
WHOの資料に基づく | 胆嚢がんの症状としての吐き気はどの程度みられ、どのような原因で起こりますか?
要点:
胆嚢がんでは、吐き気・嘔吐は初期には少ないものの進行期に比較的よくみられ、腹痛や食欲低下、黄疸と併発することがあります。主因は胆道閉塞による胆汁うっ滞、腸閉塞や胃排出遅延、腫瘍関連炎症、肝機能低下や電解質異常などの代謝要因、腹水、痛み・不安・便秘、手術や抗がん剤の副作用で、原因是正と制吐薬の併用が推奨されます。
胆嚢がんにおける吐き気(悪心):頻度と原因
胆嚢がんでは、吐き気(悪心)・嘔吐は比較的よくみられる症状のひとつで、特に病気が進行した段階で目立ちやすくなります。胆嚢がんは初期には症状が乏しいことが多いものの、進行に伴って食欲不振、体重減少、吐き気・嘔吐などの消化器症状が現れ、日常生活の質に影響を及ぼします。これらの症状は胆嚢がん以外の原因でも起こり得るため、全体像を踏まえた評価が重要です。 [1] 吐き気や腹痛、食欲低下、黄疸などは胆嚢がんの一般的な症状群として報告されています。 [2] [3]
吐き気はどのくらいの頻度でみられるか
- 進行例で比較的頻繁にみられる:胆嚢がんは進行するまで症状が乏しいことが多いですが、進行すると吐き気・嘔吐が出現しやすくなります。 [1] 進行例では腹部痛や膨満、吐き気・嘔吐、食欲低下、体重減少、疲労、黄疸などが同時にみられることがあります。 [2] [4] [3]
- 初期段階でも出ることはあるが稀:胆嚢がんは早期に症状が少ないのが特徴で、症状が出ても非特異的で見逃されやすい傾向があります。 [1] [3]
なお、進行がん全般では吐き気・嘔吐はよくみられる症状とされ、原因に基づいた評価・対策が推奨されています。 [5] [6]
吐き気が起こる主な原因(機序)
胆嚢がんに伴う吐き気・嘔吐の原因は単一ではなく、複数の要因が重なって起こることが多いです。以下に代表的なメカニズムを示します。
1. 胆道閉塞(黄疸・胆汁うっ滞)
- 腫瘍が胆管を塞ぐ、あるいは拡大した胆嚢が胆道を圧迫すると胆汁の流れが妨げられ、黄疸や皮膚のかゆみ、消化不良、悪心・嘔吐が生じやすくなります。 [7] [8] 胆道の閉塞がある場合、内視鏡や経皮的にステント(小さな管)を留置して胆汁の排出を改善することで、黄疸や悪心・嘔吐などの症状緩和が期待できます。 [9]
2. 十二指腸や大腸の閉塞・圧迫
- 腫瘍の直接浸潤や周囲組織の変化により、十二指腸や腸管の通過障害(閉塞)が生じると、食後の膨満感、吐き気、嘔吐(特に吐くと一時的に楽になるタイプ)が出現します。 [7] [8] 進行がんでみられる悪心のパターンとして、食事誘発性・嘔吐で軽快するタイプは胃排出遅延や腸閉塞を示唆します。 [6]
3. 腫瘍関連の炎症・サイトカインによる食欲低下・悪心
- 胆嚢がんはしばしば慢性炎症の背景を持ち、炎症性サイトカインの放出が自律神経・中枢(延髄の嘔吐中枢)に影響し、吐き気や食欲低下を招くことがあります。 [10] 進行に伴う体重減少や倦怠感とともに悪心が増悪することがあります。 [7] [1]
4. 肝転移・肝機能障害による代謝異常
- 胆嚢がんは肝臓に近接しており、肝内浸潤や転移により肝機能が低下すると、尿毒症状や電解質異常、代謝性変化が悪心・嘔吐の引き金になります。 [7] 進行がん全体に共通する原因として、高カルシウム血症や腎機能低下、電解質異常などの代謝要因が悪心を惹起します。 [11] [6]
5. 腫瘍の消化管・中枢神経系への浸潤
- 消化管(胃・小腸)や中枢神経系への転移・浸潤は、直接的な嘔吐反射の活性化や胃腸運動障害を介して悪心・嘔吐を引き起こします。 [11]
6. 腹水(悪性腹水)・胃排出遅延(胃不全麻痺)
- 腹腔内の腫瘍進展に伴う悪性腹水や胃不全麻痺(胃の動きが遅くなる)も、持続的な悪心・早期飽満感・嘔吐の原因となります。 [11] 悪性腸閉塞の場面では、嘔吐の軽減にオクトレオチドや減圧目的の腹壁開放胃瘻が選択されることがあります。 [6]
7. 痛み・不安・便秘などの随伴要因
- 痛みや不安、便秘など、がん患者に一般的な随伴要因も悪心を増悪させます。これらはまず除外・是正しておくべき重要な原因です。 [11]
8. 治療(手術・化学療法)による副作用
- 手術後は消化管の動きが一時的に低下し、悪心・嘔吐が起こりやすくなります。高齢者では脱水や栄養不足のリスクに注意が必要です。 [12]
- 化学療法(抗がん剤)は中枢や腸管の受容体を刺激し、投与後早期から遅延性に悪心・嘔吐を起こします。多くのレジメンで予防的制吐薬が推奨され、5-HT3受容体拮抗薬、デキサメタゾン、場合によってはNK1受容体拮抗薬を組み合わせます。 [13] 吐き気対策は予防的投与が基本で、薬剤の催吐リスクに合わせて調整します。 [14] [15] [16]
悪心の「見分け方」のヒント
- 食後に増悪し嘔吐で楽になる:胃排出遅延(胃不全麻痺)や胃出口・小腸閉塞が示唆されます。 [6]
- 持続的で嘔吐しても楽にならない:薬剤性、代謝異常(高Ca、腎機能障害など)を考えます。 [6] [11]
- 黄疸やかゆみ、色の薄い便・濃い尿がある:胆道閉塞(胆汁うっ滞)を示唆し、ステントなどの減黄治療で症状が軽くなることがあります。 [3] [9]
吐き気への対処:原因に合わせたアプローチ
原因是正(第一選択)
- 胆道閉塞の解除:内視鏡的または経皮的ステント留置で胆汁流を回復させる。これにより黄疸や悪心の緩和が期待できます。 [9]
- 腸閉塞への対応:減圧、外科的バイパス、オクトレオチド、コルチコステロイドなどを症状・病状に応じて検討します。 [6]
- 代謝異常の補正:電解質是正、高カルシウム血症治療、腎機能・尿毒症対策などを行います。 [11] [6]
- 便秘・痛み・不安の緩和:緩下薬、鎮痛、心理的サポートなどで悪心の増悪因子を減らします。 [11]
薬物療法(制吐薬)
- 5-HT3受容体拮抗薬(例:オンダンセトロン)は化学療法性・腸管由来の悪心に有効で、安全性も良好です。便秘予防策を併用します。 [15] [16]
- ドパミン拮抗薬(例:メトクロプラミド、フェノチアジン系)は胃排出遅延や中枢性悪心に有用です。 [6]
- デキサメタゾンは遅延性悪心・悪性腸閉塞で有効性が示唆されています。 [16] [6]
- 多受容体作用薬や併用療法:単剤で不十分な場合、受容体の異なる薬剤を組み合わせて効果を高めます。 [6]
まとめ
- 吐き気・嘔吐は胆嚢がんで進行とともに比較的よくみられ、非特異的症状として初期から出現することもあります。 [1] [2] [3]
- 主な原因は、胆道閉塞(黄疸・胆汁うっ滞)、腸閉塞・胃排出遅延、腫瘍関連炎症・サイトカイン、肝機能低下や代謝異常、治療(手術・化学療法)の副作用などが重なり合うことです。 [7] [8] [9] [11] [10] [6] [13] [14] [15] [16]
- 対策は「原因に基づく是正」が第一で、必要に応じて制吐薬を予防的・併用的に用いることが推奨されます。 [6] [13] [14] [15] [16]
関連する質問
出典
- 1.^abcde담낭암 [Gallbladder cancer] | 건강정보(health.severance.healthcare)
- 2.^abcGallbladder Cancer(mskcc.org)
- 3.^abcdeGallbladder Cancer Signs & Symptoms(mskcc.org)
- 4.^↑Gallbladder Cancer Signs & Symptoms(mskcc.org)
- 5.^↑Nausea and vomiting in advanced cancer.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 6.^abcdefghijklmNausea and vomiting in advanced cancer.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 7.^abcde담낭암(GB cancer) | 질환백과 | 의료정보 | 건강정보(amc.seoul.kr)
- 8.^abc담낭암(GB cancer) | 질환백과 | 의료정보 | 건강정보(amc.seoul.kr)
- 9.^abcdSymptom Relief for Gallbladder Cancer(mskcc.org)
- 10.^abChronic inflammation and gallbladder cancer.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 11.^abcdefgh7-Prevention of anti-cancer therapy induced nausea and vomiting (AINV)(eviq.org.au)
- 12.^↑국가암정보센터(cancer.go.kr)
- 13.^abc국가암정보센터(cancer.go.kr)
- 14.^abc7-Prevention of anti-cancer therapy induced nausea and vomiting (AINV)(eviq.org.au)
- 15.^abcd7-Prevention of anti-cancer therapy induced nausea and vomiting (AINV)(eviq.org.au)
- 16.^abcde7-Prevention of anti-cancer therapy induced nausea and vomiting (AINV)(eviq.org.au)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


