
WHOの資料に基づく | 口腔がんの症状として吐き気はどれくらい起こり、主な原因は何ですか?
口腔がんでは、吐き気は腫瘍そのものの典型症状では少なく、主に化学療法・放射線治療や嚥下障害・口内炎など治療関連の要因で起こりやすいです。吐き気は急性(24時間以内)、遅発性(24時間以降)、予期性として出現し、セロトニンなどを介した機序が関与します。5-HT3拮抗薬などの制吐薬や口腔ケア・食事調整などの支持療法で多くは軽減できます。
口腔がんの吐き気:頻度と主な原因
口腔がんそのものの「典型症状」として吐き気(悪心)が前面に出ることは多くはありませんが、治療(化学療法・放射線治療)や関連する合併症によって吐き気が起こることは比較的よくあります。特に化学療法や化学放射線療法では、吐き気・嘔吐が代表的な副作用のひとつです。 [1] 頭頸部への放射線治療でも、治療中から終了後にかけて悪心(吐き気)や嘔吐、食欲低下がみられることがあります。 [2] [3]
吐き気が起こる頻度の目安
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化学療法・化学放射線療法
使われる薬剤の「吐き気を起こす強さ(エメトジェニックリスク)」により頻度は幅があります。一般的には化学療法単独でも吐き気・嘔吐が起こりうる副作用で、化学放射線療法では放射線由来の副作用も重なり、吐き気の負担が増える傾向があります。 [1] [4] 吐き気は治療直後(24時間以内)だけでなく、24時間以降に遅れて出る「遅発性」や治療前から条件反射的に出る「予期性」吐き気として現れることもあります。 [5] -
放射線治療(頭頸部)
照射野や線量、個人差によって悪心・嘔吐・疲労などの全身的な副作用がみられることがあります。 [2] 多くの副作用は治療終了後に落ち着いていきますが、口の渇き(口腔乾燥)は比較的長く続くことがあります。 [3] -
腫瘍そのものによる吐き気
口腔がんの一次症状は、口内のしこり・潰瘍、痛み、しびれ、嚥下(飲み込み)や咀嚼の困難、顎や耳の痛みなどが中心で、吐き気は主症状としては一般的ではありません。 [6] 進行すると嚥下障害や疼痛による食事困難から、二次的に吐き気や食欲低下が出る場合があります。 [7] [6]
主な原因:なぜ吐き気が起こるのか
化学療法によるもの
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薬剤の直接的な刺激や神経伝達の変化
化学療法は消化管の粘膜や脳幹の「嘔吐中枢(化学受容体引き金帯)」を間接的に刺激し、セロトニン(5-HT3)などの神経伝達物質の増加を介して吐き気・嘔吐を引き起こすと考えられています。 [8] このため、5-HT3受容体拮抗薬(セロトニン拮抗薬)などの制吐薬が有効とされています。 [8] 代表的な副作用として、吐き気・嘔吐、食欲低下、口腔内の潰瘍や乾燥、血球減少などが挙げられます。 [1] -
予期性(条件反射性)吐き気
過去の治療で強い吐き気を体験すると、治療の場面や匂い・音などの刺激だけで吐き気が誘発される「予期性吐き気」が生じることがあります。 [9] 一般的な制吐薬は効きにくく、リラクゼーションや行動療法などが助けになります。 [9]
放射線治療によるもの
- 消化管・全身への影響
放射線治療でも、照射の種類・線量・照射範囲・分割方法・個人差などの要因で悪心・嘔吐が出ることがあります。 [9] 頭頸部照射では嚥下痛や咀嚼困難、口腔乾燥、口内炎(粘膜炎)などが食事を難しくし、二次的に吐き気や食欲低下につながりやすくなります。 [10] [3] 治療の急性期には悪心・嘔吐・疲労などの全身症状がみられることがあります。 [2]
腫瘍・合併症によるもの
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嚥下障害・疼痛・口腔粘膜炎
腫瘍の進展による嚥下困難や痛み、治療関連の口内炎や乾燥は、食事時の不快感や嘔気の誘発因子になります。 [6] [7] [10] -
薬剤や栄養状態の変化
栄養不足、脱水、特定の鎮痛薬や抗生剤なども吐き気の一因になりえます。 [9] ストレスや不安も吐き気を増幅させることがあります。 [5]
吐き気の出やすいタイミング
見分け方のポイント
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口腔がん自体の症状が優位
口内のしこり・潰瘍、痛み、しびれ、嚥下困難、顎の腫れや耳痛などが主で、吐き気は直接の主症状ではないことが多いです。 [6] 食べ物の通過障害や痛みが強いと、食事時に反射的な嘔気が生じる場合があります。 [7] -
治療関連の吐き気が疑われる場合
化学療法や放射線のスケジュールと吐き気のタイミングが一致することが多く、制吐薬が奏功しやすいです。 [11] 乾燥・口内炎・嚥下痛を伴うなら放射線・化学放射線の影響を考えます。 [3] [10]
対策とケア
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制吐薬の活用
セロトニン(5-HT3)拮抗薬、ドーパミン拮抗薬、ステロイド、ベンゾジアゼピン、カンナビノイドなどが状況に応じて使われます。 [9] 多剤併用が単剤より有効な場面もあります。 [9] -
支持療法(口腔・嚥下のケア)
口腔乾燥や口内炎のケア、栄養士・言語聴覚士の関与、食形態の調整(やわらかい・冷たい・刺激の少ない食品)で二次的な嘔気を軽減できます。 [3] [10] -
生活の工夫
少量頻回の食事、においの強い食品を避ける、脱水予防、リラックス法の活用が助けになります。 [5] 予期性吐き気にはイメージトレーニングなどの行動療法が役立つことがあります。 [9]
まとめ
- 吐き気は、口腔がんの「直接の典型症状」ではあまりありませんが、治療(特に化学療法・化学放射線療法)や放射線の副作用として比較的よく起こります。 [1] [2] [3]
- メカニズムとしては、消化管や脳幹の嘔吐中枢が神経伝達物質(セロトニンなど)を介して活性化されることが主要因で、適切な制吐薬の選択が有効です。 [8] [9]
- 腫瘍進展や嚥下困難、口腔乾燥・粘膜炎などが二次的に嘔気を悪化させるため、支持療法と口腔ケア・食事調整も重要です。 [10] [7] [3]
よくある質問(Q&A)
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Q:治療後にいつまで吐き気が続きますか?
A:急性の吐き気は治療当日〜翌日に強く、数日で軽快することが多いですが、遅発性として数日〜1週間程度続く場合もあります。 [5] 放射線治療の副作用は治療終了後に軽減していくことが多いですが、乾燥感は長引くことがあります。 [3] -
Q:吐き気が強いときに受診すべきですか?
A:水分が取れない、嘔吐が止まらない、めまい・ふらつき・意識障害などがある場合は早めの受診が望ましいです。 [11] 治療計画の調整や制吐薬の追加で改善できることが多いです。 [9]
参考になるセルフケアのコツ
- 匂いの少ない冷たい食事にする、油っぽい・辛い食品を避ける。 [5]
- 少量を頻回に、こまめに水分補給する。 [5]
- 口腔ケアを丁寧に行い、乾燥には保湿剤や人工唾液を活用する。 [10] [3]
- 不安が強い場合はリラクゼーションや相談窓口を利用する。 [5]
このような吐き気は治療内容や個人差でかなり変わりますので、具体的な治療スケジュールや現在の症状の出方(いつ・どの程度・何に伴って起こるか)を教えていただければ、より詳しい対策をご提案できます。
関連する質問
出典
- 1.^abcdMedication for Oral Cancer(nyulangone.org)
- 2.^abcd국가암정보센터(cancer.go.kr)
- 3.^abcdefghiRadiation Therapy for Oral Cancer(nyulangone.org)
- 4.^↑Chemotherapy for Salivary Gland Cancer(nyulangone.org)
- 5.^abcdefghijManaging Nausea and Vomiting(mskcc.org)
- 6.^abcdOral Cancer(medlineplus.gov)
- 7.^abcdAdvanced Cancer of the Oral Cavity(mskcc.org)
- 8.^abcPathophysiology of cytotoxic drug-induced emesis: far from crystal-clear.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 9.^abcdefghijCancer therapy, vomiting, and antiemetics.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 10.^abcdef국가암정보센터(cancer.go.kr)
- 11.^abcdOptimal management of nausea and vomiting in clinical oncology.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


