
PubMedの資料に基づく | パーキンソン病で息切れ(呼吸困難・息苦しさ)は起こりますか、その原因や受診の目安、対処法は何ですか?
パーキンソン病では、呼吸の中枢異常や上気道・胸郭の筋協調不全、薬剤の影響、嚥下障害による誤嚥などが重なり息切れが起こることがあります。強い呼吸困難や発熱・咳の増加、急な悪化などは早急な受診が必要で、肺機能検査や嚥下評価、薬剤レビューが有用です。対処は薬剤の最適化、呼吸・音声訓練、嚥下リハ、姿勢の工夫、感染予防が中心です。
パーキンソン病では、息切れ(呼吸困難・息苦しさ)が起こることがあります。呼吸のリズムを作る中枢の不調や、胸郭・横隔膜・上気道の筋肉協調の乱れ、薬の影響、嚥下の問題による誤嚥などが重なって、呼吸がしづらく感じられることがあると考えられています。これは運動症状だけでなく「非運動症状」の一つとして報告されており、心肺の病気が見つからないのに呼吸苦を訴える例もあります。 [1] パーキンソン病では上気道(喉の周りの筋肉)の機能不全が空気の流れを妨げ、息苦しさの原因になることがあり、抗パーキンソン薬(レボドパ)で改善するケースも示されています。 [2] さらに、胸郭が硬くなり速い呼吸動作に抵抗が生じ、反復運動の協調が悪くなることで換気能力が徐々に制限されることが知られています。 [3]
起こりうる原因
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上気道の筋肉協調不全 息の通り道の筋肉がうまく連動せず、空気の流れが不安定になり、呼吸時に抵抗が増して息苦しさを感じることがあります。 [2] これはパーキンソン病の「錐外路(運動調整)系」の関与が呼吸筋にも及ぶためと考えられます。 [4]
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胸郭・呼吸筋の硬さと協調低下 胸郭が硬くなり、横隔膜や肋間筋の動きがぎこちなくなって換気量が減り、活動時の息切れにつながる場合があります。 [3] パーキンソン関連疾患では、神経の病変が呼吸の中枢や筋の制御に影響して、神経筋疾患に似た肺機能パターンが出ることがあります。 [4]
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呼吸リズムの中枢性異常 脳幹の呼吸リズム形成への影響により、説明しづらい呼吸苦や「息が吸いにくい」感覚が出ることがあります。 [1] 心肺検査で異常が乏しくても、パーキンソン病の非運動症状として呼吸苦が現れることがあります。 [1]
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薬剤の影響 レボドパが呼吸筋の不随意運動や固縮を誘発・緩解するなど、薬剤で呼吸機能が変化することがあります。 [4] 一部の麦角系ドパミン作動薬では胸膜・肺線維症の報告があり、呼吸症状悪化の一因となりえます。 [4]
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嚥下障害・誤嚥 唾液や食物が気管に入る「誤嚥」が起きやすく、これが肺炎や慢性的な咳・息苦しさにつながることがあります。 [5] パーキンソン関連の嚥下困難は二次性パーキンソニズムでも問題となり、誤嚥性肺炎のリスクがあります。 [6] [7]
受診の目安(緊急性の判断)
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すぐ受診・救急相談の目安
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速やかな専門外来受診の目安
診断・評価のポイント
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肺機能検査(スパイロメトリー、フローボリューム曲線) 上気道閉塞や呼吸筋の協調不全を示すパターンが見られ、薬剤調整で改善する例もあります。 [2] パーキンソン病では神経筋性の換気制限様の所見が出ることがあります。 [4]
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嚥下評価(嚥下内視鏡・造影) 誤嚥の有無を確認し、嚥下リハビリや食形態調整につなげます。誤嚥は肺炎や慢性的な呼吸症状の原因になります。 [5] [6]
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薬剤レビュー レボドパやドパミン作動薬の用量・タイミングで呼吸症状が変化することがあり、調整で改善を目指します。 [4] 必要に応じて麦角系作動薬の副作用(胸膜・肺線維症)を確認します。 [4]
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睡眠・上気道機能の評価 夜間の上気道機能低下や睡眠障害が昼間の疲労・息苦しさを悪化させることがあり、総合的な評価が役立ちます。 [4]
対処法(日常でできることと医療的介入)
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薬剤の最適化 レボドパの服薬タイミングや用量、他の薬剤の調整で呼吸筋の協調や上気道機能が改善する場合があります。 [2] [4] 急な悪化や副作用が疑われるときは自己調整せず、主治医に相談しましょう。 [4]
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呼吸リハビリ・音声訓練 胸郭の可動性を高める呼吸訓練、吸気筋トレーニング、発声・スピーチセラピーは呼吸効率や声の出しやすさをサポートします。胸郭の硬さと協調低下への介入は換気能力の維持に役立ちます。 [3]
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嚥下リハビリ・食形態の調整 とろみ付け、少量ずつの摂取、姿勢調整、嚥下練習などで誤嚥リスクを減らします。誤嚥は呼吸器合併症の主要因の一つです。 [5] [6]
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姿勢・環境の工夫 背中を軽く前傾させ胸郭を広げる、座位で深呼吸を意識する、会話や食事の前に一度深く吸うなどで息切れを軽減できることがあります。胸郭の硬さがある場合は、温めやストレッチも補助になります。 [3]
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感染予防と早期介入 口腔ケア、適切な水分摂取、ワクチン(肺炎球菌・インフルエンザ)などで肺炎リスクの低減を目指します。嚥下問題がある方は特に重要です。 [5] [6]
よくある疑問への補足
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「心肺の検査は正常なのに息苦しい」
パーキンソン病では、脳幹の呼吸リズムや筋協調の中枢性の問題で、検査では異常が少ないのに呼吸苦が起こることがあります。これは非運動症状として捉えられます。 [1] -
「薬で悪化することはある?」
レボドパ関連の呼吸機能異常(呼吸筋の不随意運動、固縮、換気中枢の変化)や麦角系作動薬による胸膜・肺の線維化が報告されています。薬剤による変化が疑われる場合は、速やかに処方医へ相談してください。 [4] -
「嚥下が弱くてむせる」
嚥下障害は誤嚥性肺炎の原因となり、慢性的な呼吸症状につながります。嚥下評価とリハビリ、食形態の調整が有効です。 [5] [6] [7]
まとめ
パーキンソン病では、非運動症状としての呼吸苦が起こることがあり、上気道・胸郭・呼吸筋の協調障害、中枢の呼吸制御の乱れ、薬剤の影響、嚥下障害による誤嚥など複数の要因が関与します。 [1] 上気道機能不全や胸郭の硬さは検査で捉えられることがあり、薬剤調整やリハビリで改善が期待できます。 [2] [3] 薬剤性の呼吸問題や感染(誤嚥性肺炎)も念頭に置いて、症状が新規・増悪する場合は医療機関で評価を受けることが勧められます。 [4] [5] 息切れが気になるときは、心肺疾患の除外とともに、パーキンソン病特有の呼吸機能の問題としても総合的に確認していくことが大切です。 [1] [4]
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出典
- 1.^abcdefRespiratory distress: an unrecognized non-motor phenomenon in patients with parkinsonism.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 2.^abcdefReversibility of upper airway obstruction after levodopa therapy in Parkinson's disease.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 3.^abcdefRespiratory dysfunction in Parkinson's disease.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 4.^abcdefghijklmnoRespiratory dysfunction in Parkinson's disease.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 5.^abcdefghParkinson disease: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
- 6.^abcdefSecondary parkinsonism: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
- 7.^abSecondary parkinsonism: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


