化学療法で難聴は起こる?症状と対処法を徹底解説
要点:
化学療法で難聴は起こる?患者が知っておきたいこと
化学療法では、一部の薬剤で難聴(耳毒性)が副作用として起こり得ます。 特に白金製剤(シスプラチン)が代表的で、高音域の聞こえにくさや耳鳴りから始まり、投与回数や累積量が増えるほど悪化しやすい傾向があります。 [1] 一方で、オキサリプラチンでも稀に「難聴」が報告されていますが、頻度はシスプラチンより低いと考えられています。 [2] [3]
起こりやすい抗がん剤
-
シスプラチン(Cisplatin)
-
オキサリプラチン(Oxaliplatin)
症状の特徴
- 耳鳴り(キーン・ジーという音):高音域での違和感とともに最初に出やすい症状です。 [1]
- 高音域の聴力低下:会話音の聞き取りに影響が出ることがあり、進行すると日常生活に支障が出ます。 [1]
- 片側または両側で発症:非対称に出ることもあります。 [4]
- 前庭症状(ふらつき等):まれにめまいなどの前庭障害が伴うことがあります。 [5]
発生率・リスク要因
- シスプラチン50 mg/m²の単回投与でも最大約31%で耳毒性が観察された報告があります。 [1]
- 小児では聴力低下の頻度が特に高く、40–60%と推定されています。 [1]
- リスクが上がりやすい状況
いつ受診・相談すべきか
次のような症状が出たら、早めに主治医へ相談しましょう。 [6]
検査とモニタリング
- 基準(ベースライン)聴力検査:治療開始前の純音聴力検査で基準値を把握しておくと、変化を早期に捉えやすくなります。 [7]
- 定期的な聴力スクリーニング:症状が出た時点での速やかな聴力検査が推奨されます。 [6]
- 追加評価:必要に応じてティンパノメトリーや語音聴力検査、耳鼻科での詳細評価が行われます。 [8]
予防とリスク低減の工夫
- 薬剤選択・用量調整:既往の聴力低下がある場合は、主治医と薬剤や用量、投与間隔の調整について相談されることがあります。 [6]
- 併用薬の見直し:耳毒性や腎毒性がある薬剤(例:一部抗菌薬)の併用には注意が必要です。 [6]
- 腎機能管理・十分な補液:腎機能の保護は白金製剤の安全性に関わるため、治療プロトコルに沿った管理が一般的です。 [9]
起きてしまった場合の対処
- 治療計画の見直し:症状やグレードに応じて、主治医が投与量の減量、間隔延長、レジメン変更、一時中断などを検討することがあります。 [6]
- 耳鳴りの対処:サウンドセラピーやカウンセリングなど非薬物療法が選択肢になります(耳鼻科・聴覚支援で対応)。 [7]
- 前庭リハビリ:ふらつきがある場合は理学療法・前庭リハビリが役立つことがあります。 [7]
生活上のサポートとリハビリ
- 補聴器:聴力低下が固定的な場合、補聴器の適合で会話の負担が軽くなります(両耳のバランス調整や指向性マイクなどが有効)。 [8]
- CROS補聴システム:片側のみの難聴では、聞こえにくい側の音を良聴耳へ送るCROSが選択肢になります。 [10]
- コミュニケーション工夫
- 静かな環境で話す、話者の顔を見る、要点を文字で共有する、会話アプリの利用など日常の工夫が役立ちます。
- 職場・学校への配慮:席の配置変更、会議での字幕・録音、FMシステムの活用などを検討しましょう。
- 専門チームへ早期相談:耳鼻咽喉科、聴覚士、リハビリ、ソーシャルワーカーの連携が有用です。 [8]
小児・若年者での注意点
- 小児は耳毒性のリスクが高く、発達・学習にも影響し得ます。 そのため、治療前のベースライン測定と定期的な聴力追跡、教育支援(教室での聞こえの配慮、補聴機器活用)が重要です。 [1] 特に5歳未満では影響が大きいとされるため、より厳密なモニタリングが推奨されます。 [11]
まとめ
- 化学療法で難聴が起こる可能性はありますが、薬剤や用量、個人の条件で差があります。 とくにシスプラチンは耳毒性が知られており、耳鳴りや高音域の聞こえづらさから始まることが多いです。 [1] [4]
- 早期発見・早期対応がカギです。治療前の基準聴力、症状が出た際の早期検査、治療計画の見直し、補聴器などの支援で、生活の質を保ちながら治療を続けられる可能性があります。 [7] [6] [8]
- 不安や変化を感じたら、遠慮なく主治医と耳鼻科に相談し、最適なバランスを一緒に考えていきましょう。 [6]
よくある質問
Q. 耳鳴りは治りますか?
耳鳴りは一時的に改善する場合もありますが、個人差が大きく、聴力低下が残るケースでは持続することもあります。 [12] サウンドセラピーや補聴器のマスキング機能などで「慣れ」を促す方法が役立つことがあります。 [7]
Q. どのくらいの頻度で検査が必要ですか?
標準的には「治療前にベースライン測定」を行い、症状が出たタイミングで速やかに聴力検査を追加する流れが一般的です。 [7] 累積投与量が増える段階や新しい症状が出た時は、早めの受診が安心です。 [6]
Q. 片耳だけ悪い場合の支援はありますか?
CROS補聴システムなど、片側難聴に特化した選択肢があります。 [10] 環境調整(話者側に良聴耳を向ける、静かな場所を選ぶ)も効果的です。
関連する質問
出典
- 1.^abcdefghijCISplatin Injection(For Intravenous Use)(dailymed.nlm.nih.gov)
- 2.^abThese highlights do not include all the information needed to use OXALIPLATIN INJECTION safely and effectively. See full prescribing information for OXALIPLATIN INJECTION.OXALIPLATIN Injection, for intravenous useInitial U.S. Approval: 2002(dailymed.nlm.nih.gov)
- 3.^abOXALIPLATIN injection, powder, lyophilized, for solution(dailymed.nlm.nih.gov)
- 4.^abcdCISPLATIN injection, powder, lyophilized, for solution(dailymed.nlm.nih.gov)
- 5.^abcdCISplatin Injection(dailymed.nlm.nih.gov)
- 6.^abcdefghij237-NSCLC adjuvant ciSplatin and vinORELBine(eviq.org.au)
- 7.^abcdef1810-Ototoxicity | eviQ(eviq.org.au)
- 8.^abcdSpeech & Hearing Rehabilitation(mskcc.org)
- 9.^↑4316-NSCLC neoadjuvant ciSplatin gemcitabine and nivolumab(eviq.org.au)
- 10.^abLiving Beyond Acoustic Neuroma (Vestibular Schwannoma)(mskcc.org)
- 11.^↑DailyMed - CISPLATIN injection(dailymed.nlm.nih.gov)
- 12.^↑3802-NSCLC adjuvant ciSplatin and pemetrexed(eviq.org.au)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。