
PubMedの資料に基づく | パーキンソン病では吐き気はどのような理由で起こりやすく、どのくらいの頻度で見られ、どのように対処・治療すればよいですか?
パーキンソン病の吐き気は、病気による自律神経・胃腸機能低下とレボドパやドパミン作動薬の副作用が主因で、開始・増量時に目立ち、市販後では数%の報告があります。原因を切り分け、用量・内服タイミングの調整、カルビドパ併用、ドンペリドンなどの制吐・胃運動改善薬、食事・生活の工夫を組み合わせて対処します。中枢性ドパミン遮断薬は避け、強い嘔吐や脱水があれば早めに受診します。
パーキンソン病で吐き気(悪心・嘔吐)は比較的よくみられます。主な理由は「病気そのものによる自律神経・胃腸機能の低下」と「治療薬(特にドパミン補充薬やドパミン作動薬)の副作用」の2つがあり、どちらも重なって起こることがあります。とくにレボドパ(L-ドパ)やドパミン作動薬では吐き気が副作用として知られており、薬の種類や用量、飲み始めの時期に症状が出やすいことがあります。 [1] [2]
吐き気が起こる主な理由
-
薬の副作用
-
病気そのものの影響(自律神経・胃腸機能障害)
どのくらいの頻度で起こるか
- 頻度は薬剤・用量・背景によって差がありますが、レボドパ製剤の市販後データでは、吐き気は数%台で報告があります。 [8] 同様に、嘔吐の報告も数%程度みられます。 [9]
- 一方、臨床では「飲み始め」「増量時」に一過性の吐き気が目立ちやすい印象があり、カルビドパ併用で軽減することが多いです。 [1] ドパミン作動薬でも吐き気はよく知られる副作用です。 [3]
- 病気自体による消化器症状(唾液過多、嚥下障害、吐き気、便秘など)は、パーキンソン病の方で一般の方より明らかに多いことが観察されており、症状の程度は治療の有無よりも病状の重さと関連する傾向が示されています。 [6]
対処・治療の考え方(ステップ別)
1) 原因の切り分け
- 薬の副作用が強いのか、病気による胃腸機能低下(ガストロパレシス)主体なのかを見極めることが大切です。自己中止は避け、医療者と用量・タイミング・剤形の調整を検討します。 [4]
- 強いめまい・意識混濁・血圧低下や、持続する嘔吐・脱水があれば早めの受診を検討します。 [2]
2) 薬剤関連の工夫
- レボドパ+カルビドパ比の最適化や用量調整:カルビドパ併用は吐き気軽減に役立ちます。 [1]
- ドパミン作動薬での吐き気:用量をゆっくり上げる、食後開始、他剤への切り替えなどで軽減することがあります。 [3]
- 制吐薬の併用:
3) 胃腸機能(ガストロパレシス)への対応
- 食事・生活の工夫:
- 薬物治療の選択肢:
- 重症例の栄養管理:固形物がつらい場合は均質化食や液体栄養がとりやすく、難治例では空腸投与などの専門的栄養管理が必要になることがあります。 [15]
生活のコツ(症状軽減のために)
- 食事は少量を回数多く、ゆっくりよく噛んで食べる。 [13]
- 低脂肪・低繊維で消化の良い食品を選ぶ、スープや流動食を活用する。 [13]
- 食後2〜3時間は横にならない、上体を起こして過ごす。 [13]
- 水分はこまめに、カフェインは脱水を助長しやすいので控えめに。 [16]
- 薬の内服タイミング(空腹時/食後)や剤形(徐放性/即放性/散剤など)の見直しを医療者と相談する。 [1]
よくあるQ&A
-
Q:レボドパでなぜ吐き気が出るの?
A:レボドパが末梢でドパミンに変換されると、嘔吐中枢が刺激されやすくなるためです。カルビドパを併用すると末梢変換を抑え、吐き気を減らせます。 [1] -
Q:吐き気はいつまで続くの?
A:個人差はありますが、開始直後〜増量初期に強く、慣れとともに軽くなることがあります。続く場合は用量調整や制吐薬併用で対処できます。 [1] [3] -
Q:どの症状が受診目安?
A:水分がとれないほどの嘔吐、めまい・失神、黒色便や激しい腹痛、体重減少などがある場合は早めの受診をおすすめします。 [2] [4]
データの一例(参考)
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| レボドパ(カルビドパ併用)の副作用 | 吐き気・立ちくらみが出ることがあり、用量調整で軽減する場合があります。 [1] |
| ドパミン作動薬の副作用 | 吐き気・眠気・幻覚などが知られ、行動衝動の変化にも注意が必要です。 [3] |
| 市販後データ(例) | 吐き気・嘔吐は数%程度の報告があります(製剤・試験により差)。 [8] [9] |
| 病気そのものの消化器症状 | 唾液過多、嚥下障害、吐き気、便秘などが一般より多く、重症度と関連。 [6] |
| ガストロパレシスへの対応 | 少量頻回・低脂肪/低繊維・食後は横にならない、ドンペリドン等の検討。 [13] [14] |
まとめ
- 吐き気の原因は「薬の副作用」と「病気に伴う胃腸機能低下」が主で、しばしば両方が関与します。 [2] [5]
- 頻度は数%の報告から臨床的にはもっと高く感じられる場面まで幅があり、開始時や増量時に出やすいことがあります。 [8] [9] [1]
- 対処は段階的に:薬の用量・タイミング調整、ドンペリドンなどの制吐・胃運動改善薬の検討、食事・生活の工夫で多くは改善が期待できます。 [1] [3] [10] [13]
- 中枢性ドパミン遮断薬(メトクロプラミド等)は症状悪化の恐れがあるため、避ける選択が一般的です。 [12]
- 強い嘔吐や脱水、血圧低下などがあれば早めに受診し、原因の再評価と安全な治療調整を行いましょう。 [2] [4]
🗒️ なお、症状や体質には個人差があります。「吐き気が続く」「薬が効きにくい時間が増えた」などの変化があれば、無理をせず主治医へ相談してみてくださいね。
関連する質問
出典
- 1.^abcdefghijkParkinson's disease - Diagnosis and treatment(mayoclinic.org)
- 2.^abcdefParkinson disease: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
- 3.^abcdefParkinson's disease - Diagnosis and treatment(mayoclinic.org)
- 4.^abcdParkinson disease: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
- 5.^abThe management of gastrointestinal symptoms in Parkinson's disease.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 6.^abcGastrointestinal symptoms in Parkinson's disease.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 7.^↑Gastroparesis and Parkinson's disease: a systematic review.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 8.^abc(dailymed.nlm.nih.gov)
- 9.^abc(dailymed.nlm.nih.gov)
- 10.^abcDomperidone. A review of its pharmacological activity, pharmacokinetics and therapeutic efficacy in the symptomatic treatment of chronic dyspepsia and as an antiemetic.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 11.^↑Domperidone is superior to ondansetron in acute apomorphine challenge in previously untreated parkinsonian patients - A double blind study.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 12.^abAn outline of anti-emetic treatment.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 13.^abcdefgTreatments(stanfordhealthcare.org)
- 14.^abcdGastroparesis: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
- 15.^↑Diagnosis and management of patients with gastroparesis(mayoclinic.org)
- 16.^↑Managing Nausea and Vomiting(mskcc.org)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


