Medical illustration for PubMedの資料に基づく | クローン病の症状として現れる皮疹にはどのような種類と特徴がありますか? - Persly Health Information
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2026年2月16日5分で読める

PubMedの資料に基づく | クローン病の症状として現れる皮疹にはどのような種類と特徴がありますか?

要点:

クローン病では腸管外症状として多彩な皮疹が現れ、肛門周囲の瘻孔・潰瘍、壊疽性膿皮症、結節性紅斑、化膿性汗腺炎、転移性クローン病、口腔病変、乾癬や薬剤性皮疹などが含まれます。多くは腸の炎症と連動し、腸炎のコントロールで改善しやすく、必要に応じて生検による診断、局所療法・免疫療法・外科的管理を併用します。

クローン病に伴う皮疹の種類と特徴

クローン病では、腸以外の臓器にも炎症の影響が及ぶことがあり、皮膚(皮疹・皮膚病変)は代表的な腸管外症状のひとつです。 [1] 多くの皮膚症状は腸の病勢と連動しやすく、腸の炎症が落ち着くと皮膚症状も改善することが一般的です。 [2]


大きな分類(病態に基づく4カテゴリー)

クローン病に関連する皮膚病変は、病理(組織像)や発症メカニズムに基づいて次の4つに大別されます。 [3]

  • 特異的皮膚病変(クローン病そのものと同じ肉芽腫性変化):肛門周囲・瘻孔周囲の潰瘍や「転移性クローン病」。 [3]
  • 反応性皮膚病変(病理は異なるが免疫学的に連動):壊疽性膿皮症、結節性紅斑など。 [3]
  • 関連疾患(合併しやすい皮膚疾患):乾癬など。 [3]
  • 治療誘発性(薬剤による皮膚副作用):生物学的製剤やチオプリンによる発疹・乾癬様変化・皮膚腫瘍など。 [3]

代表的な皮疹とその特徴

1) 肛門周囲病変(瘻孔・膿瘍・潰瘍・膿皮症状)

  • 内容:肛門周囲に瘻孔(トンネル状の通路)、膿瘍、深い潰瘍が生じやすいタイプです。 [3]
  • 見た目・場所:肛門周囲・会陰部に痛みを伴う腫れや排膿、皮膚のただれが見られます。 [1]
  • 背景:クローン病の特異的皮膚病変に含まれ、しばしば化膿性汗腺炎(ヒダデニティス・サプラティバ)様の結節やトンネル形成を伴います。 [3] [4]
  • ポイント:腸病勢と並行して悪化・改善しやすく、外科的処置と免疫療法の併用が必要になることがあります。 [1]

2) 転移性クローン病(Metastatic Crohn’s disease)

  • 内容:胃腸から離れた皮膚に非乾酪性肉芽腫(サルコイド様の肉芽)ができる稀なタイプです。 [5]
  • 見た目・場所:四肢の結節・斑状皮疹(潰瘍を伴う場合あり)、外陰部の潰瘍や腫脹など多彩で「大いなる模倣者」とも呼ばれます。 [5]
  • 診断:皮膚生検で非乾酪性肉芽腫を確認することが重要です。 [6]
  • 治療:ステロイド、メトロニダゾール、アザチオプリン、タクロリムス、インフリキシマブ(単独またはメトトレキサート併用)などが用いられ、生物学的製剤が有効なことが多いと報告されています。 [5] [6]
  • ポイント:標準治療が確立しておらず、個々の重症度や合併症に応じた多剤選択が求められます。 [7]

3) 壊疽性膿皮症(Pyoderma gangrenosum)

  • 内容:好中球性の自己炎症性疾患で、クローン病に合併することがあります。 [3]
  • 見た目・場所:急速に拡大する極めて痛い皮膚潰瘍が特徴で、脚、腹部、手術創周囲などに出やすく、潰瘍が融合して大きくなることがあります。 [8] [9]
  • 合併:感染や強い痛み、瘢痕や色素沈着を残すことがあります。 [10]
  • ポイント:発症が速く痛みが強いため、早めの医療相談が勧められます。 [8]

4) 結節性紅斑(Erythema nodosum)

  • 内容:皮下脂肪の炎症(蜂窩織炎に似た「パンヌキュライティス」)です。 [3]
  • 見た目・場所:両側のすね(前脛部)に赤く痛いしこりが複数出現するのが典型です。 [3]
  • 経過:腸の炎症と並行して出たり引いたりし、腸のコントロール改善で軽快しやすいです。 [3]

5) 口腔病変(口内炎・肉芽性変化)

  • 内容:口腔内に潰瘍や肉芽性の結節が現れることがあります。 [11]
  • 見た目・場所:口内炎(アフタ)、口唇の腫れやデコボコした粘膜、頬粘膜の線状潰瘍など。 [11]
  • ポイント:栄養障害(亜鉛不足など)に伴い、類アクロデルマチティス(手足の皮膚炎様)の変化を呈することもあります。 [11]

6) 化膿性汗腺炎(Hidradenitis suppurativa)

  • 内容:腋窩・鼠径・乳房下・肛門生殖周囲などのアポクリン汗腺領域に、深い結節やトンネル、膿瘍が繰り返し生じる病気です。 [4]
  • 見た目・場所:痛みを伴うしこり、皮下トンネル(洞)、排膿、瘢痕化。 [4]
  • ポイント:クローン病患者に併発しやすいとされ、肛門・外陰部病変と重なってみえることがあります。 [4] [3]

7) 乾癬・乾癬様皮疹

  • 内容:炎症性の紅斑性鱗屑(赤み+かさかさ)を伴う皮疹で、クローン病との合併がみられます。 [3]
  • 薬剤関連:生物学的製剤などの治療中に乾癬様の発疹が誘発されることがあります。 [3]
  • ポイント:薬剤の切り替えや皮膚科併診が選択肢になります。 [3]

8) 薬剤性皮疹・皮膚腫瘍リスク

  • 内容:クローン病治療薬により、湿疹様、乾癬様、扁平苔癬様発疹、皮膚ループスなどの副作用が報告されています。 [3]
  • 腫瘍リスク:チオプリン(アザチオプリンなど)使用者では、基底細胞癌・扁平上皮癌などの非黒色腫皮膚癌のリスク増加が指摘されています。 [3]
  • ポイント:長期治療では定期的な皮膚チェックと日光対策が役立ちます。 [3]

皮疹が出たときの見分け方のヒント

  • 急速に広がる激しい痛みの潰瘍は壊疽性膿皮症を疑います。 [8]
  • 肛門周囲の排膿・瘻孔・深い潰瘍は肛門周囲クローン病の可能性があります。 [3] [1]
  • 両すねの赤く痛いしこりは結節性紅斑を考えます。 [3]
  • 腋窩や鼠径の繰り返す結節・トンネル形成は化膿性汗腺炎様の所見です。 [4]
  • 四肢や外陰部の斑・結節・潰瘍が多彩で、生検で非乾酪性肉芽腫なら転移性クローン病を示唆します。 [5] [6]

検査・診断のポイント

  • 皮膚生検(病理検査):転移性クローン病などでは非乾酪性肉芽腫の確認が鍵になります。 [6]
  • 腸の評価と併行:皮膚症状は腸病勢と連動しやすいため、腸管の炎症コントロールも重要です。 [2] [1]
  • 鑑別診断:感染、血管炎、膠原病、悪性腫瘍、薬疹などとの見分けが必要です。 [3]

治療の考え方

  • 原疾患(腸炎)のコントロール:多くの皮疹で腸の炎症を抑えると皮膚も改善しやすいです。 [2]
  • 局所治療:ステロイド外用、創傷ケア、痛み対策などを皮疹タイプに応じて併用します。 [5]
  • 全身療法:壊疽性膿皮症や転移性クローン病など重症・広範では、ステロイド、免疫調整薬、抗TNFやIL系の生物学的製剤が選択されます。 [5] [3]
  • 外科的対応:肛門周囲の瘻孔・膿瘍ではドレナージやシートンなどの外科的管理が必要になることがあります。 [1]
  • 薬剤副作用への対応:乾癬様皮疹や皮膚腫瘍リスクがある薬剤では、薬剤調整・皮膚科連携・皮膚検診が役立ちます。 [3]

早期受診のサイン

  • 痛みが強く、短期間で拡大する潰瘍が出た場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。 [8]
  • 肛門周囲の排膿・強い痛み・発熱があるときは、膿瘍や瘻孔の可能性があり、緊急対応が必要になることがあります。 [1]

まとめ

クローン病の皮膚病変は、肛門周囲の瘻孔・潰瘍、壊疽性膿皮症、結節性紅斑、化膿性汗腺炎様所見、転移性クローン病、口腔病変、乾癬や薬剤性皮疹など多彩です。 [3] 多くは腸の炎症と連動しやすく、原疾患のコントロールが皮疹改善の鍵になります。 [2] 稀少病変(転移性クローン病)では生検での肉芽腫確認が重要で、生物学的製剤を含む免疫療法が有効なことがあります。 [6] [5]


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出典

  1. 1.^abcdefgCrohn disease: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
  2. 2.^abcd크론병(Crohn's disease) | 질환백과 | 의료정보 | 건강정보(amc.seoul.kr)
  3. 3.^abcdefghijklmnopqrstuvwxCutaneous manifestations in patients with inflammatory bowel diseases: pathophysiology, clinical features, and therapy.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  4. 4.^abcdeCrohn's disease - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
  5. 5.^abcdefgMetastatic Crohn's disease: a review.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  6. 6.^abcde[Metastatic Crohn's disease].(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  7. 7.^Metastatic Crohn's disease: a review and approach to therapy.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  8. 8.^abcdPyoderma gangrenosum - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
  9. 9.^Symptoms and causes - Mayo Clinic(mayoclinic.org)
  10. 10.^Pyoderma gangrenosum - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
  11. 11.^abcCutaneous manifestations of Crohn's disease.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)

ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。