
PubMedの資料に基づく | 子宮体がんの治療によって記憶障害(物忘れや集中力低下)が副作用として起こることはありますか?起こる場合、どの治療で起こりやすいのか、頻度・持続期間・対処法を教えてください。
子宮体がん治療では、物忘れや集中力低下などの認知機能の変化(ケモブレイン)が副作用として起こり得ます。特に化学療法で自覚されやすく、放射線は比較的軽く、ホルモン療法は影響が示唆されるものの因果は未確立です。多くは治療後に改善しますが一部は数カ月持続することがあり、メモ活用、睡眠・運動、認知トレーニング、併存症の治療などで対処し、気になる場合は医療者に相談が勧められます。
子宮体がん治療と記憶障害(いわゆる「ケモブレイン」)
子宮体がんの治療では、物忘れや集中力低下といった認知機能の変化が副作用として起こることがあります。これは一般に「ケモブレイン(化学療法関連認知障害)」と呼ばれ、特に抗がん剤治療中に自覚されやすい症状です。多くの場合、治療終了後に徐々に改善していく傾向がありますが、個人差があり、一定期間続くこともあります。 [1] [2]
起こりやすい治療
-
抗がん剤(化学療法)
子宮体がんでよく使われるカルボプラチン+パクリタキセル(時に免疫療法薬デュルバルマブ併用)では、集中力低下や記憶の不調が起こることがあり、治療完了後に改善していくことが一般的です。 [1] [2]
他のレジメンでも、「もの忘れ」「ぼんやりする」といった自覚症状が生じることが報告されています。 [3] -
放射線治療
全身的な抗がん剤に比べると、認知症状の自覚は相対的に軽い傾向が示されています。ただし、症状が全くないわけではなく、併用療法では増悪することがあります。 [4] -
ホルモン療法
近年、ホルモン治療の期間に比例して認知機能への影響(例:アルツハイマー型認知症の増加)が示唆されています。ただし、因果関係はまだ確立していないという位置づけで、研究の結論には幅があります。 [5]
頻度(どれくらい起こる?)
大規模調査では、がん治療中の人の約2/3が治療中に「記憶」や「集中力」の問題を自覚し、重症と感じる人は約2割前後でした。治療開始前でも半数近くが何らかの不調を自覚しており、抗がん剤を含む治療では治療中に有意に悪化、治療後6か月でも治療前より高いレベルで症状が残ることが示されています。 [4]
同調査では、放射線単独群は抗がん剤群より症状の重さが弱い傾向でした。 [4]
さらに複数研究の統合解析では、「記憶」と「実行機能(段取り・マルチタスク)」の領域で治療関連の低下が一貫して観察されています。 [6]
持続期間(いつ良くなる?)
- 抗がん剤による認知変化は、治療中に目立ち、終了後に徐々に改善していくことが多いです。 [1] [2]
- ただし、治療後6か月の時点でも治療前より症状が続く人が一定数います。個人差があり、治療期間が長いほど症状が強く出る傾向が指摘されています。 [4] [6]
症状の具体例
- 集中しづらい、注意が散る
- 新しい情報の覚えが悪い、思い出すのに時間がかかる
- 言葉が出てこない、段取りが苦手になる
- 思考スピードが落ちる、マルチタスクが難しくなる
これらは他の人からは気づかれにくい微妙な変化として現れることもあります。 [1] [2] [6]
リスクを高める要因(可能性)
- 抗がん剤の投与期間が長いこと。 [6]
- 抗がん剤の併用(例:化学療法+放射線)による負荷増大。 [4]
- 年齢や他の体調、睡眠不足、ストレス、貧血、甲状腺機能低下、うつ・不安なども関与しうるため、症状には多因子的な背景があります。 [7]
対処法(セルフケアと医療的サポート)
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医療者へ相談する
認知症状が出たら担当医・看護師に伝えることで、薬剤調整、副作用管理、合併症の確認ができます。 [1] [2] -
生活リハビリの工夫
-
認知トレーニング
ウェブベースの評価・トレーニングなど、客観的な認知測定と訓練法の活用が推奨されます。専門外来(緩和ケア・サポーティブケア、リハビリ)への紹介も役立ちます。 [7] -
運動と心身ケア
定期的な有酸素運動や筋力トレーニングは集中力や気分の改善に寄与しやすく、呼吸法・マインドフルネス、カウンセリングも有用です。 [7] -
薬物療法の検討
重い倦怠、睡眠障害、うつ・不安、疼痛などの随伴症状の治療により認知不調が軽くなる場合があります。個別に医師と相談してください。 [7]
まとめ
- 記憶障害や集中力低下は、子宮体がんの化学療法で比較的よくみられる副作用で、放射線単独では相対的に軽い傾向があります。 [4] [1] [2]
- 多くは治療終了後に改善しますが、一部では数か月以上残ることもあります。治療期間が長いほど症状が強くなる可能性があります。 [1] [2] [6] [4]
- 一人ひとりの状況で差があるため、症状が気になるときは早めに担当医へ相談し、生活の工夫やリハビリを取り入れることが有用です。 [1] [2] [7]
比較表:治療別の認知症状の傾向
| 項目 | 抗がん剤(カルボプラチン+パクリタキセル等) | 放射線治療(単独) | ホルモン療法 |
|---|---|---|---|
| 発生のしやすさ | 中~高(自覚症状が多い) [1] [2] [4] | 低~中(抗がん剤より軽い傾向) [4] | 可能性あり(研究で示唆、因果は未確立) [5] |
| 主な症状 | 集中低下、記憶の不調、段取り低下 [1] [2] [6] | 類似するが程度は軽めの傾向 [4] | 長期的な認知影響の示唆 [5] |
| 期間の傾向 | 治療中に悪化、終了後に改善傾向、6か月でも残存例あり [1] [2] [4] | 抗がん剤群より軽く、持続も短めの傾向 [4] | 長期治療で影響の報告(結論は未確定) [5] |
| 対処法 | 医療者へ相談、生活リハビリ、運動・睡眠の最適化、随伴症状の治療 [1] [2] [7] | 同上(併用療法では強化) [4] | 経過観察と生活・認知サポート、必要に応じて専門紹介 [5] |
気になる記憶や集中の不調は今どの治療のどのタイミングで起きていますか?
関連する質問
出典
- 1.^abcdefghijklmPatient information - Endometrial cancer recurrent or metastatic - Carboplatin and paclitaxel(eviq.org.au)
- 2.^abcdefghijklmPatient information - Endometrial cancer recurrent or metastatic - Carboplatin, paclitaxel and durvalumab(eviq.org.au)
- 3.^↑672-Endometrial recurrent or metastatic AP (DOXOrubicin and ciSplatin) SUPERSEDED(eviq.org.au)
- 4.^abcdefghijklmSelf-reported cognitive impairment in patients with cancer.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 5.^abcde국가암정보센터(cancer.go.kr)
- 6.^abcdefghA meta-analysis of the effects of chemotherapy on cognition in patients with cancer.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 7.^abcdefgCognitive impairment in gynecologic cancers: a systematic review of current approaches to diagnosis and treatment.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


