がん治療で性欲低下はよくある?原因と対処法
要点:
がん治療による性欲低下は一般的?管理方法は?
がん治療に伴う性欲低下(リビドー低下)は、男女ともに比較的よくみられる悩みです。治療の種類(手術・放射線・化学療法・ホルモン療法)や体調、気分の変化が重なり、性的な興味・反応・快感などの複数の領域に影響が出やすいと考えられます。 [1] 性欲の低下は「生理的な反応の変化(勃起や膣の乾燥など)」「心理的な関心の低下」「オーガズムや射精の変化」「親密さ・身体イメージの変化」など、性の4領域に広く関与します。 [2]
性欲低下が起こるしくみ
-
身体の変化
- 勃起困難や維持の難しさ、膣の乾燥や薄さなどの生理的変化が起こりやすく、性的興奮の立ち上がりを妨げます。 [1]
- 化学療法やホルモン療法、骨盤領域の手術・放射線は、神経・血流・ホルモン環境に影響し、性的機能全般を低下させることがあります。 [PM14]
-
心理・感情の影響
-
オーガズム・射精の変化
- 感覚の変化やしびれ、神経障害などでオーガズム到達が難しくなることがあり、前立腺治療後は射精機能の変化が目立つことがあります。 [4]
よくある症状の例
- 性的興味が湧きにくい、性への意欲が落ちた(リビドー低下)。 [1]
- 勃起しづらい、維持しにくい。 [3]
- 膣の乾燥・痛み(性交痛)が増える、膣のきつさ・狭さを感じる。 [3]
- オーガズムの感じ方が変わる、射精の量や性質が変わる。 [4]
対処の基本方針
性欲は「からだ」「心」「関係性」の相互作用で決まります。まずは広い視点で状態を見直し、複合的に対処することが役立ちます。 [PM13] 治療内容や副作用の程度、禁忌(持病・薬の相互作用)に応じて、医療チームと相談しながら段階的に進めましょう。 [PM13]
具体的な管理法
1) 身体症状への介入
- 勃起障害の治療
- 第一選択としてPDE5阻害薬(例:シルデナフィル等)を用いることがあります。十分でなければ陰茎海綿体注射、尿道内薬剤、陰圧勃起補助器(VCD)、インプラントなども選択肢です。 [PM13]
- 男性ホルモン(テストステロン)低下への対応
- 化学療法・放射線・アンドロゲン遮断療法後に低テストステロン(男性ホルモン低下)が起こることがあり、禁忌がなければテストステロン補充療法が検討されることがあります。 [PM13]
- 膣の乾燥・痛みの緩和
- まずは保湿剤・潤滑剤などの非ホルモン療法を試し、必要に応じて低用量の局所ホルモン療法が選択されることがあります。これにより欲求や主観的な興奮が改善することがあります。 [PM13] [5]
- 骨盤底リハビリ・膣拡張療法
- 骨盤底理学療法や膣拡張器(ダイレーター)の活用で、痛みや狭さ、筋緊張を緩和し、性行為の快適さを高めます。 [PM13]
2) 心理・関係性への支援
- 心理カウンセリング・性治療(セラピー)
- 抑うつや不安、身体イメージの揺らぎ、コミュニケーション課題に対して、個人またはカップルでのセラピーが有効です。 [PM13]
- パートナーとの会話の工夫
- 症状や気持ちを共有し、プレッシャーの少ない接触(スキンシップ、非挿入的な親密さ)を増やすと、安心感が回復しやすくなります。 [3]
3) リハビリ・専門クリニックの活用
- ペニルリハビリテーション
- 骨盤のがん治療後(前立腺・膀胱・直腸など)に勃起機能の回復を促すため、薬物・デバイス・運動を組み合わせた体系的プログラムが用意されている施設があります。 [6]
- 専門プログラムの受診
- がん関連の性の悩みに特化した男女別プログラム(医師・看護師・心理士などのチーム制)で包括的に支援を受けられます。 [7]
生活の工夫でできること
- 疲労・痛みの軽減:休息と軽い運動を取り入れ、痛みコントロールを見直します。疲労や痛みはリビドーに影響します。 [3]
- 親密さの再定義:性行為(挿入)にこだわらず、触れ合い・マッサージ・抱擁などの心地よい接触を増やします。 [3]
- 潤滑剤・保湿剤の活用:膣の乾燥や摩擦痛を減らし、快適さを高めます。 [PM13]
- ストレス緩和:不安・抑うつへの介入(メンタルヘルス支援、必要に応じて薬物療法)で心の負担を軽くします。 [PM13]
治療別に起こりやすいポイント
- ホルモン療法(例:前立腺がんのアンドロゲン遮断、乳がんの内分泌療法)
- 性欲の低下、勃起困難、膣乾燥や更年期様症状が出やすく、薬物療法や局所治療、心理支援の併用が役立ちます。 [PM14] [PM16]
- 骨盤手術・放射線
- 神経・血流への影響で勃起機能や膣の柔軟性に変化が出ることがあり、リハビリや補助デバイスの活用が推奨されます。 [PM13] [6]
- 化学療法
- しびれ、疲労、気分変化などが性機能に波及します。症状ごとの緩和策を組み合わせることで、性欲の回復につながります。 [PM14]
受診の目安
- 性欲低下が数週間〜数か月以上続き、生活の質が下がっていると感じる。
- 性交痛・勃起障害・オーガズムの問題など、具体的な症状が強い。
- 新しく薬を始めた、治療が変わった直後に悪化した。
- 心の不調(不安・抑うつ)が強く、親密さを避けがちになっている。
これらに当てはまる場合、担当医や看護師に遠慮なく相談し、必要ならば性医学・泌尿器科・婦人科・腫瘍リハビリ・心理支援などの専門窓口へ紹介を受けましょう。 [3] 包括的な支援は治療の副作用だけでなく、関係性や生活上の課題にもアプローチしてくれます。 [7] 専門的な性の健康支援は、がん治療後の生活の質を改善するうえで重要な一部です。 [2]
まとめ
関連する質問
出典
- 1.^abcdeSexual health after cancer treatment(mayoclinic.org)
- 2.^abcSexual health after cancer treatment(mayoclinic.org)
- 3.^abcdefgSex and Your Cancer Treatment(mskcc.org)
- 4.^abSexual health after cancer treatment(mayoclinic.org)
- 5.^↑Cancer, and Sexual Health FAQs(mskcc.org)
- 6.^abcPenile Rehabilitation(stanfordhealthcare.org)
- 7.^abcSexual Health Programs for Cancer Patients & Survivors(mskcc.org)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。