
WHOの資料に基づく | 頭頸部がんの症状として血便が出ることはありますか?もしある場合、考えられる原因や受診の目安を教えてください。
頭頸部がんでは血便は典型的症状ではなく、見られた場合は消化管出血が疑われます。化学療法・免疫療法の副作用、照射部位の影響、極めて稀な消化管転移や別疾患が原因になりえます。大量出血や黒色便などがあれば早急に受診し、消化器内科で内視鏡などの評価を受けましょう。
要点まとめ
頭頸部がんそのものの典型症状として「血便(下血・赤い血が混じった便)」は一般的ではありません。頭頸部がんの主な症状は、口内の治りにくい潰瘍、嚥下痛・嚥下困難、嗄声、鼻出血、咳嗽や喀血など、病変のある部位(口腔・咽頭・喉頭・鼻腔)に関連したものが中心です。 [1] [2] ただし、血便が出る場合は消化管(胃腸)での出血が疑われ、頭頸部がんの治療や病状に関連した間接的な原因がありうるため、速やかな評価が必要になります。 [3] [4]
頭頸部がんで血便が起こりうる状況(間接的な関連)
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化学療法・免疫療法に伴う消化管障害
一部のレジメンでは黒色便(タール便)や腹痛・下痢などの消化器症状が起きることがあり、粘膜障害や薬剤性腸炎が背景にある可能性があります。こうした症状は重症化すると便に血が混じることがあります。 [5] [6] -
放射線治療の影響(照射野による)
放射線の副作用は基本的に「照射された部位」に限局しますが、腹部・骨盤に照射が及ぶ場合は、腸炎や直腸出血など消化管出血が生じることがあります。頭頸部照射では口腔・咽頭の副作用が中心で、通常は消化管出血を直接は来しませんが、一般論として放射線は照射部位によって消化管出血を起こすことがあります。 [7] [8] -
消化管への転移(非常に稀)
頭頸部扁平上皮がんが胃や小腸へ転移する例は極めて稀ですが、報告があり、消化管出血として現れることがあります。胃転移による大量消化管出血や、小腸転移による穿孔・出血がケースレポートで示されています。 [9] [10] また、文献レビューでは頭頸部扁平上皮がんの小腸転移は稀少で予後不良とされています。 [11] -
PEG(胃ろう)関連の稀な転移・出血
嚥下障害のため胃ろうを造設した場合、非常に稀ながら造設部への腫瘍細胞播種が起き、貧血や便潜血陽性(目に見えない出血)などで気づかれることがあります。 [12] -
がん患者に合併する消化管の良性病変や別原疾患
がん患者でみられる消化管出血の多くは、胃潰瘍・胃炎・十二指腸潰瘍などの良性病変が原因であり、必ずしも原発がんとは直接関係しないことがあります。迅速な内視鏡評価が診断・治療の要となります。 [13] [14]
血便が疑われるときの受診の目安
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緊急受診が望ましい状況
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速やかに外来受診すべき状況
受診時に伝えると役立つ情報
- 出血の色と量(鮮赤色か暗赤色か、黒色便か)、いつから、どれくらい頻度か。 [3]
- 伴う症状(腹痛、発熱、嘔吐、ふらつき、動悸、体重減少など)。 [15]
- 現在の治療内容(化学療法のレジメン、免疫療法、放射線治療の有無・部位)と最近の開始時期。 [5] [6] [8]
- 服薬歴(NSAIDs、抗血小板薬、抗凝固薬など出血を悪化させる薬の有無)。 [15]
よくある原因と検査の流れ(消化管出血)
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上部消化管出血のサイン
黒色・タール便、暗赤色が混じる便、吐血・コーヒー残渣様嘔吐などが目安です。胃炎・潰瘍、食道炎、薬剤性などが原因として多く、内視鏡で診断・止血します。 [3] [13] [14] -
下部消化管出血のサイン
鮮赤色の血便が典型で、痔核・憩室・虚血性腸炎・炎症性腸疾患などが鑑別に挙がります。搬送時はまず循環動態の安定化を行い、リスク層別化をした上で大腸内視鏡を含む評価を行います。 [4] [3]
まとめ
- 頭頸部がんの代表的症状に血便は含まれないため、血便が出たときは消化管出血の可能性を考え、早めの消化器評価が必要です。 [1] [2]
- 一方で、治療関連(化学療法・免疫療法)や稀な転移など、頭頸部がんに「間接的に関連する理由」で消化管出血が起こることはあり得ます。症状がある場合は担当医に相談し、必要に応じて内視鏡検査を受けましょう。 [5] [6] [9] [10] [11] [14]
関連する質問
出典
- 1.^abHead and neck cancers - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
- 2.^ab두경부암(Head and Neck Cancer) | 질환백과 | 의료정보 | 건강정보(amc.seoul.kr)
- 3.^abcdeGastrointestinal Bleeding(medlineplus.gov)
- 4.^abcNew ACG Lower GI Bleeding Guideline - American College of Gastroenterology(gi.org)
- 5.^abcdPatient information - Head and neck cancer recurrent or metastatic - Cisplatin, fluorouracil and pembrolizumab(eviq.org.au)
- 6.^abcdPatient information - Head and neck cancer recurrent or metastatic - Carboplatin, fluorouracil and pembrolizumab(eviq.org.au)
- 7.^↑국가암정보센터(cancer.go.kr)
- 8.^ab두경부 방사선 치료(mskcc.org)
- 9.^ab[Digestive haemorrhage in a patient with oropharyngeal cancer. A case study].(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 10.^abPerforation of the small bowel due to metastasis from tongue cancer.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 11.^abComprehensive review of small bowel metastasis from head and neck squamous cell carcinoma.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 12.^↑Metastasis of untreated head and neck cancer to percutaneous gastrostomy tube exit sites.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 13.^abGastrointestinal hemorrhage in the cancer patient.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 14.^abcdGastrointestinal bleeding in the cancer patient.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 15.^abGastrointestinal bleeding - Diagnosis and treatment(mayoclinic.org)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


