
米国NIHの資料に基づく | パーキンソン病で発熱は一般的な症状ですか?
パーキンソン病では発熱は典型症状ではなく、多くは肺炎などの感染症や脱水など別の原因によります。まれに抗パーキンソン薬の急な中止・減量で悪性症候群(過高熱)が起こり、高熱・筋固縮・意識障害などを伴うため緊急対応が必要です。持続する発熱や神経症状があれば速やかに受診し、薬は自己判断で中止しないでください。
パーキンソン病そのものでは、発熱は「一般的な症状」とは言いにくいです。発熱がみられる場合は、多くが感染症(肺炎など)や脱水など別の原因によるものであり、まれに薬の急な中止・減量に伴う「パーキンソニズム過高熱症候群(悪性症候群)」が原因となることがあります。 [1] [2]
発熱の位置づけ
-
疾患そのものの基本症状ではない
パーキンソン病は運動症状(振戦・固縮・動作緩慢・姿勢保持障害)や自律神経・睡眠・嗅覚などの非運動症状が中心で、発熱は典型的な症状には含まれません。多くの場合、熱が出たときは別原因の評価が必要になります。 [1] -
感染症による発熱が目立つ
高齢期・進行期では嚥下障害や活動量低下から肺炎などの呼吸器感染症が起こりやすく、これが発熱の主因となります。こうした全身炎症はパーキンソン病の運動症状を急に悪化させ、せん妄(意識の混乱)を伴うこともあります。 [1]
重要な例外:悪性症候群(パーキンソニズム過高熱)
-
どんな状態か
抗パーキンソン薬(レボドパなど)の急な中止・減量後に、高熱・強い筋固縮・意識障害・自律神経不安定(血圧や脈の乱れ)を呈する、生命に関わるまれな合併症です。神経弛緩薬悪性症候群(NMS)に類似した病態として知られています。 [2] -
頻度とリスク
発生はまれですが、見逃すと腎不全・誤嚥性肺炎・血栓塞栓症・DICなどの重篤な合併症を生じ得ます。抗パーキンソン薬を急に止めない・減らさないことが最大の予防になります。 [2]
レボドパ製剤などの急減量・中止に関連してNMS様の高熱・混乱が報告されており、用量変更時は注意深い観察がすすめられます。 [3] [4] [5] -
症状のポイント
高熱に加えて強い筋硬直、意識の低下、発汗過多、頻脈・血圧変動などがあれば緊急対応が必要です。 [2]
こうした症状が見られた場合、抗パーキンソン薬の再導入や支持療法(体温管理、補液、合併症治療)を早期に行うことで予後が改善するとされています。 [2]
発熱が招く影響
- 運動機能の持続的悪化リスク
パーキンソン病の方が高熱や全身炎症を経験すると、その後サブアキュートな運動機能の悪化(段階の進行)が続くリスクが高まります。とくにせん妄(意識混乱)と高い体温は、その後の持続的悪化と強く関連します。 [1]
受診の目安・セルフチェック
-
次のようなときは早めに受診
-
薬の取り扱い
抗パーキンソン薬は自己判断で中止・減量しないことが大切です。用量変更が必要なときは、医療者と計画的に行い、変更後は体調と体温、意識状態を丁寧に観察しましょう。 [3] [6]
まとめ
- 発熱はパーキンソン病の典型症状ではなく、感染症など他の原因が多いです。 [1]
- まれに薬の急な中止・減量で「悪性症候群(過高熱)」が起こり、高熱・筋固縮・意識障害を伴い緊急対応が必要です。 [2] [3]
- 高熱やせん妄は、運動機能の持続的悪化につながるリスク因子のため、早期の評価と治療が重要です。 [1]
この数日でお熱や咳、薬の用量変更など何か心当たりはありますか?
関連する質問
出典
- 1.^abcdefgDelirium and high fever are associated with subacute motor deterioration in Parkinson disease: a nested case-control study.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 2.^abcdefgThe parkinsonism-hyperpyrexia syndrome.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 3.^abc(dailymed.nlm.nih.gov)
- 4.^ab(dailymed.nlm.nih.gov)
- 5.^↑(dailymed.nlm.nih.gov)
- 6.^↑(dailymed.nlm.nih.gov)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


