
PubMedの資料に基づく | 子宮内膜がんの治療(手術・放射線・化学療法・ホルモン療法)の副作用として性欲低下はどの程度起こり、原因と改善のための具体的な対処法はありますか?
子宮内膜がん治療では、手術・放射線・化学療法・ホルモン療法の影響で性欲低下が比較的よく起こり、早期婦人科がんでは約3割に性的機能障害が認められます。原因はエストロゲン低下や膣乾燥・疼痛、疲労、心理的要因など多因子で、潤滑/保湿、膣拡張器と骨盤底リハ、更年期症状の管理、運動や睡眠改善、カウンセリング等の組み合わせで改善が期待できます。
子宮内膜がん治療では、性欲低下(リビドー低下)は比較的よくみられます。特に卵巣機能が急に低下・消失する治療(卵巣摘出や卵巣機能を抑える治療、骨盤放射線、化学療法)では、ホルモン変化や身体症状、心理的影響が重なり、一定期間もしくは長期にわたり性欲が落ちることがあります。女性のがん治療後では、性欲低下・性交痛・膣乾燥などの性機能の問題が「よくある副作用」として整理されており、原因に応じた対処で改善を目指せます。 [1] [2]
起こりやすさ(頻度)の目安
- 女性のがん治療後、性交頻度の低下や性欲の減退は共通してみられ、ある前向き研究では婦人科がん早期の女性の約30%ががん治療後に明確な性的機能障害に該当しました。これは興奮低下(性的昂ぶりの低下)と関連することが多く、性交時痛や治療副作用、早発閉経の影響が組み合わさるためと考えられています。 [3]
- 子宮内膜がん手術後を2年間追跡した比較研究では、健康女性と比べ、治療前後を通じて性欲低下・興奮障害・性交痛・オーガズム低下などの性機能問題が多いことが示されました(良性疾患の子宮摘出群と比べても一部の症状が多い)。ただし個人差は大きく、必ずしも全員に長期の問題が残るわけではありません。 [4]
主な原因と治療別の特徴
- 手術(子宮全摘+卵巣摘出を含む)
卵巣を同時に摘出した場合は、その時点でエストロゲンが急低下し、即時の更年期症状(ほてり、膣乾燥、睡眠障害など)とともに性欲の低下が起きやすくなります。こうした閉経関連症状やリビドー低下は管理可能で、薬物や統合的アプローチでの支援が行われます。 [5] - 放射線治療(骨盤外照射や腔内照射)
骨盤放射線は膣粘膜の萎縮・乾燥・狭小化を招きやすく、性交痛や不快感から二次的に性欲が落ちることがあります。慢性期の合併症として「膣萎縮による性機能障害」が指摘されます。 [6] - 化学療法
一部の薬剤は卵巣機能に影響し、ホルモン低下や疲労、吐き気、末梢神経障害などの身体症状を通じて性欲を下げやすくなります。化学療法一般の影響として、女性では性欲低下・性交痛・オーガズム困難・膣乾燥などが報告されています。 [1] [2] - ホルモン療法(黄体ホルモン製剤、GnRHアゴニストなど)
更年期様症状(ほてり、膣乾燥)が起きやすく、これが性欲低下の一因になります。 [7] [8]
原因の整理(多因子性)
- 内分泌変化(エストロゲン低下に伴う更年期症状、膣乾燥・萎縮、睡眠障害・気分変調) [7] [2]
- 身体症状(疼痛、疲労、吐き気、体重変動、リンパ浮腫など) [1]
- 局所組織への影響(放射線による膣粘膜の萎縮・狭小化→性交痛) [6]
- 心理・関係性要因(がん罹患に伴う不安・抑うつ、ボディイメージの変化、パートナーシップの揺らぎ) [9]
改善のための具体的対処法
以下は原因別に併用しやすい実践策です。単独ではなく組み合わせるほど効果が出やすい傾向があります。
1) 膣の乾燥・疼痛への対策
- 膣保湿剤・潤滑剤の定期使用:乾燥と摩擦痛を軽減し、性行為の不快感を減らします。がん治療後の女性で膣乾燥が一般的であり、潤滑・保湿は基本ケアです。 [1] [2]
- 放射線後の膣管理:膣拡張器(ディレーター)や骨盤底リハビリ、段階的な挿入訓練は、萎縮・狭小化の軽減や疼痛緩和に役立ちます。 [10] [11]
- 局所エストロゲン(膣剤など)の検討:適応や安全性について主治医と相談し、必要時に短期的に用いられることがあります。 [12]
2) ホルモン変化・更年期症状への対応
- 更年期様症状の薬物的コントロール:ほてりや睡眠障害の緩和は二次的に性欲の回復に寄与します(例:必要に応じた非ホルモン薬、生活習慣介入)。ホルモン療法の副作用として更年期症状が起こるため、副作用マネジメントが重要です。 [7] [8]
- 卵巣摘出後の即時閉経に伴うリビドー低下は、症状コントロールや統合的療法の併用で軽減が期待できます。 [5]
3) 身体コンディションの改善
- 疲労対策:睡眠衛生、軽い運動、栄養管理は、全体的な活力を底上げし、性への関心回復を助けます。化学療法を含めた治療後の疲労・体調変化は性欲低下の一因となるため、日常的なエネルギーマネジメントが有用です。 [1]
- 疼痛管理:骨盤痛や性交痛がある場合は鎮痛戦略と理学療法の併用を検討します。放射線関連の慢性変化による痛みには段階的なアプローチが推奨されます。 [6] [10]
4) 心理・関係性へのアプローチ
- カウンセリング・性機能専門外来:性への関心の低下や不安、痛みへの恐れ、関係性の課題に対し、個別またはカップルでの面談が有効です。医療チームはこうした悩みに対応できる専門家紹介を行います。 [13] [14] [15]
- 情報提供とコミュニケーション:多くの人が治療後に性機能・膣の健康の課題を抱えており、教育と対処法の共有で不安が軽減し、実行可能なステップにつながります。 [16]
5) 実行ステップの例
- 症状の棚卸し(乾燥・痛み・疲労・気分・関係性)→優先度づけ
- ベースケア:膣保湿剤(週数回)、性行為時は潤滑剤を必ず使用 [1] [2]
- 放射線歴がある場合:医療者指導のもと膣拡張器と骨盤底エクササイズを開始 [10] [11]
- 更年期様症状が強い場合:非ホルモン療法や必要に応じ局所療法の可否を主治医と相談 [7] [8]
- 心理的負担が大きい場合:性機能・サバイバーシップ支援プログラムやカウンセリングを紹介してもらう [13] [15]
期待できる回復と見通し
がん種や病期、治療法の組み合わせ、年齢、もともとの性機能や関係性によって経過はさまざまですが、性欲低下は「多因子性」である分、複数の対策を重ねることで改善が期待できます。婦人科がん領域では、早期からの予防的・体系的な支援が推奨され、膣ケア、疼痛管理、疲労対策、心理的支援の総合実施で生活の質と性機能の回復が促されます。 [3] [10] [4]
まとめ
- 性欲低下は、子宮内膜がん治療後に「比較的よく起こる副作用」で、ホルモン変化、膣の乾燥・疼痛、疲労や心理的要因が重なって生じます。 [1] [2] [5] [6]
- 手術(卵巣摘出を含む)、放射線、化学療法、ホルモン療法それぞれが異なるメカニズムで性機能に影響します。 [5] [6] [1] [2] [7] [8]
- 対処法は、膣保湿・潤滑、膣拡張器と骨盤底リハ、疼痛・更年期症状の管理、運動と睡眠改善、性機能専門外来やカウンセリングの活用など、複合的に組み合わせるのがおすすめです。 [10] [11] [1] [2] [13] [15]
治療別の要点比較(早見表)
| 治療 | 性欲低下の主因 | 併発しやすい症状 | 主な対処 |
|---|---|---|---|
| 手術(卵巣摘出含む) | 急激なエストロゲン低下による更年期様症状 | ほてり、膣乾燥、気分変調 | 更年期症状の薬物・非薬物管理、局所ケア、カウンセリング [5] |
| 放射線治療(骨盤) | 膣粘膜萎縮・狭小化→疼痛回避で二次的に性欲低下 | 膣乾燥・疼痛、慢性期の萎縮 | 膣保湿・潤滑、膣拡張器、骨盤底リハ、疼痛管理 [6] [10] [11] |
| 化学療法 | 卵巣機能低下、全身倦怠・悪心など | 疲労、オーガズム困難、乾燥 | 体力・睡眠・栄養管理、症状緩和、潤滑・保湿 [1] [2] |
| ホルモン療法 | 更年期様副作用 | 膣乾燥、ほてり、体重変化 | 副作用マネジメント、局所療法検討、生活習慣介入 [7] [8] |
必要に応じて、主治医に「性機能の悩み(性欲、乾燥、痛み、気分、睡眠)」を具体的に伝えると、婦人科・がんサバイバー支援・性機能外来・リハビリなど適切な専門チームにつながりやすくなります。 [15] [14]
関連する質問
出典
- 1.^abcdefghijCancer treatment: fertility and sexual side effects in women: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
- 2.^abcdefghiCancer treatment: fertility and sexual side effects in women: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
- 3.^abControlled prospective longitudinal study of women with cancer: I. Sexual functioning outcomes.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 4.^abSexual functioning in women after surgical treatment for endometrial cancer: a prospective controlled study.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 5.^abcdeSurgery for Endometrial Cancer(nyulangone.org)
- 6.^abcdef자궁내막암(Endometrial cancer) | 질환백과 | 의료정보 | 건강정보(amc.seoul.kr)
- 7.^abcdefHormone Therapy for Endometrial Cancer(nyulangone.org)
- 8.^abcdeHormone Therapy for Endometrial Cancer(nyulangone.org)
- 9.^↑Perceived causes and consequences of sexual changes after cancer for women and men: a mixed method study.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 10.^abcdef[Gynecological cancer and sexuality].(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 11.^abcdInterventions for sexuality after pelvic radiation therapy and gynecological cancer.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 12.^↑Interventions for psychosexual dysfunction in women treated for gynaecological malignancy.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 13.^abcImproving Women’s Sexual Health after Cancer Treatment(mskcc.org)
- 14.^abCommon Sexual Health Problems and Who Can Help(cdc.gov)
- 15.^abcdSupport for Endometrial Cancer(nyulangone.org)
- 16.^↑Improving Women’s Sexual Health after Cancer Treatment(mskcc.org)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


