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2026年2月20日5分で読める

PubMedの資料に基づく | 悪性黒色腫(メラノーマ)の治療に伴う副作用としての筋力低下はどの程度みられ、主な原因薬剤や発症の仕組み、受診の目安と一般的な対処法は何ですか?

要点:

メラノーマ治療の筋力低下は薬剤により頻度と機序が異なり、免疫チェックポイント阻害薬では免疫関連有害事象(筋炎・重症筋無力症・内分泌障害など)が原因となりやすく、BRAF/MEK阻害薬では筋痛主体でまれに筋炎が起こります。急な筋力低下や嚥下・呼吸障害、複視、高熱は緊急受診の目安で、CKや甲状腺機能、朝コルチゾールなどの検査で評価します。対応は投与一時中断、ステロイドやホルモン補充、用量調整・支持療法が中心です。

メラノーマ治療では、筋力低下は「起こりうる重要な副作用」のひとつです。頻度は治療薬の種類によって異なり、免疫チェックポイント阻害薬では免疫関連有害事象の一環として筋肉や神経・内分泌障害に伴う筋力低下がみられ、BRAF/MEK阻害薬では筋肉痛(ミオアルギア)主体が比較的多く、まれに筋炎が報告されます。特に免疫療法では、筋力低下が「単なる疲労」ではなく、甲状腺機能異常、下垂体炎、副腎不全、自己免疫性筋炎・重症筋無力症などのサインであることがあり、早期の評価と治療が重要になります。 [1] [2] [3] [4] [5] [6]


主な原因薬剤

  • 免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-1/PD-L1、抗CTLA-4)

    • ニボルマブ、ペムブロリズマブ、イピリムマブなどで、筋痛(ミオアルギア)や関節痛に加え、炎症性関節炎、筋炎(ミオシチス)、多発性筋痛症様症候群、血管炎、稀に重症筋無力症などが起こりえます。これらは「免疫関連有害事象(irAE)」として分類されます。 [1] [2] [7]
    • 甲状腺機能異常(甲状腺機能低下・亢進)や下垂体炎・副腎不全などの内分泌障害が背景にあると、倦怠感や筋力低下、集中力低下、浮腫、動悸などを伴うことがあります。 [8] [2] [3]
    • 患者向け資料でも、「筋力低下」「筋・関節のこわばりや痛み」が注意症状として明記されています。 [5] [6] [4]
  • BRAF/MEK阻害薬(分子標的薬)

    • ベムラフェニブ、ダブラフェニブ(BRAF阻害)、トラメチニブ、コビメチニブ、ビニメチニブ(MEK阻害)では、筋肉痛や関節痛、倦怠感が比較的よくみられます。 [9] [10] [11] [12]
    • まれに筋炎や横紋筋融解症の報告もありますが、日常診療では筋痛・こわばり主体で経過することが多いです。 [13] [10] [11]

発症の仕組み(病態)

  • 免疫療法(チェックポイント阻害薬)

    • 抑制されていた免疫が活性化され、自己免疫的に筋肉・神経・神経筋接合部・内分泌臓器(甲状腺、下垂体、副腎など)を標的に炎症が起こります。筋炎(筋破壊)、重症筋無力症(神経筋伝達障害)、甲状腺機能低下(代謝低下による筋無力・こわばり)など、機序は多様です。 [1] [2] [3] [8]
    • 免疫関連筋疾患は、ときに心筋炎や多発ニューロパチーを合併しうるため、初期評価が重要です。 [14] [7]
  • BRAF/MEK阻害薬

    • MAPK経路の阻害による筋・関節の疼痛やこわばりが多く、機序は薬理作用と関連した炎症性変化や代謝変化が示唆されています。 [13] [10] [11]

よくある症状と見分け方

  • 免疫療法で注意すべき症状

    • 新規または増悪する筋力低下、筋痛、関節痛、こわばり。 [1] [2]
    • 嚥下困難、複視・眼瞼下垂、呼吸苦、強い倦怠感、動悸・不整脈、発熱などを伴う場合は緊急評価が必要です(筋炎/重症筋無力症/心筋炎や内分泌不全の可能性)。 [14] [7] [6]
    • 寒がり、体重増加、便秘、皮膚乾燥、むくみ、集中力低下などは甲状腺機能低下のサインです。 [8]
  • BRAF/MEK阻害薬で多い症状

    • 筋肉痛、関節痛、こわばり、倦怠感、発熱エピソード(特にダブラフェニブ+トラメチニブ)。 [10] [11] [15] [12]
    • 尿の色が極端に濃い、激しい筋痛・脱力が急に増す場合は、稀な筋障害を念頭に相談が必要です。 [13]

受診の目安(緊急度)

  • すぐに受診/救急受診すべきサイン

    • 急な筋力低下、歩行困難、嚥下障害、複視・眼瞼下垂、呼吸困難、胸痛・動悸、失神に近い強い倦怠。 [14] [7] [6]
    • 39℃前後の高熱、持続する高熱や悪寒、濃い尿、尿量低下、濁った茶色尿(筋融解や重症感染の可能性)。 [15] [13]
    • 強い頭痛、視力変化、著しい眠気や意識低下、重い嘔吐や右上腹部痛(内分泌・肝障害など)も要注意です。 [3] [4]
  • 速やかに主治医へ連絡すべきサイン

    • 数日続く新しい筋痛・関節痛、こわばり、軽度〜中等度の筋力低下やしびれ。 [1] [2] [4] [5]
    • 持続する著しい疲労感や、寒がり・むくみなどの甲状腺機能低下を疑う症状。 [8]

一般的な検査・評価

  • 血液検査:CK(クレアチンキナーゼ)、ミオグロビン、トロポニン(心筋炎除外)、甲状腺機能(TSH/FT4)、朝のコルチゾール/ACTH、電解質、肝腎機能など。 [3] [16] [17]
  • 専門検査:神経伝導検査・筋電図、自己抗体(筋炎関連、AChR抗体など)、心電図・心エコー、MRI(筋炎所見)等を症状に応じて実施します。 [14] [7]
  • 画像:胸部CTや心臓MRIが心筋炎疑いで考慮されます。 [14]

対処法の基本方針

  • 免疫療法によるirAEが疑われる場合

    • 症状の重症度に応じて投与を一時中断し、評価のうえステロイド(プレドニゾロン/メチルプレドニゾロン)を開始することがあります。改善後は段階的に漸減します。 [16] [17]
    • 甲状腺機能低下などの内分泌障害は、ホルモン補充(例:レボチロキシン)や副腎不全の補充療法を行い、必要に応じて免疫療法の再開可否を判断します。 [8] [3]
    • 筋炎・重症筋無力症・心筋炎など重症例では、入院下での高用量ステロイド、免疫抑制療法、呼吸・循環管理が検討されます。 [14] [7]
  • BRAF/MEK阻害薬での筋症状

    • 多くは症状緩和(鎮痛薬、ストレッチ、温罨法)と用量調整・一時休薬で対応可能です。 [10] [11] [12]
    • 高熱を伴う「発熱症候群」では、早めの薬剤一時中断と補液、解熱、再導入時の工夫が勧められます。 [15] [12]
    • CK上昇や濃い尿など筋損傷が疑われる場合は直ちに連絡し、検査・補液・必要時入院で対応します。 [13]
  • 日常のセルフケア

    • 無理のない範囲の関節可動域運動・軽いストレッチ、十分な水分摂取・栄養、過度な筋トレは一時的に控えることが役立つことがあります。 [4]
    • 医師の指示で処方された鎮痛薬やステロイドは自己判断で中断/増量せず、指示通りに使用します。 [5] [6]

早期発見のためのチェックリスト

  • 先週までできた日常動作(階段昇降、椅子立ち上がり、ボトル開け)が明らかにやりにくい/力が入らない。 [5] [6]
  • 朝のこわばりが強く、動き始めるまで時間がかかる。 [10] [11]
  • 目が二重に見える、まぶたが下がる、噛む・飲み込むのがつらい。 [7] [6]
  • 強い倦怠感、寒がり、むくみ、便秘などが続く。 [8]
  • 胸痛、動悸、呼吸苦、発熱が加わる。 [14] [15]

まとめ(ポイント)

  • メラノーマ治療に伴う筋力低下は、免疫療法では免疫関連有害事象(筋炎・神経筋障害・内分泌障害)として、BRAF/MEK阻害薬では筋痛主体で時に筋障害として生じます。 [1] [2] [3] [10] [11]
  • 急な筋力低下、嚥下・呼吸障害、複視や胸部症状、高熱は緊急受診の目安です。 [14] [15] [7] [6]
  • 評価はCKや甲状腺機能、朝コルチゾール/ACTH、心筋指標、必要に応じて神経・心臓評価を含めて行います。 [3] [16] [17]
  • 対応は薬剤一時中断、ステロイドやホルモン補充、用量調整、支持療法が中心で、重症例は入院治療が検討されます。 [16] [17] [15]

主な症状と対応の早見表

場面想定機序伴う症状の例推奨アクション
免疫療法中の新規筋力低下免疫関連筋炎/神経筋障害近位筋の脱力、嚥下困難、複視、呼吸苦直ちに主治医へ連絡、投与一時中断、採血(CK/甲状腺/コルチゾール/心筋指標)、必要時ステロイド開始
強い倦怠+寒がり・むくみ甲状腺機能低下症こわばり、乾燥肌、便秘甲状腺機能チェック、必要時ホルモン補充
発熱+筋痛(BRAF/MEK)発熱症候群/筋症状悪寒、脱力、ふらつき薬剤一時中断、補液・解熱、再導入計画
筋痛主体で軽度薬理・炎症性変化朝のこわばり、関節痛鎮痛、ストレッチ、用量調整検討
茶色尿・激烈な筋痛筋損傷/横紋筋融解疑い濃い尿、筋力低下速やかに受診、CK/腎機能評価、補液

必要に応じて、症状日誌(発症日、時間帯、増悪因子、伴う症状)をメモしておくと、原因特定に役立ちます。 [4]

혹시最近の治療内容(使っている薬の名前)や、筋力低下が出るタイミング・一緒に出る症状(発熱、目の症状、息切れ、むくみなど)を教えていただけますか?

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出典

  1. 1.^abcdefg3469-Melanoma adjuvant nivolumab (weight based dosing) SUPERSEDED(eviq.org.au)
  2. 2.^abcdefgh3469-Melanoma adjuvant nivolumab (weight based dosing) SUPERSEDED(eviq.org.au)
  3. 3.^abcdefghi3469-Melanoma adjuvant nivolumab (weight based dosing) SUPERSEDED(eviq.org.au)
  4. 4.^abcdefManaging Your Immunotherapy Side Effects(mskcc.org)
  5. 5.^abcdePatient information - Melanoma metastatic - Ipilimumab and nivolumab(eviq.org.au)
  6. 6.^abcdefghiPatient information - Melanoma adjuvant - Nivolumab - weight based dosing(eviq.org.au)
  7. 7.^abcdefghi4616-NSCLC neoadjuvant cARBOplatin pemetrexed and nivolumab(eviq.org.au)
  8. 8.^abcdefgPatient information - Melanoma adjuvant - Nivolumab - weight based dosing(eviq.org.au)
  9. 9.^Vemurafenib(mskcc.org)
  10. 10.^abcdefgh2037-Melanoma metastatic cOBIMEtinib and vemurafenib(eviq.org.au)
  11. 11.^abcdefgh3600-Melanoma metastatic biNIMEtinib and encorafenib(eviq.org.au)
  12. 12.^abcde3600-Melanoma metastatic biNIMEtinib and encorafenib(eviq.org.au)
  13. 13.^abcdefManagement of BRAF and MEK inhibitor toxicities in patients with metastatic melanoma.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  14. 14.^abcdefghi3469-Melanoma adjuvant nivolumab (weight based dosing) SUPERSEDED(eviq.org.au)
  15. 15.^abcdefg3678-Melanoma adjuvant daBRAFEnib and tRAMEtinib(eviq.org.au)
  16. 16.^abcd1993-Management of immune-related adverse events (irAEs)(eviq.org.au)
  17. 17.^abcd1993-Management of immune-related adverse events (irAEs)(eviq.org.au)

ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。