
WHOの資料に基づく | 胆嚢がんの症状として視力低下や視野異常などの視覚障害が生じることはありますか?
胆嚢がんでは視力低下や視野異常は典型的な直接症状ではありません。まれに転移や傍腫瘍症候群で視覚障害が起こることがあり、新たな眼症状が出た場合は眼科とがん担当科での評価が推奨されます。
胆嚢がんと視覚障害の関係
胆嚢がんそのものの典型的な症状には、上腹部痛、腹部膨満、体重減少、黄疸(皮膚や眼球の白目が黄色くなる)などが挙げられますが、視力低下や視野異常といった視覚障害は一般的な直接症状には含まれません。 [1] ただし、黄疸によって白目が黄色く見えることはありますが、これは「目の色の変化」であり、視力や視野の障害とは別の現象です。 [1] [2]
視覚障害が起こりうる間接的な状況
胆嚢がんに関連して、まれではあるものの、以下のような経路で視覚症状が現れる可能性があります。頻度は非常に低く、例外的です。
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黄疸による見た目の変化
胆汁の流れが妨げられるとビリルビンが体内に蓄積し、皮膚や白目が黄色くなりますが、これは視力低下ではありません。 [1] [3] -
転移による影響(極めて稀)
がんが脳や眼窩(目の周り)へ転移した場合、視野欠損、複視、眼球突出、眼瞼下垂などの眼症状が起こることがあります。 [4] 脳転移は胆嚢がんでは臨床的に非常に稀ですが、報告例があり、単発脳腫瘍の鑑別に転移が含まれることがあります。 [5] 眼窩転移は一般に様々ながんで起こりえますが、予後不良であることが多く、胆嚢がんでの報告は稀です。 [4] [6] -
傍腫瘍(パラネオプラスティック)症候群による視覚障害(極めて稀)
一部のがんでは、免疫反応が網膜や視神経を障害して視力低下、光視症(チカチカ見える)、輪状暗点(リング状の視野欠損)などを引き起こすことがあります(がん関連網膜症:CAR、メラノーマ関連網膜症:MAR、傍腫瘍性視神経症:PON)。 [7] CARでは眼底動脈の狭小化やERG(網膜電図)の反応消失が特徴的です。 [7] これらは主に小細胞肺がんや皮膚メラノーマなどで知られていますが、胆嚢がんでも稀に傍腫瘍性神経症候群が報告されています(例:抗Hu抗体関連の感覚性ニューロパチー)。 [8] 傍腫瘍性視覚障害はステロイド、血漿交換、免疫グロブリン療法、原疾患の治療で改善の可能性がある一方、予後は原発腫瘍に依存します。 [7]
胆嚢がんの代表的症状(再確認)
- 黄疸(白目・皮膚の黄変)、濃い尿、淡色便がみられることがあります。 [1] [3]
- 右上腹部痛、腹部膨満、食欲低下、体重減少、発熱、疲労感、腹部のしこりなどが現れることがあります。 [1] [3]
- 早期は無症状のことが多く、診断が遅れがちで治療が難しい場合があります。 [2]
眼症状を伴う場合の受診の目安
胆嚢がんが疑われる・診断済みで、以下の視覚症状が新たに出現した場合は、早めに眼科と腫瘍内科(あるいは消化器外科)での評価を受けることが望ましいです。
- 急激な視力低下、視野の欠け(暗点・リング状暗点)、光がちらつくなどの網膜症状。 [7]
- 複視、眼球突出、眼瞼下垂、眼痛などの眼窩症状。 [4]
- 原因不明の視神経症状(視力低下+視神経乳頭浮腫/萎縮)が疑われる場合。 [9]
これらがある場合、頭部・眼窩の画像検査(MRI/CT)、眼科的電気生理(ERG)、自己抗体(例:抗recoverin、抗CRMP-5/抗CV2、抗Huなど)の評価が検討されます。 [7] [9] [8]
まとめ
- 視力低下や視野異常は、胆嚢がんの一般的・直接的な症状ではありません。 [1] [2]
- ただし、黄疸による白目の黄変はよく見られますが、視力低下とは別です。 [1] [3]
- 極めて稀ながら、転移や傍腫瘍性機序によって視覚障害が起こる可能性があります。 [4] [5] [7] [8]
- 眼症状がある場合は、眼科とがん治療担当科での連携評価が推奨されます。 [7]
用語解説
- 黄疸(おうだん):ビリルビンが体内に蓄積して皮膚や白目が黄色くなる状態。胆道の閉塞や肝障害で起こります。 [1] [3]
- 傍腫瘍(パラネオプラスティック)症候群:がんに対する免疫反応が神経・網膜・内分泌などの正常組織を障害することで起こる一群の症状。視覚系ではCAR、MAR、PONなどがあります。 [7]
- 眼窩転移:目の周囲の骨や軟部組織への転移で、眼球突出や複視などをきたす病態。 [4]
参考のポイント一覧
- 胆嚢がんの主症状は腹部症状や黄疸であり、視力低下・視野異常は典型的ではない。 [1] [2]
- 視覚障害が出た場合は、胆嚢がん以外の原因(眼科疾患、脳・眼窩病変、傍腫瘍性機序)を含めて総合的に評価が必要。 [7] [4] [5]
- 免疫治療(ステロイド、IVIG、血漿交換)や原発腫瘍の治療で一部の傍腫瘍性視覚障害は改善の可能性。 [7]
ご自身に当てはまる眼の症状がある場合、いつ頃から、どのような見え方の変化があるか教えていただけますか?
関連する質問
出典
- 1.^abcdefghiGallbladder cancer - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
- 2.^abcdGallbladder Cancer(medlineplus.gov)
- 3.^abcdeGallbladder Cancer Signs & Symptoms(mskcc.org)
- 4.^abcdefOrbital metastases.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 5.^abcBrain metastasis as an initial manifestation of a gallbladder carcinoma.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 6.^↑Metastatic tumor formation: processes within the visual system.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 7.^abcdefghij[Paraneoplastic retinopathy and optic neuropathy].(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 8.^abcParaneoplastic sensory neuropathy associated with small cell carcinoma of the gallbladder.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 9.^abOptic neuropathy: a rare paraneoplastic syndrome.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


