
PubMedの資料に基づく | クローン病では嚥下困難(飲み込みづらさ)が生じることはありますか?もしある場合、主な原因(食道狭窄や潰瘍など)や関連症状、受診の目安を教えてください。
クローン病でも上部消化管に炎症が及ぶと、食道炎や狭窄により嚥下困難(つかえ感・嚥下痛)が起こり得ます。体重減少、持続するつかえ感、吐血・発熱などの赤旗があれば早急に消化器内科受診を。診断は上部内視鏡や造影・CTで、治療は炎症コントロールと狭窄への拡張、栄養管理(低残渣食)を組み合わせます。
クローン病と嚥下困難(飲み込みづらさ)
クローン病でも嚥下困難が起こることがあります。特に食道(口から胃につながる管)に炎症が及ぶ場合や、長期の炎症により狭窄(通り道が細くなること)ができた場合に、食べ物がつかえる感じや飲み込み時の痛みが生じやすくなります。これは、クローン病が口腔・食道・胃など上部消化管にも及ぶことがあるためで、内視鏡検査(上部消化管内視鏡)で確認されます。 [1] [2]
起こりうる主な原因
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食道の炎症(食道クローン病)
食道粘膜にアフタ様潰瘍やびらんができ、飲み込むときの痛み(嚥下痛)や胸の不快感が出ます。内視鏡で病変を観察し、生検で炎症の特徴を確認します。 [3] [4] -
食道狭窄(ストリクチャー)
慢性炎症の治癒過程で瘢痕が形成されると、食道の内腔が狭くなり固形物がつかえる・食事に時間がかかる・体重が減るなどの症状につながります。ステロイド治療後に病変が落ち着いても狭窄が残るケースが報告されています。 [5] [6] -
深い潰瘍や瘻孔(まれ)
深い潰瘍が進展すると、疼痛が強くなり、出血や穿孔のリスクが上がります。クローン病では消化管のさまざまな部位で潰瘍・瘻孔が合併し得るため、強い痛みや急な症状悪化は注意が必要です。 [7] [8] -
口腔・上部消化管の炎症の波及
口内炎、食道炎、胃炎など上部消化管に炎症が及ぶと、嚥下時のしみる感じや胸やけ様症状を伴うことがあります。 [9] [10]
関連症状のサイン
- 嚥下痛(飲み込み時の痛み)や胸の痛み:食道粘膜の炎症や潰瘍で生じます。 [3] [4]
- 食物のつかえ感・逆流感・固形物で悪化:機械的狭窄を示唆します。 [5] [6]
- 体重減少や栄養不良:長期の嚥下障害で摂取量が減ると起こりやすい赤旗サインです。 [11] [12]
- 嘔吐・吐血、発熱の伴随:潰瘍や感染合併の可能性があり、早急な評価が必要です。 [7] [12]
- 下痢・腹痛・血便など腸症状の持続:クローン病活動性を示すことがあり、受診の目安になります。 [13] [7]
受診の目安(赤旗症状)
- 飲み込みづらさが続く・悪化する、または固形物がつかえる感じが頻回に起こる。 [11] [14]
- 体重が意図せず減る、栄養がとれない。 [11] [12]
- 発熱、強い胸痛、吐血や黒色便(出血のサイン)。 [12]
- 呼吸が苦しくなるほどの詰まり感や、完全に飲み込めない状態(緊急対応が必要)。 [11]
- 腹痛・下痢が2週間以上続く、嘔吐や血便を伴う(クローン病活動性の可能性)。 [13]
これらが当てはまる場合は、消化器内科での評価(上部内視鏡、造影検査、CTなど)を検討してください。 [1] [15] [2]
診断に用いられる検査
- 上部消化管内視鏡(食道・胃・十二指腸の観察):潰瘍、びらん、狭窄の有無を確認し、生検で組織学的評価を行います。 [1] [15] [2]
- 造影検査(上部消化管バリウム検査)やCT:食道の通過障害、狭窄の程度、合併症(穿孔、膿瘍など)の評価に有用です。 [1] [16]
- 血液・便検査:炎症の強さ、栄養状態、出血の有無などを確認します。 [15]
治療の考え方
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炎症コントロール(寛解導入)
食道病変を含む活動性クローン病では、全身療法(ステロイド、免疫調整薬、生物学的製剤など)が検討されます。食道病変はステロイドで改善する報告があり、必要に応じて免疫抑制薬を併用します。 [5] [17] -
粘膜保護・酸分泌抑制
食道の潰瘍・びらんがある場合、酸関連症状の軽減と粘膜保護のために酸分泌抑制薬(H2受容体拮抗薬など)を用いる選択肢があります。 [18] -
狭窄への対処
症状を伴う食道狭窄では、内視鏡的拡張(バルーン拡張)などの局所治療が考慮されますが、炎症の制御が前提です。ステロイド後に狭窄が残存することがあるため、個別に内視鏡治療や外科的評価が必要になることがあります。 [5] [6] -
栄養管理
嚥下障害や狭窄がある際は、栄養状態の悪化を防ぐことが重要です。狭窄が疑われる場合は、低残渣(低繊維)食で通過性を高め、機械的閉塞のリスクを避ける工夫が用いられます。食物繊維は狭窄時には避けることが推奨されます。 [19] [20]
日常でのセルフケアの工夫
- 食事形態の調整:やわらかい食事、きざみ食、スープや栄養補助飲料など、飲み込みやすく通過しやすい形にする。 [19]
- 一口量を少なく、ゆっくり食べる:つかえ感の予防になります。 [21]
- 十分な水分を添える:食物の通過を助けます。 [14]
- 体重・症状の記録:体重減少や症状悪化の早期発見につながります。 [11]
まとめ
クローン病では、口腔から食道・胃などの上部消化管に炎症が及ぶことがあり、嚥下困難は「食道の炎症」や「狭窄」によって起こりうる症状です。赤旗症状(体重減少、持続するつかえ感、発熱や出血、嚥下時の強い痛み、呼吸困難を伴う詰まりなど)がある場合は、速やかな受診が目安です。診断には上部内視鏡や造影検査が有用で、治療は全身の炎症コントロール(ステロイド・免疫調整薬・生物学的製剤など)と、必要に応じた局所的対処(拡張など)、栄養管理(低残渣食)を組み合わせて行います。 [1] [2] [5] [18] [19]
今の嚥下の状態や、特定の食べ物でつかえやすいなどの詳しい様子を教えてもらえますか?
関連する質問
出典
- 1.^abcdeCrohn's Disease(medlineplus.gov)
- 2.^abcdDiagnosing Crohn’s Disease in Children(nyulangone.org)
- 3.^abCrohn's disease of the esophagus.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 4.^abCrohn's disease of the esophagus: a case report and review of the literature.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 5.^abcdeCrohn's disease of the esophagus.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 6.^abcCrohn's disease of the esophagus.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 7.^abcCrohn's disease - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
- 8.^↑Crohn's Disease Basics(cdc.gov)
- 9.^↑크론병(Crohn's disease) | 질환백과 | 의료정보 | 건강정보(amc.seoul.kr)
- 10.^↑크론병(Crohn's disease) | 질환백과 | 의료정보 | 건강정보(amc.seoul.kr)
- 11.^abcdeDysphagia - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
- 12.^abcdSwallowing difficulty: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
- 13.^abCrohn's disease - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
- 14.^abSwallowing difficulty: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
- 15.^abcCrohn's Disease(medlineplus.gov)
- 16.^↑Enfermedad de Crohn(medlineplus.gov)
- 17.^↑Esophageal Crohn's disease: medical management and correlation between clinical, endoscopic, and histologic features.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 18.^abEsophageal Crohn's disease: medical management and correlation between clinical, endoscopic, and histologic features.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 19.^abcBritish Dietetic Association evidence-based guidelines for the dietary management of Crohn's disease in adults.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 20.^↑Dieta de bajo contenido de fibra(mskcc.org)
- 21.^↑Problemas para tragar: MedlinePlus enciclopedia médica(medlineplus.gov)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


