
PubMedの資料に基づく | パーキンソン病で手足にピリピリするようなしびれが出ることはありますか?ある場合、どのような原因が考えられますか?
パーキンソン病でも手足のピリピリするしびれは起こりうる非運動症状です。原因には中枢性の感覚処理異常、レボドパ関連の末梢神経障害(B12/B6・葉酸不足やホモシステイン/MMA上昇)、筋固縮や姿勢による二次的要因が考えられます。評価は症状の整理と血液検査(B12・B6・葉酸、ホモシステイン/MMA)や神経伝導検査を行い、栄養補充・薬剤調整・疼痛対策・理学療法を組み合わせます。
パーキンソン病と「手足のピリピリするしびれ」の関係
手足のピリピリするようなしびれ(感覚異常・異常感覚)は、パーキンソン病でも見られることがあります。これは運動症状(振戦、固さ、動作の遅さ)に比べると目立ちにくい「非運動症状」の一部として起こり、痛み、灼熱感、チクチク感、しびれ、感覚の鈍さなどが報告されています。こうした感覚症状は、パーキンソン病の経過の中で比較的よくみられ、運動症状に先行することすらあります。 [1] パーキンソン病の非運動症状には痛みや感覚異常(しびれ・無感覚など)が含まれ、生活の質に影響することが知られています。 [2]
しびれが起こりうる主な原因
パーキンソン病に関連するしびれの原因はひとつではなく、いくつかの可能性が重なりやすいという点が大切です。以下に医学的に考えられる主要な仮説と要因をまとめます。
1. 中枢性の感覚処理の変化(病態そのもの)
- パーキンソン病では、運動を司る大脳基底核だけでなく「痛みや感覚情報の処理・調整」にも関与する回路が影響を受けるため、異常な感覚(灼熱感、チクチク、しびれなど)が生じることがあります。 [3] このような感覚症状は、他の神経学的徴候(筋力低下や明確な知覚低下)が伴わなくても自覚症状として現れ、疾患の一部として説明できるケースがあります。 [1]
2. 薬剤(レボドパ)関連の末梢神経障害
- レボドパ(カルビドパ・レボドパ)治療を続ける人では、感覚主体の慢性の末梢神経障害(ポリニューロパチー)が対照群より多いと報告されています。特に投与量や累積量が多いほど関連が示唆され、ビタミンB12やB6の不足、ホモシステインやメチルマロン酸の上昇といった「1炭素代謝」の乱れが関与する可能性が指摘されています。 [4] 同様の機序は、腸管内持続投与(レボドパ/カルビドパ腸管ゲル:LCIG)でも報告され、サブアキュート(亜急性)や慢性の感覚運動性ニューロパチーとして現れることがあります。 [5] [6] なお、医薬品情報には「しびれ(numbness)」「末梢神経障害(peripheral neuropathy)」が副作用として明記されています。 [7] [8] [9]
3. 栄養欠乏・代謝要因(B群ビタミン・葉酸など)
- レボドパの高用量使用に伴い、ホモシステイン・メチルマロン酸が高くなりやすく、ビタミンB12・B6・葉酸の不足と結びついて末梢神経障害を引き起こすことがあります。栄養補充(ビタミン補充)で症状が改善した報告もあります。 [10] LCIG使用下でもビタミン補充で改善が得られる例があり、開始前後のB12/B6の状態確認や経過観察が勧められています。 [5] [6]
4. 運動症状や姿勢・こわばりに伴う二次的な痛み・しびれ
- 筋固縮、姿勢の変化、動作の緩慢さによる身体への負担が、神経圧迫や循環低下を招いて「しびれ感」や痛みを増悪させることがあります。パーキンソン病では痛みがよくみられ、運動症状の変動(オン・オフ)と連動して強くなることがあります。 [3] 感覚異常(痛み、無感覚、疲労、嗅覚低下など)は非運動症状として併発し得ます。 [2]
しびれの特徴と臨床的ポイント
- 症状のバリエーション:ピリピリ、ビリビリ、灼熱感、チクチク、感覚の鈍さなどさまざまです。パーキンソン病の一部として「一次性の感覚症状」として出現することがあり、運動障害に先立つケースもあります。 [1]
- 明確な神経所見が乏しい場合:知覚検査で低下が目立たないにもかかわらず、強いしびれや痛みを訴えることがあります。これは中枢性感作や感覚調整の異常が背景にあるためと考えられます。 [3] [1]
- 薬剤とのタイミング:レボドパの用量増加・累積投与量の多さとしびれ(末梢ニューロパチー)の関連が示唆され、血液検査でホモシステインやメチルマロン酸の上昇、B12低値が見つかることがあります。 [4] LCIGでは急性〜亜急性のニューロパチーが報告され、ビタミン補充が奏功することがあります。 [6] [5]
受診時に確認しておきたいこと
しびれがあるときは、原因を絞るための情報整理が役立ちます。
- しびれの部位・左右差、範囲(指先だけか、ひざ下までか)、時間帯や誘因(安静時、歩行時、薬の効果が切れるときなど)
- 痛みの有無、灼熱感や冷感の訴え、夜間悪化の有無
- レボドパ(カルビドパ・レボドパ)または他のドパミン作動薬の用量・累積期間、最近の増量や投与法の変更(腸管投与への切替など) [5] [6]
- 体重減少、食事内容の偏り、消化器症状(栄養吸収不良の可能性)、ビタミン補充の有無 [10]
- 糖尿病、甲状腺、腎疾患、アルコール、抗がん剤など他のニューロパチー原因の既往
検査・評価のすすめ方
- 血液検査:ビタミンB12・B6・葉酸、ホモシステイン、メチルマロン酸(MMA)などをチェックすることで、栄養・代謝由来の末梢神経障害の手掛かりになります。これらはレボドパ曝露との関連が示唆されています。 [4] 高用量や持続投与の場合、開始前後のビタミン状態の確認と定期モニタリングが望ましいとされています。 [5]
- 神経伝導検査・筋電図:臨床的にニューロパチーが疑われる場合、感覚・運動神経の障害を客観的に評価できます。LCIG関連では感覚運動性軸索ニューロパチーが報告されています。 [6]
- 痛み・感覚の臨床評価:中枢性の痛み・感覚異常が疑われるときは、運動症状の変動(オン・オフ)との関連や、痛みの質の評価が参考になります。 [3]
対応・治療の選択肢
原因に応じて、複合的に手当てするのが一般的です。
- 栄養補充:ビタミンB12・B6・葉酸の補充は、末梢ニューロパチーの改善や予防に役立つ場合があります。特にレボドパ高用量やLCIG使用下で有効例の報告があります。 [10] LCIG関連の感覚障害では補充で改善し、中止せず継続できることもあります(ただし重症例では中止が必要な場合あり)。 [5]
- 薬物療法の見直し:しびれやニューロパチーが強い場合、レボドパの用量調整、投与法の検討、必要に応じて他剤の併用や置換を検討することがあります。医薬品情報上も「しびれ」「末梢神経障害」が副作用として記載されています。 [7] [8] [9]
- 疼痛・感覚症状の対症療法:中枢性疼痛や感覚異常には、適切な鎮痛薬や神経障害性疼痛薬を検討します。運動症状のオン・オフに伴う痛みには、時間帯や用量の調整が有効なことがあります。 [3]
- 運動療法・姿勢ケア:筋固縮や姿勢の偏りに伴う二次的なしびれ・痛みには、ストレッチ、理学療法、装具、生活動作の工夫が有効です。 [3]
よくある誤解と注意点
- 「パーキンソン病ではしびれは出ない」は正確ではありません。 非運動症状として感覚異常は比較的よく見られ、疾患の機序で説明できる一次性の感覚症状が存在します。 [1] [3]
- しびれの原因は一つに決めつけないことが大切です。 疾患そのものの感覚処理異常、薬剤関連の末梢神経障害、栄養欠乏、姿勢や筋固縮による二次的要因などが重なりうるため、総合的な評価が望まれます。 [3] [4] [5] [6]
- 栄養・代謝のチェックは見落とされがちですが重要です。 レボドパの長期・高用量使用では、ビタミンB群やホモシステイン・MMAの評価と必要時の補充が、しびれの予防・軽減につながる可能性があります。 [4] [5] [6] [10]
まとめ
- 手足のピリピリするしびれは、パーキンソン病においても起こり得る非運動症状です。 [1] [2]
- 原因として、病態そのものによる感覚処理の変化、中枢性の痛み、レボドパ関連の末梢神経障害(栄養欠乏や代謝異常を介する)、姿勢・筋固縮の二次的要因などが考えられます。 [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9]
- しびれが続く場合は、症状の詳細、薬剤の用量・累積量、栄養状態(B12・B6・葉酸、ホモシステイン、MMA)の評価、必要に応じた神経伝導検査を行い、栄養補充・薬剤調整・疼痛対策・理学療法を組み合わせて対応することが一般的です。 [4] [5] [6] [10] [3]
参考のための比較表
しびれの原因候補と特徴を整理しました。
| 原因候補 | 主な特徴 | 検査のポイント | 主な対応 |
|---|---|---|---|
| 中枢性の感覚処理異常(病態そのもの) | 灼熱感、ピリピリ、痛みが運動症状と独立して出現しうる | 臨床評価(他の神経学的徴候が乏しいことも)、オン・オフとの関連 | 鎮痛・神経障害性疼痛薬、運動症状調整、リハビリ |
| レボドパ関連末梢神経障害 | 感覚主体の慢性しびれ、時に亜急性の感覚運動性障害 | B12・B6・葉酸、ホモシステイン、MMA、神経伝導検査 | 栄養補充、用量調整、場合により投与法見直し |
| 栄養欠乏・代謝異常 | 体重減少や食事偏りと併発、ビタミン不足に伴うしびれ | B12・B6・葉酸、ホモシステイン、MMA | 栄養補充(改善例あり) |
| 姿勢・筋固縮による二次的要因 | 特定姿勢や活動で悪化、局所的圧迫感 | 理学療法評価、姿勢分析 | ストレッチ、姿勢矯正、装具、生活工夫 |
中枢性の感覚症状と末梢性ニューロパチーは重なり得るため、複数の視点で評価することが推奨されます。 [3] [4] [5] [6] [1]
しびれの出方(部位や時間帯、薬の効き目との関係、痛みの有無)について、もう少し詳しく教えていただけますか?
関連する質問
出典
- 1.^abcdefgPrimary sensory symptoms in parkinsonism.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 2.^abc파킨슨병(Parkinson's disease) | 질환백과 | 의료정보 | 건강정보(amc.seoul.kr)
- 3.^abcdefghijkThe pathophysiological basis of sensory disturbances in Parkinson's disease.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 4.^abcdefghLevodopa, methylmalonic acid, and neuropathy in idiopathic Parkinson disease.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 5.^abcdefghijkPeripheral neuropathy in Parkinson's disease: levodopa exposure and implications for duodenal delivery.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 6.^abcdefghijPolyneuropathy associated with duodenal infusion of levodopa in Parkinson's disease: features, pathogenesis and management.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 7.^abcCarbidopa and Levodopa Tablets, USP(dailymed.nlm.nih.gov)
- 8.^abcCarbidopa and Levodopa Tablets, USP(dailymed.nlm.nih.gov)
- 9.^abccarbidopa and levodopa- Carbidopa and Levodopa tablet, extended release(dailymed.nlm.nih.gov)
- 10.^abcdeMalnutritional neuropathy under intestinal levodopa infusion.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


