がんで神経障害はよくある?原因と管理法まとめ
がんで神経障害はよくある?原因と管理法まとめ
がんに伴う神経障害(末梢神経障害・しびれや痛み)は、特に抗がん剤治療中に比較的よく見られる症状です。頻度は薬剤の種類や投与量によって異なりますが、複数の薬剤を使う場合は約3〜4割で生じると推定されています。 [1] 多くは手足のしびれ・感覚低下・チクチクした痛みなど“手袋と靴下様”の分布で現れ、治療を続けるにつれて強まることがあります。 [2]
どんなときに起こりやすい?
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抗がん剤が原因
抗がん剤による神経障害は用量依存・累積的に起こりやすく、治療開始後数週間で症状が出現することが一般的です。 [3] 症状が強い場合は用量調整や休薬、場合によっては治療中止が必要になることがあります。 [3] -
よく知られた原因薬剤の例
プラチナ製剤(例:オキサリプラチン)、タキサン系(パクリタキセル、ドセタキセル)、ビンカアルカロイド(ビンクリスチンなど)、プロテアソーム阻害薬(ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ)、免疫調整薬(サリドマイド、レナリドミド)、抗体薬物複合体(ブレンツキシマブ ベドチン、トラスツズマブ エムタンシン)などで末梢神経障害が報告されています。 [4] これらの薬剤では“しびれ・感覚低下・灼熱感”などの感覚症状が中心で、足に強く出ることが少なくありません。 [2] -
頻度・重症度の目安
例として、複数薬剤の治療では約38%で神経障害が起こりうると推定されています。 [1] タキサン系では累積投与量に伴い頻度と重症度が増加し、1コース目から症状が現れることもあります。 [5]
症状の特徴
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左右対称の感覚障害が典型
手足の先のしびれ、感覚鈍麻、ピリピリ痛、灼熱感などが左右対称に出ることが多いです。 [2] 進行すると手袋・靴下をはめた範囲のように広がることがあります。 [2] -
経過と予後
治療終了後に6〜12か月かけて改善していくことがありますが、長く残る場合もあります。 [5] 薬剤の種類や総投与量によっては、完全に回復しないケースも報告されています。 [6] [7]
原因のメカニズム(やさしく解説)
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神経への炎症・障害
抗がん剤が末梢神経に炎症や傷害を起こして、感覚を伝える線維がうまく働かなくなることで症状が出ます。 [2] これにより小さな刺激でも痛く感じたり、逆に感覚が鈍くなったりします。 [2] -
他の要因も
糖尿病・尿毒症・ウイルス感染などの持病や、がん自体、特定の毒性物質、外傷などが神経障害の原因になる場合もあります。 [7] 治療薬以外の原因が隠れていないか、医療者が総合的に確認します。 [7]
どう管理・治療する?
1) 抗がん剤の調整
- 症状に応じて“待つ・減らす・止める”
症状が進む場合は、投与の遅延(休薬)、用量減量、薬剤変更や中止を検討します。 [3] これは神経障害の悪化や長期化を防ぎ、日常生活の質を守るために重要です。 [3]
2) 症状緩和の薬物療法
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第一選択として検討される薬
国際的な治療指針の要点として、持続する化学療法性末梢神経障害の痛みに対しては“デュロキセチン(SNRI)”が有効性を示した数少ない薬です。 [PM13] 一方で、従来の抗けいれん薬や三環系抗うつ薬はCIPNでは十分な効果が乏しいという報告が目立ちます。 [PM14] -
他の薬や補助療法
痛みが強い場合には、オピオイドや非オピオイドの鎮痛薬を組み合わせることがありますが、がんサバイバーの慢性痛では適正使用の配慮が必要です。 [8] [9]
3) 非薬物療法
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運動・リハビリ
有酸素運動やバランストレーニング、理学療法は、しびれの体感を和らげ、転倒予防や機能維持に役立つ可能性があります。 [PM16] 簡単なストレッチや足指の運動を無理のない範囲で続けるのも良い方法です。 [PM16] -
鍼や神経調整法
鍼治療や神経フィードバックなどの“神経の感じ方を調整する”アプローチに効果を示す研究があります。 [PM16] 一方で、スクランブラー療法は一貫した有効性が確認されていません。 [PM16]
4) 日常生活の工夫
- 冷刺激・圧迫の回避
一部の薬剤(例:オキサリプラチン)では冷たい刺激で症状が悪化しやすく、冷飲料や冷気の強い環境を避ける工夫が役立ちます。 [2] - 転倒・やけど予防
感覚低下があるとケガしやすくなるため、滑りにくい靴、室内の段差・コード整理、入浴時の湯温確認など安全対策が大切です。 [10]
受診の目安
まとめ
- “がん関連の神経障害”は特に抗がん剤で比較的よく起こり、累積投与量に比例して悪化しやすい副作用です。 [3] [5]
- 管理の柱は、薬剤の用量調整や休薬などの“治療強度の見直し”、デュロキセチンを含む疼痛緩和、運動・リハビリなどの非薬物療法の組み合わせです。 [3] [PM13] [PM16]
- 多くの方で治療終了後に改善傾向がありますが、完全に消えないケースもあり、早期の相談と個別化した対策が大切です。 [5] [6] [7]
よくある質問
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神経障害は治るの?
改善することが多いですが、6〜12か月かけてゆっくり良くなる場合や残る場合もあります。 [5] -
予防はできる?
確実な予防法は現時点で確立されていませんが、早期発見・早期調整が重症化を防ぐ現実的な対策です。 [6] [3]
参考情報(簡潔版)
- 頻度の目安:複数薬剤では約38%。 [1]
- 症状:左右対称の手足のしびれ・痛み(手袋・靴下様)。 [2]
- 経過:治療後に改善することも、長く残ることも。 [5] [6]
- 管理:用量調整・休薬、デュロキセチン、運動・リハビリ、生活安全対策。 [3] [PM13] [PM16] [10]
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関連する質問
出典
- 1.^abc1743-Anti-cancer drug induced peripheral neuropathy(eviq.org.au)
- 2.^abcdefgh1743-Anti-cancer drug induced peripheral neuropathy(eviq.org.au)
- 3.^abcdefghij1743-Anti-cancer drug induced peripheral neuropathy(eviq.org.au)
- 4.^↑1743-Anti-cancer drug induced peripheral neuropathy(eviq.org.au)
- 5.^abcdef1743-Anti-cancer drug induced peripheral neuropathy(eviq.org.au)
- 6.^abcd국가암정보센터(cancer.go.kr)
- 7.^abcd국가암정보센터(cancer.go.kr)
- 8.^↑Pain Among Cancer Survivors(cdc.gov)
- 9.^↑Pain Among Cancer Survivors(cdc.gov)
- 10.^ab536-Peripheral neuropathy during cancer treatment(eviq.org.au)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。