いつ受診・相談すべきか(目安)
評価・スクリーニングの方法
医療現場では、疲労の強さや生活への影響を短時間で把握するために以下のような自己記入式尺度が使われます。
- Brief Fatigue Inventory(BFI):疲労の強さと生活機能への影響を簡便に評価。 [9]
- Modified Brief Fatigue Inventory(MBFI):頭頸部がん向けに設計された改良版で、信頼性・妥当性が高い評価ツールです。 [5]
- PROMIS(疲労・睡眠障害などの領域):他のQOL尺度と有意に関連し、包括的な生活の質評価に有用です。 [4]
- Four-Item Fatigue Scale(FIFS):短時間でのスクリーニングに役立つ4項目版。 [13]
対処法・セルフケアのポイント
日常でできる工夫
- こまめな休息(短時間の昼寝:1時間以内)でリズムを整える。 [14]
- エネルギーマネジメント(優先順位をつけ、負荷の高い作業は体調の良い時間帯に)。 [14]
- 十分な水分と栄養(たんぱく質と総カロリーを意識、必要に応じて栄養サポートを活用)。 [14] [8]
- 軽い有酸素運動と筋力トレーニング(可能な範囲で毎日少しずつ、理学療法・作業療法の併用が効果的)。 [15] [16]
- 睡眠衛生の改善(就寝・起床時刻の固定、寝る前の刺激物を控える、昼寝は短く)。 [4]
医療的介入(原因に応じて)
- 貧血・感染・脱水・痛みの治療など、明確な原因がある場合は原因治療が第一です。 [11] [8]
- 睡眠時無呼吸が疑われる場合は検査・CPAP導入が検討されます。 [6]
- 薬物療法は状況により検討され、抗うつ薬や刺激薬などが使われることがありますが、効果は個人差があります。 [9]
- リハビリテーション(理学療法・作業療法)はエネルギー向上と生活動作の最適化に役立ちます。 [15] [16]
よくある誤解と注意点
- 「休めば治る」は当てはまらないことが多い:がん関連疲労は休息だけでは回復しにくく、運動・栄養・睡眠・心理支援を組み合わせた多面的対応が有効です。 [9] [8]
- 疲労の強さは病勢だけで決まらない:治療内容、睡眠障害、心理的要因など複数の因子が絡みます。 [6] [5]
- 自己判断での過度な活動か完全休養は逆効果:「少しずつ、計画的に」身体活動を戻すことが推奨されます。 [14] [15]
まとめ
頭頸部がんに伴う疲労は、治療の影響・身体的要因・睡眠障害・心理社会的要因が重なる「多因子性の症状」です。 [9] 休んでも改善しない持続的なだるさや生活への支障がある場合は、早めに主治医へ相談し、原因評価(貧血・感染・睡眠障害など)と多面的な対処を進めましょう。 [10] [11] 評価ツール(MBFI・PROMISなど)を活用し、リハビリや栄養・睡眠の見直しを組み合わせることで、生活の質を高めていくことが期待できます。 [5] [4]
関連する質問
出典
- 1.^abcManaging Cancer-Related Fatigue(mskcc.org)
- 2.^↑Radioterapia de cabeza y cuello(mskcc.org)
- 3.^abcdતમારા માથા અને ગરદન માટે રેડિયેશન થેરાપી(mskcc.org)
- 4.^abcdPROMIS evaluation for head and neck cancer patients: a comprehensive quality-of-life outcomes assessment tool.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 5.^abcdValidation of the Modified Brief Fatigue Inventory in head and neck cancer patients.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 6.^abcdObstructive sleep apnea and fatigue in head and neck cancer patients.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 7.^↑Chemotherapy & Targeted Drugs for Head & Neck Cancer(nyulangone.org)
- 8.^abcdefghiManaging Cancer-Related Fatigue(mskcc.org)
- 9.^abcdeFatigue in cancer: a review of literature.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 10.^abCancer fatigue: Why it occurs and how to cope(mayoclinic.org)
- 11.^abcCancer fatigue: Why it occurs and how to cope(mayoclinic.org)
- 12.^abcCómo hacer frente al cáncer - maneje la fatiga: MedlinePlus enciclopedia médica(medlineplus.gov)
- 13.^↑Four-item fatigue screen: replacing the Brief Fatigue Index.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 14.^abcdPatient information - Head and neck cancer recurrent or metastatic - Carboplatin, fluorouracil and pembrolizumab(eviq.org.au)
- 15.^abcSupport for Oral Cancer(nyulangone.org)
- 16.^abSupport for Nasopharyngeal Cancer(nyulangone.org)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


