
米国NIHの資料に基づく | アルツハイマー病の症状として腹部膨満感(お腹の張り)は一般的に見られますか?
要点:
アルツハイマー病そのものの典型症状に腹部膨満感は含まれません。ただし便秘、食習慣や活動量の変化、コリンエステラーゼ阻害薬などの副作用により膨満が起こることがあります。継続する場合は食事・水分・運動・服薬を見直し、腹痛や出血、黒色便、嘔吐、発熱を伴うときは早めに受診を。
アルツハイマー病と腹部膨満感の関係
結論から言うと、腹部膨満感(お腹の張り)はアルツハイマー病そのものの典型的な症状ではありませんが、高齢者に多い消化管の問題や薬の副作用、生活要因が重なって、アルツハイマー病の方に腹部膨満感が生じることはあります。アルツハイマー病の中核症状は記憶・思考・行動の変化であり、腹部膨満感は直接の症状には含まれません。 [1] [2] [3]
アルツハイマー病の「典型症状」
- アルツハイマー病の主な症状は、記憶障害、判断力や方向感覚の低下、言語の障害、行動・性格の変化などです。 [1]
- 進行期には、運動機能の低下、嚥下(飲み込み)障害、排便・排尿のコントロール低下がみられることがあります。これらは便秘や栄養不良に間接的につながることがあります。 [2]
腹部膨満感が生じやすい「間接要因」
アルツハイマー病に伴いやすい状況や治療が、腹部膨満感を引き起こすことがあります。ここでは代表的な要因を整理します。
1) 便秘(高齢者に非常に多い)
- 高齢者では便秘の有病率が高く、施設入所者では約7割に達すると報告されています。便秘はガスの貯留や排出遅延を招き、膨満感の原因になります。 [4]
- 加齢に伴う腸の神経機能低下(腸管の神経変性)や活動量低下、排便の我慢などが便秘を悪化させます。 [5] [6]
- 便秘は腹部膨満感の代表的原因で、食事・水分・運動・薬剤の見直しが必要になることが多いです。 [4]
2) 消化管機能の変化(機能性腹部膨満)
- 腹部膨満感は年齢を問わずよくみられる症状で、腸のガス取り扱いの低下、腸の過敏性、腸内細菌の変化、横隔膜・腹筋の反射の異常など複合的な機序が関与します。 [7]
- 認知症に伴う食習慣の乱れ(早食い、ガスの出やすい食品の過多、炭酸・ガムなど空気嚥下)は膨満を助長し得ます。 [8]
3) 薬剤の副作用(特にコリンエステラーゼ阻害薬)
- ドネペジル(アリセプトなど)、リバスチグミン、ガランタミンは、消化器系の副作用として膨満、胃痛、消化不良、下痢・便秘、ガス(放屁)などを起こすことがあります。 [3] [9] [10] [11] [12] [13] [14]
- これらの副作用は個人差があり、用量調整や投与方法の変更(貼付剤の使用など)で軽減できる場合があります。 [3]
4) 栄養・水分・活動量の変化
- アルツハイマー病では、病期に応じて食事量の変動、脱水、活動量の低下が起こり、便秘や膨満のリスクが高まります。 [15]
- 進行期には臥床が増え、腸の動きが鈍くなるため、膨満や便秘が悪化しやすくなります。 [15]
5) 消化管イベントのリスク増加
- 高齢でアルツハイマー病の方は、潰瘍や消化管出血などの重篤な消化管イベントの発生率が高いという疫学データがあります。腹痛・黒色便・吐血などを伴う膨満は要注意です。 [16]
腹部膨満感への対応
日常ケアのポイント
- 食事の見直し:ガスが出やすい食品(豆類、キャベツ、玉ねぎなど)や炭酸飲料・ガムを控える、ゆっくり噛んで食べる、果糖やソルビトールの多い加工食品を減らす。 [8]
- 水分と食物繊維:適切な水分摂取と、整腸に有用な水溶性食物繊維をバランスよく取り入れる(便秘が強い場合は医師と相談)。 [4]
- 活動量の確保:散歩や軽い体操で腸の動きを促す。活動量低下は膨満と便秘を悪化させます。 [4] [6]
- 服薬の確認:コリンエステラーゼ阻害薬や他の薬で消化器症状が出ていないか確認し、症状と服薬開始・増量のタイミングの関係を記録しましょう。 [3] [9]
受診の目安
- 数日以上続く強い膨満、持続する腹痛、嘔吐、発熱、血便・黒色便、急な体重減少がある場合は、早めの受診が勧められます。重篤な消化管イベントの可能性があるため注意が必要です。 [16]
- 便秘が長期化し生活の質を下げている場合、便通評価や直腸診、必要に応じた検査(便潜血、内視鏡、通過時間評価など)で原因を特定し、個別化した治療を検討します。 [4]
治療の選択肢(医師と相談)
- 整腸・排便改善:浸透圧性下剤(例:ポリエチレングリコール)を中心に、症状に応じて新規薬剤(ルビプロストン、リナクロチド、プルカロプリドなど)を検討します。高齢者での使用は安全性と相互作用を確認しながら慎重に行います。 [4]
- 機能性膨満への対応:生活改善に加えて、場合により腸運動改善薬(プロキネティクス)や腸内細菌調整を検討します。 [7]
- 行動・栄養支援:介護者の関与による適切な食事誘導、摂食・嚥下の評価、脱水予防が有用です。 [15]
まとめ
- 腹部膨満感はアルツハイマー病の「直接の典型症状」ではないものの、便秘、食事・活動の変化、薬の副作用などの間接要因で生じやすくなります。 [1] [2] [3] [4] [9]
- 症状が続く場合は、食事・生活・薬の見直しを行い、必要に応じて医療機関で評価を受けることが推奨されます。重篤なサイン(腹痛、出血、黒色便、嘔吐、発熱)がある場合は早めに受診してください。 [16] [8]
関連する質問
出典
- 1.^abcAlzheimer's Disease(stanfordhealthcare.org)
- 2.^abcAlzheimer's disease(stanfordhealthcare.org)
- 3.^abcdeAlzheimer's disease - Diagnosis and treatment(mayoclinic.org)
- 4.^abcdefgUpdate on the management of constipation in the elderly: new treatment options.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 5.^↑The aging colon: the role of enteric neurodegeneration in constipation.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 6.^abMotility disorders in the patient with neurologic disease.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 7.^abAbdominal bloating: pathophysiology and treatment.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 8.^abcAbdominal bloating: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
- 9.^abcThese highlights do not include all the information needed to use donepezil hydrochloride tablets safely and effectively. See full prescribing information for donepezil hydrochloride tablets. Donepezil Hydrochloride TabletsRx Only Initial U.S. Approval: 1996(dailymed.nlm.nih.gov)
- 10.^↑DONEPEZIL HYDROCHLORIDE- donepezil tablet, film coated(dailymed.nlm.nih.gov)
- 11.^↑DONEPEZIL HYDROCHLORIDE- donepezil tablet, film coated(dailymed.nlm.nih.gov)
- 12.^↑DONEPEZIL HYDROCHLORIDE- donepezil tablet, film coated(dailymed.nlm.nih.gov)
- 13.^↑DONEPEZIL HYDROCHLORIDE tablet, film coated(dailymed.nlm.nih.gov)
- 14.^↑DONEPEZIL HYDROCHLORIDE tablet, film coated(dailymed.nlm.nih.gov)
- 15.^abc알츠하이머식 | 식사요법 | 의료정보 | 건강정보(amc.seoul.kr)
- 16.^abcIncidence of serious upper and lower gastrointestinal events in older adults with and without Alzheimer's disease.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


