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2026年2月16日5分で読める

PubMedの資料に基づく | パーキンソン病では手足のしびれはどの程度みられ、どのような原因や機序で生じる症状ですか?

要点:

パーキンソン病では、手足のしびれなどの感覚異常が約2~5割でみられ、片側優位や病初期に出ることもあります。原因は、ドパミン低下などによる中枢性の痛覚調節異常と、レボドパ関連の代謝変化やビタミンB12/B6不足に伴う末梢ニューロパチーの両面が重なります。症状パターンの把握、栄養評価・補充、薬剤調整やリハビリで改善が期待できます。

パーキンソン病における「しびれ(異常感覚)」の頻度と原因・機序

パーキンソン病では、手足の「しびれ」(ぴりぴり、じんじん、焼ける感じ、冷感、鈍感などの異常な感覚)が一定の割合でみられます。研究では、感覚の異常を訴える方が全体の約2~5割程度存在し、痛みや灼熱感、しびれ・うずく感じなどが含まれます。 [1] [2] とくに「焼けるような感覚」や痛みは目立ち、片側優位(運動症状が強い側に限局)で出ることもあります。 [2] 症状は運動症状に先行して出るケースもあり、診断を難しくすることがあります。 [1] [2]


しびれの「頻度」を示すデータ

  • 外来患者の約42%が自発的な感覚異常(しびれ、うずき、灼熱感など)を訴えたという報告があります(101例中43例)。[1]
  • 別の報告では、50例中19例(38%)が「しびれ・冷感・灼熱感・痛み」などの感覚症状を訴えました。 [2]
  • 痛みや感覚異常は病初期および運動合併症期(ウェアリングオフやジスキネジア)で増える二峰性の分布を示すことが知られています。 [3] [4] [5]

参考比較表(頻度の目安)

報告対象数感覚症状の頻度特徴
外来101例の研究 [1]10142%焼ける感覚が顕著、運動症状に先行する例あり
外来50例の研究 [2]5038%片側優位、神経伝導・体性感覚誘発電位は正常
レビュー記述 [3] [4] [5]痛み・感覚異常はよくみられる初期と運動合併症期にピーク(2峰性)

原因と病態生理(なぜ起こるのか)

しびれ・感覚異常の背景は一つではありません。中枢性(脳内の痛み・感覚制御の変化)と末梢性(末梢神経の障害)の要因が重なり合うことが多いです。 [3] [4] [5]

1) 中枢性メカニズム(脳内の回路変化)

  • ドパミン低下により、痛みや感覚入力の「調節機構」が乱れ、感覚が過敏になったり異常に感じられます。 [3] [4] [5]
  • 線条体(大脳基底核)の機能変化が痛み処理に関与し、L-ドパ投与で痛み関連の異常が正される例があることから、ドパミン系の役割が示唆されます。 [3] [4] [5]
  • ドパミンだけでなく、ノルアドレナリンやセロトニンの下行性疼痛抑制系の異常も関与し、患者によってはドパミン薬に反応しにくい感覚症状もあります。 [3] [4]

2) 末梢性メカニズム(末梢神経障害)

  • パーキンソン病そのもの、または高用量レボドパの長期使用に伴う代謝変化(ホモシステイン上昇、メチルマロン酸上昇、ビタミンB12/B6不足)によって、感覚優位の末梢神経障害(ニューロパチー)が起こることがあります。 [6] [7]
  • レボドパ/カルビドパ腸管ゲル療法(持続腸管投与)では、サブアキュート~慢性の感覚・運動性多発ニューロパチーの報告があり、ビタミンB群(B12/B6)補充で改善するケースがあります。 [6]
  • レボドパの累積投与量が多いほど、ニューロパチーの重症度やMMA(メチルマロン酸)上昇と相関したとの報告があります。 [7]

しびれの「特徴」

  • 片側に偏る(運動症状が強い側に限局)ことがあり、病初期から出る例もあります。 [2] [1]
  • 神経伝導検査や体性感覚誘発電位が正常でも訴えが強い「主観的感覚異常」がみられます。 [2]
  • 背部・脚・肩などの痛みが頻発し、胸部・腹部・口腔・外陰部など「非典型部位」の不快感が出ることもあります。 [3] [4]

レボドパ治療としびれの関係

  • 運動のオン・オフやジスキネジア期に痛み・感覚異常が増える傾向(2峰性)が知られており、ドパミン動態の変動が関係します。 [3] [4] [5]
  • 高用量レボドパでは、ホモシステイン上昇・MMA上昇・ビタミンB12/B6不足を介した末梢神経障害が増える可能性があり、栄養状態の評価と補充が推奨されます。 [6] [7]

鑑別すべき原因(他の病気との見分け)

しびれはパーキンソン病以外の要因でも起こりえます。糖尿病性ニューロパチー、甲状腺機能異常、ビタミン欠乏(B12、B6、葉酸)、腎疾患、薬剤性、頚椎症・腰椎症による神経根障害などの鑑別が重要です。パーキンソン病の「中枢性の感覚異常」は検査が正常なことが多い一方、末梢ニューロパチーでは神経伝導検査で異常が出ることがあります。 [2] [7]


しびれへの対策(実践ポイント)

  • 症状パターンの整理:片側優位か、時間帯や薬の効き目(オン・オフ)との関連、痛みの質(灼熱、刺すような、うずく)を記録しましょう。運動の変動に連動する場合は、薬の調整で改善余地があります。 [3] [4] [5]
  • 栄養評価:ビタミンB12/B6、ホモシステイン、メチルマロン酸(MMA)の測定を検討します。不足や上昇があれば、補充療法でしびれが軽くなることがあります。 [6] [7]
  • 薬剤調整:レボドパの用量や投与方法の見直し、ドパミン作動薬・COMT阻害薬併用の検討などで、運動の変動とそれに伴う痛み・感覚異常の緩和を目指します。一部では栄養補充と併用が効果的です。 [6] [3]
  • 検査の活用:末梢ニューロパチーが疑われる場合は神経伝導検査や血液検査を行い、中枢性が疑わしい場合は痛みの専門的評価を進めます。検査が正常でも感覚異常は起こり得る点を踏まえて総合的に判断します。 [2]
  • リハビリ・セルフケア:軽い有酸素運動、ストレッチ、温罨法・冷罨法の使い分け、睡眠・ストレスケアは、しびれと痛みの感じ方を和らげることがあります。体位・姿勢の改善で頚椎・腰椎由来のしびれ悪化を防ぐことも大切です。(一般的推奨)
  • 疼痛・感覚管理:痛みの性質に応じて、プレガバリン、デュロキセチンなどの鎮痛補助薬が検討されることがあります。(一般的臨床実践)

要点のまとめ

  • パーキンソン病では、手足のしびれを含む感覚異常が約2~5割でみられ、片側優位や病初期に出ることもあります。 [1] [2] [3]
  • 原因は中枢性(ドパミン系・基底核・下行性疼痛抑制系の異常)と末梢性(レボドパ関連の代謝変化、ビタミン不足によるニューロパチー)が重なることが多いです。 [3] [4] [5] [6] [7]
  • 評価では、症状パターン、栄養状態(B12/B6、ホモシステイン、MMA)、必要に応じた神経伝導検査を組み合わせ、薬剤調整と栄養補充、リハビリ・セルフケアを総合的に行うのが一般的です。 [6] [7] [2] [3]

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出典

  1. 1.^abcdefPrimary sensory symptoms in parkinsonism.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  2. 2.^abcdefghijkSensory symptoms in Parkinson's disease.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  3. 3.^abcdefghijklm[Pain and sensory disturbance in Parkinson disease].(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  4. 4.^abcdefghij[Pain and sensory disturbance in Parkinson disease].(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  5. 5.^abcdefghThe pathophysiological basis of sensory disturbances in Parkinson's disease.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  6. 6.^abcdefgPeripheral neuropathy in Parkinson's disease: levodopa exposure and implications for duodenal delivery.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
  7. 7.^abcdefgLevodopa, methylmalonic acid, and neuropathy in idiopathic Parkinson disease.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)

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