化学療法で神経痛は起こる?対策と治療まとめ
要点:
化学療法で神経痛は起こる?仕組みと対策を詳しく解説
化学療法では、手足のしびれや痛みなどの「末梢神経障害(CIPN)」が副作用として起こることがあります。これは用いる薬の種類や合計投与量に左右され、治療の継続や生活の質に影響することがあります。 [1] 症状は多くが感覚障害(しびれ、ピリピリ感、灼熱痛など)として現れ、左右対称で指先や足先から始まることが典型的です。 [2]
起こりやすい抗がん剤
- プラチナ系(シスプラチン、オキサリプラチンなど):用量依存性で累積投与に伴い増加し、治療終了後もしばらく悪化が続く「コースティング」がみられることがあります。 [3]
- タキサン系(パクリタキセル、ドセタキセルなど):累積量が増えるほど頻度・重症度が上がり、早期から症状が出ることもあります。 [4]
- ビンカアルカロイド、プロテアソーム阻害薬、免疫調節薬、一部の抗体薬・抗体薬物複合体(T-DM1 など)でも神経障害が報告されています。 [5]
総じて、複数薬の併用や高累積量で発生リスクは高まります。 [6]
どのくらいの頻度で起きるの?
抗がん剤による末梢神経障害は、薬剤・用量・期間・評価方法により幅がありますが、多剤治療では約38%に生じると推定されています。 [6] ある薬剤では約46%で神経障害が発生し、重症は約3.7%という報告もあります。 [7] 症状は平均2~3か月頃に発現しやすく、追跡時点で約76%が改善していたデータもあります。 [7] 一方で、6~12か月かけて改善する場合もあれば、長く残る場合もあります。 [4]
症状の特徴
- 指先・足先のしびれ、ピリピリ、焼けるような痛み(灼熱痛)、感覚鈍麻。 [2]
- 手袋・靴下様(左右対称で末端から広がる)に感じることが多い。 [2]
- つまずきやすい、細かい作業がしづらい、夜に悪化するなどの生活上の困りごと。 [8]
まず何をすべき?
- 早期に医療者へ相談:神経障害は用量調整や休薬の判断材料になります。早期申告が安全な治療につながります。 [1]
- 簡易スクリーニングの活用:質問票などで症状の程度を定期的に評価すると、見逃しが減ります。 [9]
- 転倒予防や日常生活の工夫:滑りにくい靴、部屋の段差やコードの整理、温度の急変(極端な冷え)を避けるなどが有用です。 [8]
医療的な対処法(治療・薬物)
- 用量調整・休薬:症状が強い場合は、主治医が減量や投与間隔の調整を検討します。これは悪化防止に重要です。 [1]
- 薬物治療の第一選択:デュロキセチン
神経障害性疼痛に対し、現時点で有効性がもっとも確からしい内服薬がデュロキセチンです(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)。 [PM8] ガイドライン更新でもCIPNの疼痛緩和に推奨されています。 [PM7] 他の抗てんかん薬や三環系抗うつ薬はCIPNでは効果が乏しいと示された試験が多い点に注意が必要です。 [PM18]- 服用は一般に少量から開始し、副作用(吐き気、眠気、口渇など)に留意しながら調整します。 [PM7]
- その他の選択肢(補助的)
一部でベンラファキシンなどの報告がありますが、確立した推奨度は限定的です。 [PM20] オピオイドは痛みが強い場合に併用されることがありますが、神経障害そのものへの根治効果はありません。 [PM18]
非薬物療法・セルフケア
- 運動(エクササイズ):筋力・バランス訓練は歩行安定・転倒予防に役立ち、疼痛の改善に控えめながら有益とされます。 [PM10]
- リハビリ・理学療法:感覚訓練、バランス練習、足底感覚の再教育などは機能維持に役立ちます。 [8]
- 寒冷刺激の回避:オキサリプラチン治療中は、冷たい飲食物や寒冷曝露で症状が悪化しやすいため冷え対策が有効です。 [8]
- 皮膚・足のケア:靴擦れ防止、保湿、爪ケアで合併症(傷、感染)を防ぐことができます。 [8]
- 補助具の利用:滑りにくい靴、手すり設置、踏み台・段差の見直しは安全性向上に有用です。 [8]
いつ受診・相談すべき?
- 新たな強い痛みや急速な悪化があるとき。 [1]
- 歩行が不安定、転倒が増えたと感じるとき。 [8]
- 生活や仕事に支障が出ているとき(ボタンが留めにくい、ペンが持ちづらい等)。 [8]
- 治療継続の可否を相談したいとき(用量調整・休薬の判断材料になります)。 [1]
予後と見通し
症状は治療終了後に数か月かけて改善していくこともあれば、長期に残ることもあります。 [4] ただし、多くのケースで時間とともに軽快が見られます。 [7] 患者ごとに違いが大きいため、早期から評価・対策を積み重ねることが重要です。 [1] [9]
まとめ
- 化学療法では、薬剤により末梢神経障害(神経痛・しびれ)が生じることがあります。 [1] [2]
- リスクは薬剤の種類と累積用量により高まります。 [4] [3]
- 対処の柱は、早期申告・用量調整、デュロキセチンの活用、運動や転倒予防などの非薬物療法です。 [PM7] [PM10] [1]
- 症状は改善に時間がかかる場合もあり、個別調整が大切です。 [4] [7]
関連する質問
出典
- 1.^abcdefgh1743-Anti-cancer drug induced peripheral neuropathy(eviq.org.au)
- 2.^abcd1743-Anti-cancer drug induced peripheral neuropathy(eviq.org.au)
- 3.^ab1743-Anti-cancer drug induced peripheral neuropathy(eviq.org.au)
- 4.^abcde1743-Anti-cancer drug induced peripheral neuropathy(eviq.org.au)
- 5.^↑Neuropathic Pain(mskcc.org)
- 6.^ab1743-Anti-cancer drug induced peripheral neuropathy(eviq.org.au)
- 7.^abcd1743-Anti-cancer drug induced peripheral neuropathy(eviq.org.au)
- 8.^abcdefgh536-Peripheral neuropathy during cancer treatment(eviq.org.au)
- 9.^ab8-Anti-cancer drug induced peripheral neuropathy screening tool(eviq.org.au)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。