大腸がん治療で筋力低下は起こりやすい?対処法まとめ
大腸がん治療で筋力低下は起こりやすい?原因と対処法
結論として、筋力低下は大腸がん治療中から治療後に比較的よく見られる症状です。 ただし「どの治療を受けるか」「体重や活動量、栄養状態」などによって程度は大きく変わります。治療関連の疲労や末梢神経障害(しびれ)による運動量の低下、下痢や食欲低下による栄養不足、手術後の安静などが重なると、筋肉量(サルコペニア)と筋力が落ちやすくなります。下痢は大腸がん治療で頻度が高く、治療レジメンによっては半数以上に起こり、重症例もあります。これが栄養不良や脱水を招き、二次的に筋力低下へつながることがあります。 [1] 一方で、週3回・30分の中強度の有酸素運動や抵抗運動は、疲労や不安、生活の質、日常動作の改善に役立ち、過度な負荷でなくても効果が期待できます。 [2]
よくある原因
-
治療関連疲労(がん関連疲労)
免疫療法や化学療法では、甲状腺機能の変化や全身炎症などにより強い疲労感・だるさが続くことがあります。適切な休息とスケジュール調整が勧められます。 [3]
疲労は「弱さ・力が出ない感覚」と重なり、活動量を下げて筋力低下に波及しやすいです。 [3] -
下痢・栄養不良
フルオロウラシル系やイリノテカンを含むレジメンでは下痢の発生が高く、重症例も一定割合で見られます。水分・電解質の喪失と摂食低下が筋力低下の一因になります。 [1] -
末梢神経障害(しびれ・巧緻性低下)
オキサリプラチンでは急性期に冷感で悪化する異常感覚や一過性の筋力低下感がみられ、長期では感覚性軸索障害が生じて動作の安定性を損ないます。 [PM24]
しびれは痛みだけでなく、バランス不良や歩行の不安定化を介して「使えない筋肉」を生み、実質的な筋力低下につながりやすいです。 [PM25] -
まれな筋障害
オキサリプラチンで極めて稀ですが横紋筋融解症(強い筋痛・著明な筋力低下・CK上昇)を来す報告があります。疑ったら早急な受診が必要です。 [PM26]
どれくらい起きる?頻度の目安
- 下痢:がん治療全体では50〜80%で報告があり、大腸がん治療で特に高頻度です。レジメンにより重症例(グレード3~5)が最大約半数近くに達する場合もあります。これが間接的に筋力低下を促します。 [1]
- 末梢神経障害:オキサリプラチンで急性期の過興奮症状(冷感誘発、顎/咽頭の締め付け、一過性の筋弱さ)や、累積投与後の慢性感覚障害が生じます。 [PM24]
- 疲労・倦怠:免疫療法や化学療法に共通し、軽度から高度まで幅が広く、甲状腺機能異常が背景にあることもあります。 [3]
※「筋力低下」の厳密な発生率は治療法・年齢・栄養状態・活動量で大きく変動します。一般的には複数の要因が重なることで起こりやすく、特に治療中は予防介入が重要です。
管理・対処の実践ステップ
1) 運動療法(安全第一で段階的に)
- 中強度の有酸素運動(週3回×30分)
例:速歩、室内バイク、軽いジョグ。疲労や生活の質、日常動作の改善に有用です。 [2] - 抵抗運動(週2〜3回)
例:椅子スクワット、かかと上げ、ゴムバンドでの上肢運動。有酸素と各15〜30分で組み合わせても効果的です。 [2] - バランス・感覚運動
末梢神経障害の予防/軽減に、センサリモーター訓練や全身振動運動が有望とされています。痛みやしびれで動きづらい方に適した選択肢です。 [PM25] - 電気刺激(NMES)という選択肢
全身運動が難しい場合、下肢筋力や運動耐容能、生活の質の改善が期待できる方法として検討されます。安全性は概ね良好ですが、導入は理学療法士の指導下で行いましょう。 [PM14] [PM16]
抗がん治療中の血液腫瘍領域でも、抵抗運動との併用で筋力改善の報告があります。 [PM15]
2) 栄養管理
- 十分なタンパク質摂取
体重1kgあたり1.0〜1.2gを目安に(腎機能や主治医の指示に合わせ調整)。魚、卵、豆製品、乳製品、肉をバランスよく。 - エネルギー確保と微量栄養素
炭水化物と脂質で総エネルギーを補い、鉄・ビタミンD・B群なども不足しないように。 - 下痢対策と水分・電解質
下痢の時は水分・経口補水液で脱水予防し、脂っこいもの・刺激物を控え、主治医の指示で整腸薬・止瀉薬を適切に使用します。下痢が続く場合は早めに相談してください。 [1]
3) リハビリ専門職の活用
- 理学療法士(PT)・作業療法士(OT)
個別の運動プログラム作成、筋力・バランス強化、エネルギー温存(ペーシング)方法の指導が受けられます。体調に合わせた目標設定で無理なく継続しやすくなります。 [4] - 疲労マネジメント
免疫療法や化学療法による疲労には、短い昼寝(15〜20分)、活動と休息のこまめな切り替え、日課の優先順位付けが役立ちます。甲状腺機能のチェックが必要になることもあります。 [3]
4) 服薬・医療的評価
- 神経障害や下痢が強い場合
レジメンの調整、支持療法(痛み・しびれ・下痢の治療)を検討します。重度の症状は用量変更やスケジュール変更のサインになり得ます。 [1] - 警戒すべきサイン
強い筋痛、急な著明な筋力低下、褐色尿、発熱を伴う場合は横紋筋融解症などの重篤な可能性があり、速やかな受診が必要です。 [PM26]
自宅でできる工夫
- こまめに動く習慣:長時間の座りっぱなしを避け、1〜2時間に一度は立ち上がってストレッチ。
- 階段の代替:最初は段差昇降や椅子スクワットで足腰を鍛え、バランスが改善したら階段練習へ。
- 寒冷刺激の回避:オキサリプラチン投与後は冷水・冷気を避けることで急性症状の悪化を防ぎます。 [PM24]
- 運動日誌:体調・運動内容・疲労度を記録し、翌日の運動量を調整して無理なく継続。
- フレキシブルな目標:体調の良い日は有酸素30分、つらい日は10分×3回など、分割しても十分効果があります。 [2]
よくある質問に短答
-
運動はいつ始めるべき?
体調が安定している日から、低〜中強度で短時間から始めます。主治医の許可のもと、PTと相談すると安全です。 [4] [2] -
しびれが強い時は?
バランス訓練や全身振動、転倒予防の環境整備(滑りにくい靴、手すり)を優先し、無理な負荷は避けます。 [PM25] -
疲労が強くて動けない
短時間の昼寝、活動の分割、日常動作の省エネ化を取り入れ、できる範囲で軽い運動から再開します。 [3]
まとめ
大腸がん治療では、疲労・下痢・しびれ・安静の長期化などが重なり、筋力低下は比較的起こりやすい症状です。 [1] [PM24] しかし、週3回・30分程度の有酸素運動や抵抗運動、適切な栄養、水分・電解質補給、PT/OTによる個別リハビリ、必要時のNMESなどを組み合わせることで、十分に予防・改善が期待できます。 [2] [4] [PM14] [PM16] [PM15] 症状が強い場合は早めに主治医へ相談し、レジメン調整や支持療法を検討しましょう。 [1]
参考になるポイント一覧
- 下痢の管理は筋力低下の予防にも直結(脱水・栄養不良を防ぐ)。 [1]
- 有酸素と抵抗運動は少ない量でも効果あり、分割でもOK。 [2]
- しびれにはバランス訓練や全身振動が有望。 [PM25]
- 全身運動が難しいときはNMESを選択肢に。 [PM14] [PM16] [PM15]
- 強い筋痛・急激な筋力低下・褐色尿はすぐ受診。 [PM26]
この頃、筋力や疲労感、しびれの程度はどのくらいで、日常生活のどんな動作が一番つらいですか? 追加で知りたいことがあれば、いつでも気軽に聞いてください。
関連する質問
出典
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。