Medical illustration for PubMedの資料に基づく | クローン病では腹部膨満(お腹の張り)はなぜ起こり、どの程度一般的で、受診が必要となる警戒すべき症状はありますか? - Persly Health Information
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2026年2月16日5分で読める

PubMedの資料に基づく | クローン病では腹部膨満(お腹の張り)はなぜ起こり、どの程度一般的で、受診が必要となる警戒すべき症状はありますか?

要点:

クローン病の腹部膨満は、腸の炎症による運動機能低下やガス処理障害、SIBO、狭窄・閉塞、膿瘍・瘻孔などの合併症が重なって生じます。腹痛・下痢と併発しやすく、SIBOは約4人に1人で見つかるなど比較的よくみられます。強い腹痛、嘔吐、血便、発熱、便やガスが出ないなどのサインがあれば早期受診が推奨され、検査により原因に応じた治療を行います。

クローン病の腹部膨満:原因、頻度、受診の目安

クローン病で腹部膨満(お腹の張り)が起こる背景には、腸の炎症に伴う機能変化や合併症が複合的に関わります。腹部膨満はしばしば腹痛・下痢・ガスの増加・体重減少などと同時に見られ、活動期と寛解期を繰り返す病気の特性とも関連します。クローン病では小腸・大腸のどちらにも病変が及びやすく、病変が点在して「正常 病変 正常」が飛び石状に続くため、内容物やガスの流れが不均一になりやすいことも膨満の一因になります。 [1] [2] 腹痛や下痢が最も一般的な症状で、体重減少や吐き気・発熱などの全身症状を伴うことがあり、炎症が急性期に強い場合は右下腹部の強い痛みや白血球増加などがみられます。 [2]


なぜ腹部膨満が起こるのか(主なメカニズム)

  • 小腸内細菌増殖(SIBO)

    • クローン病では瘻孔、狭窄、運動障害などにより小腸で大腸由来の細菌が過剰に増えることがあり、ガス産生増加・水様性下痢・腹部膨満(メテオリズム)・腹痛・体重減少を引き起こします。 [3] [4]
    • SIBOは活動性の増悪(フレア)と似た症状を呈しやすく、見落とされやすい合併症のひとつです。 [3] [4]
  • 炎症による運動機能低下とガス処理能の障害

    • 腸の炎症は蠕動運動を乱し、ガスや内容物の移動が滞ることで張りやすくなります。 [2]
    • 機能性膨満の一般的機序として、腸管過敏、ガス処理能障害、腸内細菌叢の変化、腹部 横隔膜反射の異常が関与することが示されています。 [5] [6]
  • 狭窄(ストリクチャー)や腸閉塞の前段階

    • 長期の炎症で腸壁が厚く硬くなり、腸管が狭くなって内容物やガスの流れが妨げられると膨満が目立ちます。進行すると腸閉塞(ボウエルオブストラクション)に至ることがあります。 [7] [8]
    • 完全閉塞では食事・便の通過が止まり、強い張りと吐き気・嘔吐・激しい腹痛が出現し得ます。 [9]
  • 瘻孔・膿瘍などの合併症

    • 腹腔内膿瘍や瘻孔は炎症と感染を悪化させ、腸の動きをさらに阻害して膨満を悪化させます。 [10] [8]

どの程度一般的か(頻度の目安)

  • クローン病では腹痛と下痢が最も多く、活動期と寛解期を繰り返す経過の中で膨満がしばしば随伴します。症状は個人差が大きく、年齢や病変部位によっても異なります。 [1] [2]
  • 小腸と大腸の両方に病変がある例が約半数で、消化管の広範な関与ほどガス停滞や膨満が起こりやすい傾向があります。 [2]
  • クローン病の方でSIBOが疑われる症状(便回数増加、膨満、腹痛など)を訴えるケースの検査では、約4人に1人程度でSIBOが検出された報告があり、膨満を伴う不調の背景として比較的よく見られる合併症と考えられます。 [3] [4]

受診が必要となる「警戒サイン」

次のような症状がある場合は、早めの医療機関受診をおすすめします。重症合併症(腸閉塞・膿瘍・穿孔・敗血症など)の早期発見につながります。 [11] [12]

  • 強い腹痛、腹部が著しく張って押すと強い痛みがある、吐き気・嘔吐を伴う、ガスや便がほとんど出ない(腸閉塞のサイン)。 [7] [9]
  • 血便、発熱を伴う腹痛・下痢が2週間以上続く、原因不明の体重減少。 [13] [8]
  • 下痢が食事調整や内服でコントロールできない、発熱が2~3日以上続く、肛門の痛み・出血・排膿(痔瘻や膿瘍の合併が疑われます)。 [14] [15]
  • 腹部の高度な膨満に加えて、頻回の下痢・発熱・頻脈・圧痛が強い場合は毒性巨大結腸(トキシックメガコロン)などの緊急事態の可能性があり、救急受診が望ましいです。 [16]

実際の診断・評価のポイント

  • 症状と病歴の確認

    • 便回数、ガス、腹痛の性状、嘔吐の有無、体重変化、既往手術(特に回盲部切除や多回の腸手術はSIBOリスク)を評価します。 [3] [4]
  • 検査の例

    • 採血(白血球増加など炎症・感染のサイン)。白血球が高値であれば腹腔内膿瘍・閉塞などの緊急所見がCTで見つかるリスクが上がる指標になります。 [17] [18]
    • 便検査、腹部超音波やCT(膿瘍・穿孔・閉塞の評価)、小腸造影・MRエンテログラフィー(狭窄の評価)。
    • SIBOの呼気試験(グルコース・ラクツロース水素呼気試験)など。 [3] [4]

治療・セルフケアの考え方

  • 原因に応じた治療

    • 活動性炎症には内科的治療(栄養療法・ステロイド・免疫調整薬・生物学的製剤など)で炎症を鎮め、腸の運動・ガス処理能の回復を目指します。 [8]
    • SIBOが疑われれば、適切な抗菌薬や腸内環境の調整を検討します(医師の指示に従います)。 [3] [4]
    • 狭窄・閉塞、膿瘍・瘻孔などの構造的合併症には、内視鏡的拡張やドレナージ、手術などが必要になることがあります。 [10] [9]
  • 食事・生活の工夫

    • 炭酸飲料を控える、ポップコーンや野菜の皮・ナッツなど不溶性食物繊維の多い食品を避ける、十分な水分摂取、少量頻回食にするなどは、膨満や症状悪化の予防に役立つことがあります。 [19] [20]
    • 症状に応じて、消化しやすい低脂肪・低残渣食の期間限定の活用や、ガス産生の多い食品(豆類、キャベツ、玉ねぎなど)の調整を検討します。 [19]

まとめ

  • クローン病の腹部膨満は、炎症に伴う腸機能の乱れ、ガス処理能の低下、腸内細菌叢の変化、SIBO、狭窄・閉塞、膿瘍・瘻孔などの合併症が重なって起こりやすい症状です。 [5] [3]
  • 症状の重さや持続期間、伴うサイン(強い腹痛、嘔吐、血便、発熱、便やガスの停止、体重減少など)によっては、早期受診が必要です。重篤な合併症は生命に関わることがあり、適切な検査と治療が大切です。 [13] [16] [11]
  • 日常では食事・水分・少量頻回食などの工夫が有効なことがあり、再燃時は自己判断で市販薬に頼りすぎず、医療機関で原因(SIBO・狭窄・膿瘍など)を見極めて対処することが望まれます。 [19] [4]

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出典

  1. 1.^ab크론병(Crohn's disease) | 질환백과 | 의료정보 | 건강정보(amc.seoul.kr)
  2. 2.^abcde크론병(Crohn's disease) | 질환백과 | 의료정보 | 건강정보(amc.seoul.kr)
  3. 3.^abcdefgSmall intestinal bacterial overgrowth mimicking acute flare as a pitfall in patients with Crohn's Disease.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  4. 4.^abcdefgSmall intestinal bacterial overgrowth mimicking acute flare as a pitfall in patients with Crohn's Disease.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  5. 5.^abAbdominal bloating: pathophysiology and treatment.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  6. 6.^Abdominal bloating: pathophysiology and treatment.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  7. 7.^abInflammatory bowel disease (IBD) - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
  8. 8.^abcdCrohn's disease - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
  9. 9.^abcCrohn's Disease Basics(cdc.gov)
  10. 10.^abCrohn's Disease(medlineplus.gov)
  11. 11.^abEmergencies in inflammatory bowel disease.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  12. 12.^Emergencies in inflammatory bowel disease.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
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  19. 19.^abcCrohn's Disease(medlineplus.gov)
  20. 20.^Enfermedad de Crohn(medlineplus.gov)

ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。