Medical illustration for PubMedの資料に基づく | クローン病ではどのような視覚の問題(視力低下、かすみ目、光過敏、目の痛み・充血など)が現れることがありますか? - Persly Health Information
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2026年2月16日5分で読める

PubMedの資料に基づく | クローン病ではどのような視覚の問題(視力低下、かすみ目、光過敏、目の痛み・充血など)が現れることがありますか?

要点:

クローン病では、上強膜炎・強膜炎・ぶどう膜炎・角膜病変・ドライアイ・眼瞼炎などの眼合併症により、視力低下、かすみ目、光過敏、眼痛、充血が生じることがあります。上強膜炎は腸の活動性と連動しやすく、強膜炎やぶどう膜炎は独立して発症することもあるため、異常を感じたら早期の眼科受診が重要です。強い痛みや急な視力低下、深い充血は緊急受診のサインで、局所治療と全身治療の連携が推奨されます。

クローン病と目の症状:起こりうる視覚トラブルと対応

クローン病(炎症性腸疾患の一種)では、腸以外の臓器にも炎症が及ぶ「腸管外合併症」がみられることがあり、目(眼)の炎症や不快症状が起こることがあります。代表的には、ぶどう膜炎(眼の中の中間層の炎症)、強膜炎・上強膜炎(白目の深部・表層の炎症)、角膜周辺の浸潤、ドライアイ、まぶたの炎症などが報告されており、視力低下、かすみ目、光過敏(まぶしさ)、目の痛み、充血、赤目といった症状につながることがあります。こうした眼症状は、病勢(腸の炎症の活動性)と連動する場合もあれば、独立して起こることもあります。 [1] 眼の症状は比較的よくみられますが、必ずしも重い眼炎症に直結するわけではなく、ドライアイやまぶたの炎症など非特異的な原因のこともあります。 [2]


起こりやすい眼合併症と症状

  • 上強膜炎(episcleritis)
    白目の表層(上強膜)の炎症で、充血、チクチクした痛みや違和感、軽い圧痛が出やすいです。腸の炎症の活動性(フレア)と相関しやすいとされ、腸の治療が進むと落ち着くことがあります。 [1]

  • 強膜炎(scleritis)
    白目の深い層の炎症で、強い眼痛、深い充血、光過敏、時に視機能への影響が生じます。角膜周辺に大きな浸潤(潰瘍様変化)が生じることもあり、重症例では視力低下につながります。早期治療が重要です。 [1] [3]

  • ぶどう膜炎(uveitis:虹彩炎・虹彩毛様体炎など)
    眼内部の炎症で、かすみ目(霧視)、光過敏、視力低下、眼痛を起こしやすいです。前部ぶどう膜炎(虹彩炎等)は比較的軽症のこともありますが、反復すると合併症(癒着、眼圧変動)につながる場合があります。 [4] クローン病と関連する型(pars planitisなど)が若年男性でみられることがあり、精査が推奨されます。 [5]

  • 角膜周辺浸潤/潰瘍
    強膜炎に伴って角膜周辺に浸潤や潰瘍が発生し、痛みや光過敏、視力低下を招くことがあります。迅速な専門治療が必要です。 [1] [3]

  • ドライアイ(乾燥感、しょぼしょぼ、かすみ)
    炎症性腸疾患ではドライアイが比較的よくみられ、かすみ目、疲れ目、軽い痛み、赤みの原因となることがあります。眼科検査で診断されることがあり、点眼や生活調整で緩和可能です。 [2]

  • まぶたの炎症(眼瞼炎/ブレファリティス)
    まぶたのふけ様の分泌、赤み、刺激感が出て、二次的にかすみ目や不快感につながることがあります。 [2]


症状別にみる「視力低下・かすみ・光過敏・痛み・充血」

  • 視力低下
    強膜炎やぶどう膜炎、角膜病変が進行すると一時的または持続的な視力低下が起こることがあります。ぶどう膜炎では霧視や焦点が合いにくい感覚が典型的です。早期の眼科受診が勧められます。 [1] [4]

  • かすみ目(霧視)
    ぶどう膜炎やドライアイでよくみられ、夕方に悪化したり、光で見えにくいことがあります。点眼や炎症コントロールで改善が期待できます。 [4] [2]

  • 光過敏(まぶしさ)
    ぶどう膜炎や強膜炎、角膜病変で光を見ると痛みや眩しさが強まることがあります。サングラス活用や遮光レンズが一時的対策として有用です。 [1] [4]

  • 目の痛み
    強膜炎は強い深部痛を伴い、上強膜炎は軽い痛みや違和感が中心です。痛みが強く持続する場合は重症の可能性があり、専門的治療が必要です。 [1]

  • 充血・赤目
    上強膜炎・強膜炎で目が赤くなります。上強膜炎は病勢と連動しやすく、腸の炎症コントロールとともに落ち着くことがあります。 [1]


眼症状が起こりやすい背景と関連要因

  • 腸の病変部位
    クローン病では大腸や回盲部(回腸+大腸)の関与がある場合に、眼の炎症が相対的に起こりやすい傾向が示されています。 [1]

  • 関節症状の併存
    関節炎・関節痛がある方は眼炎症の頻度が高いと報告されています。全身性炎症が背景にあるため、包括的な診療が重要です。 [1]

  • 病勢との関係
    上強膜炎は腸の活動性と密接に関連し、強膜炎やぶどう膜炎は必ずしも腸の増悪と同期しない場合があります。つまり、腸が落ち着いていても眼症状が出ることはあり得ます。 [1]

  • 非特異的症状の多さ
    炎症性腸疾患では眼の不快症状が多い一方、重い眼炎症の割合は高くない調査もあり、単なるドライアイやまぶたの炎症が紛れていることがあります。体系的な眼科検査で鑑別します。 [2]


受診の目安と緊急サイン

  • 早めに眼科受診が望ましい症状

    • 新たな視力低下や持続する霧視。 [4]
    • 強い眼痛、夜間も続く痛み。 [1]
    • 光過敏の急な悪化。 [4]
    • 深い充血(濃い赤紫色)、触れると痛い。 [1]
  • 緊急に相談すべき場面

    • 急激な視力の低下や視野欠損。 [2]
    • 角膜のびらん・潰瘍が疑われる症状(強い痛み、涙、光に耐えられない)。 [3]
      こうした場合は、眼科の精密検査(細隙灯、眼底、眼圧など)と、必要に応じて全身治療の調整が考慮されます。 [4] [3]

診断と検査

  • 問診・視力検査・細隙灯検査・眼底検査
    眼科では充血の層(上強膜か強膜か)、前房の炎症(細胞・フレア)、虹彩の癒着などを評価します。ドライアイではBUT・シルマー試験が行われることがあります。 [2] [4]

  • 合併症の評価
    ぶどう膜炎のタイプ(前部/中間/後部)を見極め、必要ならMRIなどの精査が実施されることもあります(特に中間部ぶどう膜炎の一部で)。 [5]


治療の考え方

  • 局所治療(眼科)

    • ステロイド点眼や散瞳薬:前部ぶどう膜炎で炎症を抑え、癒着を防ぐために使われます。 [4]
    • 潤滑点眼(人工涙液)・抗炎症点眼:ドライアイや軽度の表層炎症に有効です。 [2]
  • 全身治療(消化器・内科連携)

    • 腸の炎症コントロールが、上強膜炎などの改善に寄与する場合があります。 [1]
    • 強膜炎や反復するぶどう膜炎では、全身ステロイド、免疫調整薬、生物学的製剤が考慮されることがあります。既存治療(5-ASA、ステロイド、免疫抑制薬)で腸と眼の両方が落ち着く例も報告されています。 [3]
  • 生活・セルフケア

    • 遮光(サングラス)や乾燥対策で症状緩和を図れます。
    • コンタクトレンズの一時中止や清潔なアイケアが有用です。
    • 自己判断でステロイド点眼を継続しないことが大切で、眼圧や副作用管理のため医師の指示を守るようにしましょう。 [4]

症状と所見の整理(一覧表)

眼症状主な原因候補伴いやすい所見受診の目安
視力低下ぶどう膜炎、強膜炎、角膜周辺浸潤霧視、前房炎症、深い充血速やかに眼科受診(当日〜数日以内) [1] [4]
かすみ目ぶどう膜炎、ドライアイ光過敏、乾燥感、涙液不安定眼科受診で鑑別と点眼調整 [4] [2]
光過敏ぶどう膜炎、強膜炎、角膜病変眩しさ増強、痛み遮光+眼科受診、重症なら早急に [1] [4]
目の痛み強膜炎(強い)、上強膜炎(軽〜中等)深部痛、触痛、赤紫の充血強い痛みは緊急性あり [1]
充血・赤目上強膜炎、強膜炎表層/深部の充血、圧痛の差病勢評価と眼科受診 [1]
乾燥・刺激感ドライアイ、眼瞼炎BUT低下、分泌物点眼・ケアで改善、継続なら受診 [2]

まとめ

クローン病では、上強膜炎、強膜炎、ぶどう膜炎、角膜周辺浸潤、ドライアイ、眼瞼炎などが起こり、視力低下、かすみ目、光過敏、目の痛み、充血につながることがあります。上強膜炎は腸の病勢と連動しやすい一方で、ぶどう膜炎や強膜炎は独立して起こることもあるため、腸の症状が落ち着いていても眼の異常を感じたら早めの眼科受診が大切です。 [1] 眼症状は非特異的なことも多く、ドライアイや眼瞼炎の可能性もあるため、検査での見極めが重要です。 [2] 重症の眼痛や急な視力低下、強い光過敏や深い充血は緊急受診のサインです。適切な局所治療と全身治療の連携で、視機能を守りながらクローン病の管理を進めていきましょう。 [4] [3] [1] [2]

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出典

  1. 1.^abcdefghijklmnopqrstOcular inflammation in Crohn's disease.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  2. 2.^abcdefghijklOcular symptoms are not predictive of ophthalmologic inflammation in inflammatory bowel disease.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  3. 3.^abcdefOcular manifestations of inflammatory bowel disease.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  4. 4.^abcdefghijklmnUveitis: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
  5. 5.^abUveitis: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)

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