
PubMedの資料に基づく | クローン病で手足のしびれ(チクチク・ピリピリ感)が生じることはありますか、その場合の主な原因は何ですか?
要点:
クローン病で手足のしびれ(チクチク・ピリピリ)は起こり得ます。主因は末梢神経障害で、ビタミンB12欠乏などの栄養障害、メトロニダゾールや抗TNFα薬による薬剤性、病気自体の炎症・自己免疫が関与します。薬歴や栄養検査、神経検査で原因を見極め、持続・進行する場合は早期受診が推奨されます。
クローン病で手足のしびれ(チクチク・ピリピリ感)が起こることはあり得ます。 一般的には「末梢神経障害(ニューロパチー)」で説明でき、病気そのもの・栄養障害・治療薬の影響など複数の要因が関わることがあります。 [1] [2]
しびれの正体と典型症状
- しびれ・ピリピリ感・灼熱感(足先・手先に目立つ)や、感覚低下、夜間増悪、バランスの悪化、筋力低下などがみられることがあります。 [1] [3]
- 末梢神経は脳・脊髄の外にある神経で、ここに障害が起こると手足の感覚異常が出ます。 [2]
主な原因(複数の可能性)
クローン病に関連する末梢神経障害の原因は一つに限られず、次のような可能性が重なります。
1. 栄養吸収不良によるビタミン欠乏(特にビタミンB12)
- クローン病では小腸(回腸)病変や手術の影響でビタミンB12の吸収障害が起こりやすく、長期の低値は神経障害の原因になります。 [4]
- B12不足が続くと、手足のしびれ・バランス低下・集中力低下などの神経症状が出ることがあります。 [5]
- B12欠乏の末梢神経障害では軸索変性が見られ、治療で進行は止められても一部の後遺症が残る場合があります。 [6]
2. 薬剤性ニューロパチー(治療薬の副作用)
- メトロニダゾールの長期・累積投与では、末梢神経障害(しびれ・感覚異常)が報告され、投与中止後も回復に時間がかかることがあります。 [7] [8]
- 生物学的製剤の一部(例:インフリキシマブなどの抗TNFα薬)は、まれに中枢・末梢の脱髄性障害やニューロパチー様の症状を起こすことがあり、開始前・投与中の神経症状には注意が必要です。 [9] [10]
- こうした薬剤は、自己免疫的なメカニズムで神経に影響を与えることがあります。 [9]
3. 炎症・自己免疫による神経障害(病気そのものの“腸外合併症”)
- クローン病そのものが、自己免疫・炎症性機序で末梢神経を障害することがあり、B12欠乏や薬剤が関与しない症例も報告されています。 [11] [12]
- 末梢ニューロパチーはIBDで最も多い神経合併症のひとつで、免疫介在性の形(多発単神経炎や対称性感覚性ニューロパチー)をとることがあります。 [9] [8]
- 一般論として、自己免疫疾患は末梢神経障害の原因群に含まれます。 [13] [14]
4. その他の誘因(重なりやすい要素)
- 低栄養、他のビタミン不足(B1・B6など)、糖尿病や甲状腺疾患、腎・肝障害、毒素暴露なども末梢神経障害のリスクになります。 [15] [16]
- しびれは足・手の靴下や手袋様の分布で広がることが多く、温度や痛みの感覚低下によるやけど・皮膚損傷などの合併にも注意が必要です。 [1] [17] [18]
原因別の見分け方のヒント
- 発症時期と薬歴:メトロニダゾールや抗TNFα薬の投与中・投与後に悪化していないかを確認します。 [7] [9]
- 栄養状態と検査:ビタミンB12、葉酸、ビタミンB群、鉄、亜鉛などの不足がないか採血で確認します。B12欠乏が長い場合は神経症状の可能性が高まります。 [5] [4]
- 病勢との相関:腸炎の悪化に伴ってしびれが増悪・寛解するパターンは、炎症・免疫介在性の関与を示唆します。 [11]
- 神経検査:神経伝導検査や針筋電図、場合により神経生検で、軸索障害か脱髄性かを評価し、治療選択の参考にします。 [6] [8]
受診の目安と安全対策
- 次のような場合は早めの受診が望まれます:しびれが数週間以上続く、進行する、筋力低下・歩行障害・バランス障害を伴う、薬剤投与中に新規の神経症状が出る、B12欠乏の可能性が高い(小腸病変・切除歴・長期下痢・食事制限など)。 [1] [5] [9]
- 足のケア:感覚低下があると傷ややけどに気づきにくいため、毎日足をチェックし、靴擦れ・熱湯・温度差に注意しましょう。 [17] [18]
- 薬の調整:メトロニダゾールなどでしびれが出たら、自己中断は避けつつ主治医に速やかに相談し、用量・期間の見直しや代替薬を検討します。 [7] [8]
主な原因の要約(比較表)
| 原因カテゴリ | 典型背景 | 主要症状・所見 | 参考ポイント |
|---|---|---|---|
| ビタミンB12欠乏 | 小腸病変・切除、長期吸収不良 | 手足のしびれ、バランス低下、持続すると神経障害固定化 | 採血でB12低値、治療で進行停止も残存症状あり |
| 薬剤性(メトロニダゾール) | 長期・高累積投与 | 感覚性ニューロパチー、しびれ | 中止で改善するが時間がかかることあり |
| 薬剤性(抗TNFαなど) | 生物学的製剤の使用 | 末梢/中枢の脱髄性病変、しびれ・神経症状 | 既往の脱髄疾患があるとリスク、開始前評価 |
| 免疫介在性(病勢関連) | 腸炎の増悪と相関 | 対称性感覚性、または多発単神経炎 | B12欠乏・薬剤なしでも発生し得る |
| その他(糖尿病・甲状腺・腎肝障害・毒素) | 併存症・暴露 | しびれ・感覚低下 | 全身評価が必要 |
まとめ
- クローン病で手足のしびれは起こり得ますが、原因は一つに限られません。 栄養(特にB12)不足、薬剤性、炎症・自己免疫による神経障害などがそれぞれ関与し、重なっていることもあります。 [5] [4] [7] [9] [11]
- しびれが続く・悪化する場合は、栄養検査・薬歴確認・神経評価を組み合わせて、原因に合わせた対策を取ることが大切です。 [1] [6] [8]
今のしびれの頻度や、使用中のお薬・手術歴(小腸切除など)、最近の採血でビタミンB12を測ったかを教えていただけますか?
関連する質問
出典
- 1.^abcdePeripheral neuropathy - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
- 2.^abSymptoms and causes - Mayo Clinic(mayoclinic.org)
- 3.^↑Symptoms(stanfordhealthcare.org)
- 4.^abcdVitamin B12: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
- 5.^abcdeVitamin B12 deficiency anemia: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
- 6.^abcdThe peripheral neuropathy of vitamin B12 deficiency.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 7.^abcde[Neurologic concomitant diseases in Crohn disease].(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 8.^abcdefg[Neurologic concomitant diseases in Crohn disease].(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 9.^abcdefgNeurologic complications in patients with inflammatory bowel disease: increasing relevance in the era of biologics.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 10.^abNeuropathy secondary to drugs: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
- 11.^abcdPeripheral neuropathy associated with Crohn's disease.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 12.^↑[Colonic Crohn's disease complicated with peripheral neuropathy].(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 13.^↑Symptoms and causes - Mayo Clinic(mayoclinic.org)
- 14.^↑Peripheral neuropathy - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
- 15.^abPeripheral neuropathy - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
- 16.^abPeripheral Nerve Disorders(medlineplus.gov)
- 17.^abPeripheral neuropathy: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
- 18.^abPeripheral neuropathy - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


