肺がん治療で痛みはよくある?管理方法を詳しく解説
肺がん治療で痛みはどれくらい起こる?管理はどうする?
肺がんでは、がんそのものや治療(手術・放射線・化学療法)に伴う痛みが生じることが珍しくありません。特に胸部の痛みは比較的頻度が高く、がんが胸膜や胸壁、肋骨へ広がると鋭い痛みや鈍い持続痛として現れることがあります。胸痛はおよそ3分の1の人にみられるとされ、胸膜や骨への浸潤・転移が原因になることがあります。 [1] 胸膜転移に伴う胸水(悪性胸膜水)や肋骨転移も持続痛の原因になりえます。 [1]
一方、治療に伴う痛みも起こりえます。手術後の痛みは入院中だけでなく退院後もしばらく続くことがあり、専門チームが術後痛の緩和を支援します。 [2] 化学療法では末梢神経障害(しびれ・チクチク・痛み)が遅れて出現することがあり、数カ月後に痛みとして現れる場合があります。 [3] 放射線治療では皮膚炎や食道炎、放射線性肺炎に伴う痛みが出ることもあります。 [4]
痛みの主な原因
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がんの進展による痛み
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治療による痛み
痛みの評価と基本方針
痛みは「強さ(数値化)」「性質(鋭い・鈍い・灼熱感)」「部位」「経過(持続・断続)」を定期的に評価します。痛みは早めに申し出て、原因とタイプに応じて薬物・非薬物療法を組み合わせることが大切です。 [5] 多くの人で適切な評価と段階的な治療により、痛みは十分に軽減できます。 [5]
薬物療法(WHO方式の段階的アプローチ)
WHOの「鎮痛薬の階段」を用いて、痛みの強さに応じて薬を段階的に使います。 [6] [7]
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第1段階(軽度の痛み:NRS 1〜3)
- アセトアミノフェン、NSAIDs(イブプロフェン、ナプロキセンなど)。 [8]
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第2段階(中等度の痛み:NRS 4〜6)
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第3段階(高度の痛み:NRS 7〜10)
中等度〜高度の痛みでは、オピオイドと非オピオイドの併用で効果を高めることがあります。 [9] 薬は定期的な内服とレスキュー用(頓用)の両方を用意し、効果・副作用をみながら用量調整します。 [5]
神経障害性の痛みへの対策
化学療法性末梢神経障害などの神経痛には、抗うつ薬(例:SNRI)、抗けいれん薬(例:ガバペンチン/プレガバリン)などの補助薬(コアナリジェント)を組み合わせることがあります。神経障害性の特徴(しびれ、灼熱感、電撃様痛)がある場合は薬の選択が変わります。 [PM18] 必要に応じて痛み専門医による神経ブロックや神経調節(ニューロモジュレーション)などの介入も検討できます。 [PM18]
非薬物療法とサポート
- 理学療法・運動療法:可動域維持、筋力低下の予防、疲労軽減に役立ち、痛みの感じ方を和らげることがあります。 [PM11]
- 心理的支援:不安・抑うつへの介入で痛みのコントロールが改善することがあります。 [PM18]
- 補完療法:一部の補完療法は症状緩和に役立つ場合がありますが、効果と安全性を事前に確認し、医療者と相談して取り入れます。 [PM21]
- 生活の工夫:温冷罨法、姿勢調整、睡眠の質改善、過度な負荷の回避など。
緩和ケア・専門チームの活用
痛み管理はがん治療の一部であり、早期から緩和ケアチームが関わることで生活の質が向上します。 [PM20] 手術後の痛みや治療関連症状には、症状緩和の専門チームが院内外で継続的にサポートします。 [2] 痛み専門医は、薬の調整に加えて硬膜外鎮痛、区域麻酔、髄腔内ポンプ、神経破壊・抑制法などの高度な介入を行うことがあります。 [PM18]
よくある痛みと原因の早見表
| 痛みのタイプ | 主な原因 | 特徴 | 主な対策 |
|---|---|---|---|
| 胸膜・胸壁痛 | 胸膜浸潤、胸壁浸潤 | 鋭い痛み→進行で鈍い持続痛 | 第1〜3段階鎮痛、画像評価、必要なら放射線緩和照射 |
| 肋骨痛 | 骨転移 | 局所圧痛、夜間増悪 | 鎮痛+骨修飾薬の検討、緩和照射 |
| 術後痛 | 開胸・胸腔鏡術後 | 動作で増悪、慢性化のことも | 多職種の術後痛管理、段階的鎮痛、神経ブロック |
| 神経障害性痛 | 化学療法(CIPN) | しびれ、灼熱感、チクチク | 補助薬併用、用量調整、リハビリ |
| 放射線関連痛 | 皮膚炎・食道炎等 | 嚥下痛、皮膚痛、咳に伴う胸痛 | 対症療法、鎮痛、炎症ケア |
受診の目安と安全のポイント
- 新しい痛みが出た、性質が変わった、急に強くなった場合は早めに医療者へ相談します。痛みはがんの進展や治療副作用のサインのことがあります。 [5]
- 痛み止めを自己調整しすぎないことが大切です。適切な用量調整は医療者と計画的に行うことで効果と安全性を両立できます。 [5]
- 便秘や眠気、吐き気などオピオイドの副作用は併用薬で軽減できることが多いので、遠慮なく伝えましょう。 [8] [10]
まとめ
肺がんでは、がんそのものや治療に伴う痛みが比較的よく見られます。胸膜・胸壁浸潤や骨転移による胸痛は一定の頻度で生じ、治療(手術・化学療法・放射線)に伴う痛みも起こりえます。 [1] [4] しかし、WHO方式の段階的鎮痛、神経障害性痛への補助薬、理学療法、緩和ケア・痛み専門チームの介入を組み合わせることで、多くの場合、痛みは十分に管理できます。 [6] [7] [PM18] [2] 痛みは我慢せず、早めに共有して一緒に調整していくことが、生活の質を守る近道です。 [5]
関連する質問
出典
- 1.^abcdefg국가암정보센터(cancer.go.kr)
- 2.^abcdeCómo superar el cáncer pulmonar: rehabilitación, seguimiento médico y apoyo(mskcc.org)
- 3.^abcCómo superar el cáncer pulmonar: rehabilitación, seguimiento médico y apoyo(mskcc.org)
- 4.^abcdef국가암정보센터(cancer.go.kr)
- 5.^abcdefPain Among Cancer Survivors(cdc.gov)
- 6.^abcd국가암정보센터(cancer.go.kr)
- 7.^abcd국가암정보센터(cancer.go.kr)
- 8.^abCancer treatment - dealing with pain: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
- 9.^↑Treating Cancer Pain(mskcc.org)
- 10.^↑Cancer treatment - dealing with pain: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。