化学療法でけいれんは起こり得る?対処法まとめ
要点:
化学療法の副作用としてのけいれん:起こり得る可能性と対処法
化学療法(抗がん剤)でけいれんが起こることはありますが、頻度は薬剤や体調・併用薬によって異なります。 一部の薬は神経毒性(脳・神経への負担)で発作を誘発したり、既存のてんかんの発作閾値を下げたりします。 [1] 多くの場合は一過性で、原因薬の中止・減量や支持療法で改善が期待できます。 [2]
なぜ発作が起こるのか
- 神経毒性:抗がん剤の一部は脳の興奮と抑制のバランスを崩し、発作を誘発します。メカニズムは神経伝達物質の変化、イオンチャネル機能異常、神経細胞障害などが関与します。 [1]
- 血圧急上昇や脳浮腫:急性高血圧と抗がん剤曝露が重なると、後部可逆性脳症(PRES)を来し発作・頭痛・意識障害が出ることがあります。 [PM16]
- 高用量投与や腎機能低下:例えばシタラビンの高用量では投与スケジュールや腎機能により神経毒性リスクが上がるため、用量調整が推奨されます。 [2]
注意が必要な薬剤の例
- シタラビン(高用量):神経毒性が問題となり、用量減・コース短縮・1日1回投与などでリスク軽減が検討されます。 [2]
- シスプラチン:急性高血圧と合併してPRESを起こし、発作に至ることがあります。 [PM16]
- イホスファミド:せん妄・幻覚・発作などの脳症を起こし、まれに遅発するケースもあります。 [PM14]
- メトトレキサート:急性~亜急性の神経毒性で発作や片麻痺様症状が出ることがあり、回復後に再投与可能なケースが多いです。 [PM21] 症状は数日で自然軽快することが一般的です。 [PM20]
- 免疫療法(CAR-Tなど):ICANS(免疫エフェクター細胞関連神経毒性)で発作が起こり得ます。高リスクではレベチラセタムの予防投与が検討されます。 [3] [4]
また、抗生物質(βラクタム)、鎮痛薬トラマドール、向精神薬なども発作閾値を下げることがあるため、がん治療中の併用薬にも注意が必要です。 [1]
どんな人がリスクが高い?
- 既往のてんかん、脳腫瘍、脳血管障害のある方。 [1]
- 高用量・腎機能低下・電解質異常(低ナトリウムなど)・急性高血圧がある場合。 [2] [PM16]
- 併用薬で発作閾値が低下する場合(例:一部抗生物質・向精神薬・トラマドールなど)。 [1]
- 小児や若年での特定レジメンでは長期的な神経毒性の報告があり、長期フォローがすすめられます。 [PM15]
発作を防ぐためのポイント
- 用量とスケジュールの調整:リスク薬では用量減、投与回数の変更、コース短縮、eGFR(腎機能)に基づく調整が有用です。 [2]
- 発作予防薬の活用:CAR-TなどICANS高リスクではレベチラセタムによる予防が考慮されます。 [3] [4]
- 血圧・電解質の管理:急性高血圧はPRESの引き金になるため厳格な管理が重要です。 [PM16]
- 併用薬チェック:発作閾値を下げる薬の併用は慎重に、必要なら代替薬へ。 [1]
- てんかん既往のある方:酵素誘導型抗てんかん薬は抗がん剤との相互作用により双方の血中濃度が変動しうるため、血中濃度と発作頻度をモニタリングし用量調整します。 [5]
発作が起きたらどうする?
- 安全確保:周囲の危険物を除き、頭部を保護し、発作が終わるまで見守ります(口に物を入れない、抑えつけない)。
- 医療者へ連絡:新規発作、持続するけいれん、意識障害、激しい頭痛・視覚異常・急な高血圧があれば、緊急受診が望ましいです。PRESや薬剤性脳症の可能性があります。 [PM16] [PM14]
- 原因薬の評価:担当医が原因薬の中止・減量・遅延を検討します。これは重篤な不可逆的毒性を防ぐための標準的介入です。 [2]
- 薬物療法:レベチラセタムなどの抗てんかん薬で発作コントロールを図ります。ICANSでは抗けいれん薬とステロイドが用いられ、重症例は集中治療を要します。 [3] [PM20]
- 再開の判断:メトトレキサートなどは完全回復後に慎重に再投与されることが多く、再発は一部で見られるものの長期後遺症は限定的という報告があります。 [PM21] [PM20]
受診の目安(すぐ相談したいサイン)🆘
- 5分以上続く発作、または連続する発作。 [3]
- 発作後に長く意識が戻らない、激しい頭痛、視覚異常、急な血圧上昇がある。 [PM16]
- 新しい神経症状(片側の力が入らない、ろれつが回らない、混乱)が出た。 [PM21] [PM20]
- いつもと違う薬を開始してから発作が増えた。 [1] [5]
生活でできる工夫・セルフケア
- 睡眠・ストレス管理:睡眠不足や強いストレスは発作の誘因になりやすいです。 [1]
- 水分・栄養・電解質:下痢・嘔吐時は脱水や低ナトリウムに注意し、早めに医療者へ相談しましょう。 [2]
- 服薬遵守:抗てんかん薬は飲み忘れが増悪要因になります。相互作用のあるサプリ・市販薬は事前に相談を。 [5] [1]
- 発作記録:日時・持続時間・誘因・併用薬のメモは診療に役立ちます。 [5]
よくあるケースと期待できる経過
- メトトレキサートによる一過性の神経症状:多くは数日で自然軽快し、支持療法で対処します。回復後、再投与しても大半が問題なく継続可能です。 [PM20] [PM21]
- CAR-T関連のICANS:軽症は数日で改善、重症は集中治療と薬物療法で管理します。再発作予防にレベチラセタムなどが使われます。 [3] [PM20]
- シスプラチン+急性高血圧のPRES:血圧管理と抗けいれん薬で改善が期待できる可逆性病態です。 [PM16]
- シタラビン高用量の神経毒性:早期介入(減量・遅延・中止)で重篤で不可逆な毒性の予防が可能です。 [2]
まとめ
抗がん剤による発作は「起こり得る副作用」であり、薬剤特性・体調・併用薬でリスクが変わります。 予防的な用量調整、血圧・腎機能・電解質の管理、必要時の発作予防薬の使用、早期の原因薬見直しで安全に治療を続けられる可能性が高いです。 [2] [3] [5] 新しい発作やいつもと違う症状が出たら、遠慮なく主治医へ連絡してください。 [PM16] [PM14]
追加で知りたいことがあれば、いつでも気軽に教えてください。
関連する質問
出典
- 1.^abcdefghi약학정보원(health.kr)
- 2.^abcdefghi1742-Neurotoxicity associated with high dose cytarabine(eviq.org.au)
- 3.^abcdef3834-Immune Effector Cell-Associated Neurotoxicity Syndrome (ICANS)(eviq.org.au)
- 4.^ab3834-Immune Effector Cell-Associated Neurotoxicity Syndrome (ICANS)(eviq.org.au)
- 5.^abcde237-NSCLC adjuvant ciSplatin and vinORELBine(eviq.org.au)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。