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2026年2月16日5分で読める

PubMedの資料に基づく | アルツハイマー病では、視力低下よりも視空間認知や物体認識の障害が問題になることが多いですが、具体的にどのような視覚症状が現れますか?

要点:

アルツハイマー病では視力は比較的保たれていても、脳の視覚処理(視空間認知・物体認識)が障害されやすく、日常生活に影響します。道に迷う、物や顔が分からない、同時把握や空間定位の誤り、視構成の困難などが典型です。後方皮質萎縮(PCA)では初期から視覚症状が前景化し、環境の単純化や非視覚的手掛かりが支援に有効です。

アルツハイマー病では、目そのものの視力は比較的保たれていても、脳で見た情報を処理する機能(視空間認知・物体認識)が障害されやすく、日常生活に大きな影響を及ぼします。具体的には、道に迷う、物の位置や全体像を把握しづらい、有名人の顔や身近な物を見ても何か分からない、といった症状がみられます。 [1] [2]

代表的な視覚関連症状

  • 視空間認知の障害(道に迷う・空間の把握が難しい):見慣れた場所でも方向感覚を失い、道順の計画やナビゲーションが困難になります。 [1] [2]
  • 視知覚・物体認識の障害(視覚失認):視力や色覚が保たれていても、目の前の物が何か分からない、使い方が分からないといった「物の意味付け」が難しくなります。 [3]
  • 顔の認識困難(相貌失認):家族や有名人の顔を見ても誰か識別できないことがあります。 [3]
  • 同時把握の困難(同時失認・同時に複数の情報を捉えにくい):背景と対象の切り分け(図と地の分析)が苦手になり、複雑な場面で必要なものを視線で拾えません。 [3]
  • 視構成・視覚的作図の障害:地図模写や図形の写しが苦手になり、衣服のボタン掛けや家具の組み立てなど手順を要する作業でつまずきます。 [4]
  • 空間の定位の障害(配置や距離の見誤り):物をつかみにくい、置き場所を取り違える、階段の段差判断を誤るなどが起こりやすくなります。 [4]
  • 視覚的指示の理解低下:絵や図表、道案内の標識などの情報を読み取りにくく、指示通りに動くことが難しくなります。 [1]

症状の出方と進行

  • 初期からみられることがある症状:ナビゲーションの困難、見慣れた道でも迷う、抽象的な視空間課題が苦手になる、といった変化が早期から目立つ場合があります。 [1] [2]
  • 進行に伴う拡大:記憶・言語と並行して、視空間・視知覚の障害が広がり、物の誤認や場所・時間の混乱が増えていきます。 [2]
  • 複合的な視覚障害:図と地の分離困難、物体認識の障害、有名人の顔識別困難などが同時に重なり、複雑な視覚課題で特に支障が強くなります。 [3]

後頭頂葉優位型(後方皮質萎縮:PCA)との関連

アルツハイマー病の一部には、記憶よりも視覚の処理領域(後頭葉・頭頂葉)に優位な障害が出る「後方皮質萎縮(Posterior Cortical Atrophy)」という臨床型があります。 [5]
この型では、視空間障害(同時失認、空間定位障害、視覚性運動失調)や視知覚障害(視覚失認、読字困難=失読)が初期から前景に立ち、眼科検査で異常がないのに「見えづらい」「正しく見取れない」と訴えるのが特徴です。 [6] [7]

典型的な具体例

  • 見慣れたスーパーで通路を把握できず、目的の棚まで辿り着けない。 [2]
  • リモコンや鍵など、よく使う物を目の前に置いても「何に使うのか」が瞬時に結びつかない。 [3]
  • 家族の顔や有名人の写真を見ても誰か分からないことが増える。 [3]
  • 混雑した駅で必要な案内表示を視線で拾えず、全体が「ごちゃごちゃ」して見える。 [3]
  • 地図の模写や折り紙・組み立て作業が極端に苦手になる。 [4]

よくある誤解への注意

  • 視力そのものの低下が主因とは限りません:眼球の検査(視力・眼底)が正常でも、脳の視覚処理の障害で見え方が不自由になります。 [3] [6]
  • 運動機能は比較的保たれやすい一方で、視空間の判断ミスにより転倒や接触が増えることがあります。 [8]

生活上の対策のヒント

  • 環境をシンプルに:背景と対象を明確に分け、物の定位置を決めると図と地の分離が楽になります。 [3]
  • 視覚以外の手掛かりを活用:ラベル、色分け、触覚(手触り)や音の手掛かりを組み合わせると認識が補えます。 [4]
  • ナビゲーションの工夫:曲がり角ごとの写真カード、ランドマークの言語化、段階的な道順の提示が役立ちます。 [2]
  • 安全確保:段差や階段にコントラストテープ、物の置き場所の一貫性、夜間照明の整備で誤認による事故を減らします。 [4]

まとめ

アルツハイマー病では、視力よりも視空間認知や物体認識の障害が問題になり、道に迷う、物の意味づけが難しい、顔が分からない、複雑な場面で必要な対象を見つけにくいといった症状がみられます。 [1] [2]
これらは眼科的異常がなくても起こり、後方皮質萎縮(PCA)のように視覚症状が前景化するタイプもあります。 [6] [5] [7]
日常では環境の単純化、視覚以外の手掛かりの活用、ナビゲーションの工夫が実用的な支援になります。 [3] [4] [2]

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出典

  1. 1.^abcdeAlzheimer's Disease(stanfordhealthcare.org)
  2. 2.^abcdefghAlzheimer's disease(stanfordhealthcare.org)
  3. 3.^abcdefghijComplex visual disturbances in Alzheimer's disease.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  4. 4.^abcdefVisual manifestations in Alzheimer's disease: a clinic-based study from India.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  5. 5.^abTowards an earlier diagnosis of Alzheimer's disease presenting with visuospatial disorders (posterior cortical atrophy).(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  6. 6.^abc[Posterior cortical atrophy. Report of five cases].(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  7. 7.^abComplex visual manifestations of posterior cortical atrophy.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  8. 8.^Alzheimer's Disease(stanfordhealthcare.org)

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