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2026年2月15日5分で読める

WHOの資料に基づく | 頭頸部がんに関連するめまいはどのような原因で起こり、どの部位の腫瘍で生じやすく、注意すべき随伴症状や受診の目安は何ですか?

要点:

頭頸部がんのめまいは、内耳(前庭)への放射線影響、頭蓋底・咽頭周辺の腫瘍による神経圧迫、副鼻腔・耳の病変などが原因です。耳・側頭骨、頭蓋底・咽頭、副鼻腔・鼻腔、喉頭・口腔の腫瘍で生じやすく、耳鳴り・難聴、失神、止まらない鼻出血などは注意が必要です。強い回転性めまいや失神はすぐ受診、持続する耳症状や鼻副鼻腔の赤旗サインは早めに受診が目安です。

頭頸部がんに伴う「めまい」の原因・好発部位・注意症状・受診目安

頭頸部がんに関連するめまいは、がんそのものの位置や広がり、耳や神経への影響、治療(特に放射線治療)の影響など、いくつかの要因が重なって起こることがあります。原因や随伴症状を整理して把握することが、早期受診や適切な対応につながります。


めまいの主な原因

  • 内耳(前庭)への影響

    • 放射線治療で内耳が照射範囲に入ると、前庭機能(体のバランスをとる器官)が障害され、ふらつきや回転性めまいが生じることがあります。治療後数週間~数か月で徐々に現れ、検査上も前庭機能の異常が増えていくことが報告されています。 [1] [2]
    • 動物・ヒトで、内耳の出血やむくみ、感覚毛細胞の変化が起こり、めまい・眼振(勝手に眼球が揺れる)などにつながることが示されています。 [3]
  • 腫瘍による神経圧迫

    • 咽頭や頭蓋底近くの腫瘍が、舌咽神経(第IX脳神経)などを圧迫・刺激すると、失神や起立時の血圧低下が起こり、めまい・ふらつき感として現れる場合があります。 [4]
  • 耳・副鼻腔の病変による二次的影響

    • 副鼻腔や鼻腔のがんで、慢性的な副鼻腔炎、鼻出血、頭痛、眼周囲の痛み・腫れなどが続くと、耳管機能や中耳の換気に影響し、耳鳴り・聴こえづらさとともに平衡感覚への影響が出ることがあります。 [5] [6]
    • 中咽頭・喉頭・口腔のがんでは、耳痛や聴こえの問題が伴うことがあり、これがめまい感の訴えと共存することがあります。 [5] [6]

めまいを起こしやすい「腫瘍の部位」

  • 耳・側頭骨周辺(内耳が照射・浸潤の影響を受ける場合)
    放射線治療で内耳が含まれる治療範囲になったケースでは、検査所見で前庭機能異常が約4〜5割に認められ、主観的なめまい症状も一部で報告されています。総線量との明確な相関は乏しい一方、時間経過で異常率が増える傾向があります。 [1]

  • 頭蓋底・咽頭周辺(神経圧迫に注意)
    舌咽神経領域の圧迫により失神や体位性低血圧が起こり、めまいの形で自覚されることがあります。首・頭蓋底の腫瘍でこうした症状が出たら要注意です。 [4]

  • 副鼻腔・鼻腔
    鼻出血、頭痛、眼周囲の痛み・腫れ、上顎歯の痛みなどが続くがんでは、耳症状(耳鳴り・聴こえづらさ)と併存してめまいが訴えられることがあります。 [5] [6]

  • 喉頭(声帯)・中咽頭・口腔
    嚥下時痛、持続する喉の痛み、耳痛、声のかすれなどがあり、首のしこりを触れることもあります。これらにめまいが伴う場合、耳・前庭系の二次影響や治療影響を考慮します。 [7] [8]


注意すべき随伴症状(赤旗サイン)

  • 耳症状の持続・進行:耳鳴り、難聴、耳痛が続く・悪化する。前庭障害の関与や耳の浸潤・治療影響を示唆します。 [5] [6] [1]
  • 神経症状:失神、起立時のふらつきと血圧低下、反復する気を失うエピソード。舌咽神経などの圧迫の可能性があります。 [4]
  • 鼻・副鼻腔の警戒サイン:止まらない鼻出血、頑固な鼻閉、治療に反応しない副鼻腔炎、頭痛、眼周囲の痛み・腫れ、上顎歯痛。副鼻腔・鼻腔腫瘍を示唆します。 [5] [6]
  • 口腔・咽頭のサイン:治らない口内潰瘍、飲み込み痛、持続する喉痛、咳血、声がれ、首のしこり。部位特異的な頭頸部がんの症状です。 [7] [9] [8]

受診の目安

  • すぐ受診(当日〜翌日)

    • 新たな回転性めまいが強く、嘔吐や歩行困難を伴う。内耳障害や急性前庭症の可能性があり、治療歴があれば放射線影響も考慮します。 [1] [2]
    • 失神、起立時の急なふらつきと血圧低下が反復する。神経圧迫の可能性があり、救急受診も検討します。 [4]
  • 早めに受診(数日以内)

    • 数日以上続くめまいに、耳鳴り・難聴・耳痛が伴う。耳・前庭系の障害や治療影響の評価が必要です。 [1] [2] [5] [6]
    • 鼻出血が止まりにくい、頑固な鼻閉や頭痛、眼周囲の痛み・腫れ、上顎歯痛が続く。副鼻腔・鼻腔病変の精査が必要です。 [5] [6]
  • 計画的に受診(定期診察で相談)

    • 放射線治療後に軽いふらつきが出て、生活に大きく支障はない。徐々に中枢補償が働き軽快することもありますが、前庭機能検査(温度刺激、回転検査など)での確認が望ましいです。 [3] [1]

診断・評価のポイント

  • 耳鼻咽喉科・頭頸部外科での総合評価
    既往の治療範囲(内耳が照射されたか)、線量、症状の時間経過を確認し、前庭機能検査(温度刺激検査・回転検査・眼振記録)や聴力検査を行うのが一般的です。 [1] [2]
  • 画像検査の検討
    神経圧迫が疑われる場合は、頸部〜頭蓋底の造影MRI/CTで腫瘍の広がりと神経・血管への影響を評価します。 [4]
  • 随伴症状の系統的チェック
    口腔・咽頭・喉頭・副鼻腔の症状を部位別に確認し、頑固な症状や治療抵抗性がある場合は積極的な精査を行います。 [7] [5] [6] [9] [8]

治療・対処の考え方

  • 原因に応じた対処
    放射線後前庭障害では、リハビリ(前庭リハ)や生活指導での改善が期待できますが、症状強い場合は薬物療法(めまい止め・抗悪心薬)を検討します。耳症状が強い場合は併発する聴覚障害の管理も重要です。 [1] [2]
  • 腫瘍・神経圧迫への対応
    失神や重度の自律神経症状を伴う場合は、腫瘍の治療方針(手術・放射線・薬物)の再評価が必要になります。 [4]
  • 合併症の予防
    内耳が照射範囲に入る可能性がある計画では、線量の配分・分割(分割照射)などで聴覚・前庭障害のリスク低減を図る工夫が行われます。 [2]

症状チェック表(受診時に役立つポイント)

  • めまいのタイプ(回転性/ふらつき)と発症時期、持続時間、きっかけをメモ。
  • 耳鳴り・難聴・耳痛、首のしこり、口内潰瘍、飲み込み痛、声がれ、鼻出血、鼻閉、頭痛、眼周囲の痛み・腫れ、歯痛などの有無。 [7] [5] [6] [9] [8]
  • 放射線治療の有無と時期、照射範囲(耳の近くか)、他の治療歴。 [1] [2]
  • 失神や起立時のふらつき・血圧低下のエピソード。 [4]

まとめ

頭頸部がんに伴うめまいは、内耳・前庭系への治療影響(とくに放射線)、頭蓋底・咽頭周辺腫瘍による神経圧迫、副鼻腔・耳の病変に随伴する耳症状などが主な原因として考えられます。回転性の強いめまい、失神・体位性低血圧、持続する耳症状や鼻・副鼻腔の赤旗サインがある場合は早めの受診が勧められます。 [3] [1] [4] [2] [7] [5] [6] [9] [8]


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出典

  1. 1.^abcdefghijVestibular apparatus disorders after external radiation therapy for head and neck cancers.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  2. 2.^abcdefghRadiation effects on the auditory and vestibular systems.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  3. 3.^abc[Modification of vestibular function after radiation therapy for head and neck tumors].(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  4. 4.^abcdefghSyncope: a clue to malignant compression of the glossopharyngeal nerve.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  5. 5.^abcdefghijHead and Neck Cancers Basics(cdc.gov)
  6. 6.^abcdefghijHead and Neck Cancers Basics(cdc.gov)
  7. 7.^abcdeHead and neck cancers - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
  8. 8.^abcdeHead and Neck Cancer(medlineplus.gov)
  9. 9.^abcdHead and Neck Cancer Symptoms & Signs | Memorial Sloan Kettering Cancer Center(mskcc.org)

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