
クローン病に伴う血便はどのような原因で起こり、血の色や量、腹痛・発熱などの随伴症状にはどんな特徴がありますか?
クローン病の血便は、腸粘膜の潰瘍など炎症性病変からの出血が原因で、直腸・結腸では鮮紅色、近位腸管では暗赤〜黒色になりやすく、少量持続が典型です。腹痛(右下腹部)、下痢、発熱、栄養障害や肛門周囲病変などが随伴し、稀に大量出血は救急対応が必要です。危険サインや受診の目安、内科治療と止血・外科の検討についても解説しています。
クローン病に伴う血便:原因・色や量の目安・随伴症状の特徴
クローン病では、腸の炎症や潰瘍により出血が起こり、血便(便に血が混じる、あるいは血だけが出る)として現れることがあります。血便の頻度は潰瘍性大腸炎ほど高くはないものの、クローン病でも約4~5割の症例で臨床的に明らかな出血が経験されます。[PM18] さらに、ごく一部では大量出血(急激な血圧低下やめまいを伴うことがある)が起こり、緊急の治療や手術が必要になる場合があります。[PM8]
出血の主な原因
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炎症性潰瘍による出血
クローン病の基本病変は「消化管のどの部位にも起こり得る、跳び飛びに分布する(非連続性)全層性炎症」で、粘膜に潰瘍ができると出血します。[PM11] 潰瘍が深いほど出血しやすく、便に血が混じる・鮮血が少量付着する・便通ごとに少量の出血が続くなどの形で現れます。[PM18] -
直腸・結腸病変の関与
クローン病の出血は小腸単独よりも大腸(特に直腸を含む)病変で目立ちやすく、直腸関与例では出血の頻度が高くなります。[PM18] -
合併症による出血(稀だが重症)
大量出血は主に盲腸から起こることがあり、止血困難で輸血や手術(右半結腸切除など)が必要になることがあります。[PM18] また、クローン病の活動性が高いと発熱・白血球増加・右下腹部の強い痛みを伴う急性発症があり、炎症が強いほど出血も悪化しやすいです。[SW12]
血の色と量の目安
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血の色(赤〜暗赤〜黒)
出血源が肛門に近いほど鮮紅色(明るい赤色)になりやすく、直腸やS状結腸病変では便表面に鮮血が付着することが多いです。[PM18] 小腸や右側結腸(盲腸・上行結腸)での出血では、腸内通過時間により暗赤色〜黒色(タール便)に近づくことがあります。[PM18] -
量の変化
クローン病の出血は「少量で持続的」な形がもっとも一般的で、便に混じる・紙に付着する程度が多く、臨床的に明らかな出血は約3人に1人でみられます。[PM18] 一方、大量出血(急激な出血でめまい・ふらつき・脱力を伴う)は1〜5%程度と稀ですが緊急対応が必要です。[PM8] -
貧血との関係
大腸病変のあるクローン病では、貧血の約75%が直腸からの出血と関連しており、慢性的な少量出血が積み重なることで鉄欠乏性貧血を起こしやすいです。[PM18] 小腸病変主体では、栄養吸収障害や慢性炎症も貧血の要因になります。[PM11]
腹痛・発熱などの随伴症状
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腹痛(特に右下腹部)
クローン病の典型症状は腹痛・下痢・体重減少で、右下腹部の痛みが強い急性発症パターンもあります。[PM11] [SW12] 痛みは食後に悪化することがあり、活動期は腹部のしこり(炎症性腫瘤)を触れることもあります。[SW1] -
下痢と粘血便
下痢は高頻度にみられ、便に血や粘液が混ざることもあります(病変部位によって差あり)。[SW12] [SW1] -
発熱・倦怠感
活動期には発熱、夜間の発汗、食欲低下、全身のだるさがみられることがあり、炎症マーカー(CRP、赤沈)が上昇して病勢と相関することがあります。[SW12] [PM7] -
体重減少・栄養障害
痛みや下痢による摂食低下・吸収障害で体重減少や栄養不足が生じやすく、ビタミンB12・葉酸・ビタミンD・アルブミンなどの低下が評価に役立ちます。[SW1] [PM7] -
肛門周囲病変
肛門痛、裂肛、痔核、痔瘻、膿瘍などが併発し、出血や痛みの原因となることがあります。[PM11] [SW34]
重症出血の危険サインと対応
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危険サイン
短時間で血便の量が急増する、黒色便が持続する、立ちくらみ・動悸・冷汗・意識が遠のくなどは大量出血のサインです。この場合は救急受診が推奨されます。[PM8] [PM18] -
医療的対応の目安
クローン病の出血はまず内科的治療(活動性の炎症を抑える薬物療法、止血の支持療法)を優先しますが、持続的・止血困難・大量出血では血管造影による診断/塞栓や外科的介入を検討します。[PM18] 盲腸領域からの止血困難な大量出血では外科的切除が選択されることがあります。[PM18]
病変部位と出血の傾向(構造化のまとめ)
| 病変部位 | 血の色の傾向 | 出血の特徴 | 随伴症状の傾向 |
|---|---|---|---|
| 直腸・S状結腸 | 鮮紅色(明るい赤) | 便表面付着・少量持続が多い | しぶり腹、肛門痛、粘液混在の下痢が目立つ [PM18] [PM11] |
| 盲腸・右側結腸 | 暗赤色〜黒色寄り | 稀に大量出血の原因、止血困難例あり | 右下腹部痛、発熱、炎症性腫瘤 [PM18] [SW12] |
| 小腸(回腸など) | 暗赤色〜黒色(タール便) | 出血は目立ちにくいが、慢性出血で貧血に進みやすい | 吸収障害、体重減少、栄養不足 [PM11] [PM7] |
[PM18] [PM11] [SW12] [PM7]
よくある疑問に対する補足
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「クローン病では血便は少ない?」
潰瘍性大腸炎ほど多くはないものの、クローン病でも約3〜4割で臨床的に明らかな出血があります。直腸を含む大腸病変では出血が目立ちやすいと考えられます。[PM18] -
「血便が続くと貧血になる?」
はい、慢性的な出血は鉄欠乏性貧血の原因となります。大腸病変では出血との関連が強く(約75%)、小腸病変では吸収障害も貧血の要因です。[PM18] [PM11] -
「腹痛や発熱があると重症?」
腹痛・発熱は活動期のサインであり、炎症が強いほど出血リスクも高まります。右下腹部の強い痛み、発熱、白血球増加を伴う急性発症は注意が必要です。[SW12]
受診の目安とセルフチェック
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受診の目安
2週間以上続く下痢、持続する血便、体重減少、腹痛に加えて発熱があるときは医療機関で評価を受けることが望ましいです。[SW25]
大量出血が疑われる症状(立ちくらみ、冷汗、動悸、意識が遠のく)を伴う場合は救急受診を検討してください。[PM8] -
検査のポイント
活動性の把握には血液検査(CRP、赤沈)、栄養評価(ビタミンB12・葉酸・アルブミン・ビタミンD)、内視鏡(大腸内視鏡・回腸末端観察)や小腸評価(CTエンテログラフィ、カプセル内視鏡)などが用いられます。[PM7]
まとめ
- 原因:粘膜潰瘍を中心とする炎症性病変からの出血で、直腸・結腸病変で目立ちやすい。[PM11] [PM18]
- 色と量:肛門側に近いほど鮮紅色、近位側(盲腸・小腸)では暗赤〜黒色傾向。少量持続が多いが、稀に大量出血が起こり緊急対応が必要。[PM18] [PM8]
- 随伴症状:腹痛(右下腹部)、下痢、発熱、体重減少、肛門周囲病変、栄養障害・貧血などが組み合わさることが多い。[PM11] [SW12] [PM7]
このように、クローン病の血便は病変部位と炎症の程度によって色や量、随伴症状が変わります。いつもと違う出血の色や量が続く、めまいを伴うなどの変化があれば、早めの受診が安心です。[PM8] [PM18]
今の症状は鮮紅色寄りの少量持続型でしょうか、それとも暗色で量が多くなってきていますか?
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ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


