がんで神経痛はよくある?原因と管理方法を解説
要点:
がんで神経痛はよくある?原因と管理方法を解説
がんに伴う痛みは比較的よくみられ、神経痛(神経障害性疼痛)も一定の割合で発生します。 がん経験者の痛みはおおよそ20〜50%にみられるとされ、要因の一つに神経障害性の痛みがあります。 [1] 痛みはがんの進行度、治療内容、合併症、初期の痛み対処などによって差が出ます。 [1]
神経痛の「頻度」
- がん治療後・治療中の痛みの有病率は概ね20〜50%の範囲で報告されています。 [1]
- 抗がん薬による末梢神経障害(CIPN)はよくある副作用で、薬剤によっては患者の約半数近くに末梢神経障害が生じることがあります。 [2] たとえば一部の抗がん薬ではグレード2以上の末梢神経障害の発生率が用量に比例して上がります。 [2]
- 症状の出現時期は投与開始から平均2〜3か月で現れることがあり、主として感覚症状(しびれ、痛み)が主体です。 [2] 多くの人でフォローアップ時に症状が軽快するケースもありますが、持続する場合もあります。 [2]
主な原因
1) 腫瘍そのものによる神経障害
- 腫瘍の神経浸潤や圧迫で神経が傷つき、しびれや焼けるような痛み、電撃痛などの神経痛が起こります。 がんの骨転移や組織侵食は痛みの主要因になりやすく、神経痛が混在することがあります。 [PM10]
2) がん治療による末梢神経障害(CIPN)
- プラチナ系(オキサリプラチン、カルボプラチン)やタキサン系(パクリタキセル、ドセタキセル)、ビンカアルカロイド(ビンクリスチン等)、プロテアソーム阻害薬(ボルテゾミブ等)、免疫調節薬(サリドマイド、レナリドミド)、抗体薬物複合体(ブレンツキシマブ・ベドチン、トラスツズマブ・エムタンシン)などで神経障害が生じやすいことが知られています。 [3] 末梢神経の炎症・損傷・変性により感覚・運動・自律神経の機能が障害されます。 [4] 典型的には左右対称の「手袋・靴下様」分布で指先や足先から症状が進みます。 [5]
- 治療の累積用量や併用薬、既往の神経障害、年齢がリスクに影響し、症状は治療中に始まり治療後も悪化が続くことがあります。 [PM22]
3) その他の併存要因
- 糖尿病、腎不全、感染症、外傷、特定の薬や毒性物質も末梢神経障害の原因になります。 [6]
症状の特徴
- しびれ、ピリピリ・ジンジンする痛み、灼熱痛、電撃痛、触れるだけで痛む(アロディニア)、通常より痛みが強く感じる(痛覚過敏)が代表的です。 [PM9] 末梢優位で、足先・手先から広がる感覚症状が多くみられます。 [PM22]
どう評価するか
- いつから、どの部位に、どのような痛みが、どの治療とタイミングが重なるかを丁寧に聞き取ります。 服薬歴(神経毒性のある抗がん薬)、累積用量、併用薬、糖尿病などの合併症を確認します。 [PM22]
- 神経学的診察(感覚低下、アロディニアの有無、筋力・腱反射)と、必要に応じて画像検査で腫瘍の神経浸潤や骨転移を評価します。 [PM10]
管理・治療の基本方針
目標は原因の是正が可能ならそれを試みつつ、痛みをコントロールして生活の質を高めることです。 [7]
1) 原因への対処
- 腫瘍による圧迫や浸潤が原因なら、放射線治療・外科的緩和や腫瘍縮小治療で痛みの軽減が期待できます。 [PM10]
- 抗がん薬によるCIPNでは、症状が進行する場合に用量調整・投与間隔の延長・中止などを検討することがあります。 [8] 全ての抗がん治療で不可逆的な症状が起こりうるため、早期の気づきと調整が重要です。 [4]
2) 薬物療法(神経障害性疼痛の第一選択群を中心に)
- 抗うつ薬(例:SNRIや三環系)と抗けいれん薬(ガバペンチン系など)は神経痛に有効とされ、がん関連の神経痛でも広く使われます。 [PM9]
- オピオイドは機序にかかわらず強い痛みに有効で、重度のがん疼痛では早期から用いることがあります。 [PM10] 神経痛でもオピオイドが役立つ場合があり、他剤と併用することもあります。 [PM11]
- 貼付剤(リドカイン5%)は局所のアロディニアに有用性が示されています。 [PM9]
- 近年、新規・補助的な選択肢(ミラガバリン、パルミトイルエタノールアミド、クロニジンなど)が検討されており、症例により併用が考慮されます。 [PM21]
3) 非薬物療法
- 運動・理学療法でバランスや筋力を保ち、しびれ・痛みに伴う転倒リスクや機能低下を減らします。 [9] 生活指導として、手足の保護、極端な温度刺激の回避、転倒予防、足のケアが推奨されます。 [9]
- 認知行動療法、リラクゼーション、マインドフルネスなど心理的支援は痛み対処に役立つことがあります。 [PM10]
- 神経ブロックや介入的治療は限局した痛みや難治例で検討されます。 [PM10]
4) フォローアップと期待値
- CIPNは治療終了後に軽快することもありますが、長く続くこともあります。 [6] 一部のレジメンではフォローアップ時に約76%で症状の改善がみられた報告もあります。 [2]
- 症状の変化を定期的に見える化(疼痛スケール、機能評価)して治療を調整します。 [PM20] 臨床試験でも評価指標や生物学的マーカーの整備が重要視されています。 [PM20]
よく使われる抗がん薬と神経痛の関連
| 薬剤群 | 代表薬剤 | 特徴的ポイント |
|---|---|---|
| プラチナ系 | オキサリプラチン、カルボプラチン | 冷感過敏や感覚障害が目立つことがある。累積用量でリスク増加。 [3] [PM22] |
| タキサン系 | パクリタキセル、ドセタキセル | 感覚優位の末梢神経障害。用量依存性。 [3] [PM22] |
| ビンカアルカロイド | ビンクリスチン等 | 末梢神経毒性が知られる。 [3] [PM22] |
| プロテアソーム阻害薬 | ボルテゾミブ、カルフィルゾミブ | しびれ・痛みの訴えが多い。 [3] |
| 免疫調節薬 | サリドマイド、レナリドミド | 末梢神経障害が問題となる。 [3] |
| 抗体薬物複合体 | ブレンツキシマブ、T-DM1 | 神経障害が起こりうる。 [3] [2] |
生活の中でできる工夫
- 手足の保温と保護:極端な冷えや熱を避け、靴や靴下はクッション性のあるものを。 [9]
- 転倒予防:足裏の感覚低下がある場合は室内の段差・滑りやすい場所に注意し、夜間は照明を確保。 [9]
- 皮膚・爪ケア:小さな傷から感染・痛みが悪化しないように。 [9]
- 症状日誌:痛みの強さ、誘因、薬の効果を記録して診療時に共有。 [PM20]
受診の目安
- 新しく強いしびれ・電撃痛・灼熱痛が出た、階段が登りにくい、物を落とす、バランスを崩すなどがあれば、早めに主治医に相談しましょう。 早期に抗がん薬の調整や疼痛治療の追加を検討でき、不可逆的な悪化を防ぐ助けになります。 [4] [8]
がんに伴う神経痛は珍しくない一方で、原因を見極めて薬物・非薬物療法を組み合わせることで、生活の質を十分に高めることが期待できます。 [PM10] [PM9] 痛みの性質やタイミング、治療歴を伝えることで、より適切な対処につながります。 [PM22]
関連する質問
出典
- 1.^abcPain Among Cancer Survivors(cdc.gov)
- 2.^abcdef1743-Anti-cancer drug induced peripheral neuropathy(eviq.org.au)
- 3.^abcdefgNeuropathic Pain(mskcc.org)
- 4.^abc1743-Anti-cancer drug induced peripheral neuropathy(eviq.org.au)
- 5.^↑1743-Anti-cancer drug induced peripheral neuropathy(eviq.org.au)
- 6.^ab국가암정보센터(cancer.go.kr)
- 7.^↑Нейропатическая боль(mskcc.org)
- 8.^ab1743-Anti-cancer drug induced peripheral neuropathy(eviq.org.au)
- 9.^abcde536-Peripheral neuropathy during cancer treatment(eviq.org.au)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。