がん治療での吐き気・嘔吐はよくある?管理法まとめ
要点:
がん治療での吐き気・嘔吐はよくある?管理法まとめ
がん治療(抗がん薬・放射線など)では、吐き気や嘔吐が比較的よくみられますが、近年は予防薬(制吐薬)の組み合わせにより多くの場合でコントロールが可能です。吐き気・嘔吐を十分に抑えることは脱水や栄養低下、治療継続の妨げを防ぐために非常に重要です。 [1] 吐き気・嘔吐の予防は「起こってから対応する」よりも、治療開始前から適切に行うことが推奨されます。 [2]
なぜ起こるのか
- 薬剤の“吐き気を起こしやすさ(催吐性)”が異なり、レジメン(組み合わせ)によってリスクが違います。 [3] 多剤併用の場合は、最も催吐性が高い薬剤に合わせて予防を組み立てます。 [1]
- 個人差(年齢、性別、過去の嘔吐歴、不安・乗り物酔い体質、アルコール摂取習慣など)も影響し、同じ治療でも症状の出方は人それぞれです。 [2]
リスク分類と基本方針
- 静注(点滴)薬の催吐リスク
高リスク(>90%)/ 中リスク(30–90%)/ 低リスク(10–30%)/ 最小リスク(<10%)の4段階で考えます。 [3] - 経口(飲み薬)抗がん薬の催吐リスク
情報のばらつきがあるため、最小・低リスクと中・高リスクの2カテゴリで整理します。 [4]
方針のポイント
予防・治療に使う主な薬
- 5-HT3受容体拮抗薬(例:パロノセトロンなど):初回からの予防で中〜高リスクでよく使われます。 [2]
- ステロイド(例:デキサメタゾン):5-HT3薬と併用し効果を高めます。 [2]
- NK1受容体拮抗薬(例:アプレピタントなど):高リスクでの追加薬として使用され、嘔吐抑制を強化します。 [2]
- オランザピン:強い吐き気に対して追加で用いることがあり、食欲や眠気など副作用を見ながら調整します。 [2]
これらはリスクに応じて併用し、予防効果を最大化します。 [2]
推奨される組み合わせの例(概念)
- 高リスク静注レジメン:5-HT3受容体拮抗薬+ステロイド+NK1受容体拮抗薬(±オランザピン)。十分な予防が鍵です。 [2]
- 中リスク:5-HT3受容体拮抗薬+ステロイド。症状が残る場合は追加薬を検討します。 [2]
- 低・最小リスク:必要時に単剤(例:5-HT3薬やドンペリドン等)で対応、あるいは非薬物的対策中心。 [2]
既に吐き気・嘔吐があるときの対処
- 水分・電解質の補給:少量頻回で摂り、嘔吐が続く場合は点滴補液も検討されます。重度の嘔吐は代謝異常や脱水に繋がるため、早めの連絡が大切です。 [1]
- 薬の見直し・追加:予防薬の用量調整、別系統の薬追加(例:NK1やオランザピンなど)を行います。予防が不十分だと持続的な悪心・嘔吐が起こりやすいため、次回治療前に計画を強化します。 [2]
- 原因評価:治療薬以外の要因(腸閉塞、感染、脳圧亢進など)がないか医療者がチェックします。リスクに応じた個別対応が重要です。 [2]
生活でできる工夫
- 食事:脂っこい・匂いが強い食べ物を避け、冷たくて消化にやさしいものを少量ずつ。吐き気が強い日は無理せずゼリーや経口補水液を。 [5]
- 環境:空気の入れ替え、強い匂いを避ける、食事前に少し休むなど。 [5]
- タイミング:治療日前後は食事量を控えめにし、こまめに水分補給。 [5]
- 記録:どのタイミングで悪化するかメモし、次回の予防計画に役立てます。 [5]
受診の目安・緊急性
- 一日に何度も嘔吐して水分が保てない、尿が極端に減る、めまい・意識もうろうは緊急受診のサインです。適切な管理をしないと身体機能の悪化や治療中断につながり得ます。 [1]
- 続く強い吐き気・食欲低下は、次回治療の前に必ず担当に相談し、予防レジメンを強化してもらいましょう。予防的制吐薬の最適化が重要です。 [2]
よくある誤解と真実
- 誤解:「吐き気は我慢するしかない」
真実:十分な予防薬の組み合わせで多くの場合コントロール可能です。早めに申し出るほど改善しやすく、次回の予防が強化されます。 [2] - 誤解:「経口薬は吐き気が軽い」
真実:経口薬でも中〜高リスクのものがあり、しっかりした予防が必要なことがあります。 [4]
代表的薬剤の催吐リスクの例
下記は一部の静注薬のカテゴリ例(最新治療は多様であり、レジメンによって変わります)。
- タキサン系(パクリタキセル、ドセタキセルなど)は一般的に低〜中リスクに位置づけられます。 [6]
- プラチナ系(シスプラチンなど)は高リスクに分類されることが多く、強力な予防が必要です。 [3]
- リポソームドキソルビシン、ペメトレキセド、トポテカンなどは低〜中リスクに分類されることがあります。 [6]
具体的なリスクは用量・併用薬・個人要因で変わるため、主治医と自分のレジメンに合わせた計画を確認してください。 [3]
まとめ
- 吐き気・嘔吐はがん治療で比較的よく起こりますが、予防重視の制吐薬の組み合わせで多くの場合コントロール可能です。 [1] [2]
- レジメンの催吐リスクに合わせて、5-HT3受容体拮抗薬+ステロイド+(必要に応じて)NK1受容体拮抗薬やオランザピンを組み合わせます。 [2]
- 水分・栄養の確保、生活の工夫、早めの相談が治療継続と体調維持の鍵です。 [5] [1]
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関連する質問
出典
- 1.^abcdefg7-Prevention of anti-cancer therapy induced nausea and vomiting (AINV)(eviq.org.au)
- 2.^abcdefghijklmnopq7-Prevention of anti-cancer therapy induced nausea and vomiting (AINV)(eviq.org.au)
- 3.^abcd7-Prevention of anti-cancer therapy induced nausea and vomiting (AINV)(eviq.org.au)
- 4.^ab7-Prevention of anti-cancer therapy induced nausea and vomiting (AINV)(eviq.org.au)
- 5.^abcde3100-Nausea and vomiting during cancer treatment(eviq.org.au)
- 6.^ab7-Prevention of anti-cancer therapy induced nausea and vomiting (AINV)(eviq.org.au)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。