
WHOの資料に基づく | 口腔がんの症状として動悸は起こりますか?
動悸は口腔がんの典型症状ではなく、治りにくい口内の潰瘍やしこり、白色/赤色斑、痛み、嚥下困難、頸部リンパ節腫大などの局所症状が主です。まれに進行頭頸部がんで神経反射性の徐脈・失神が起こったり、治療薬の副作用や貧血・感染・ストレスなどで動悸が出ることはありますが、がん特異的ではありません。持続する口内症状は歯科・耳鼻咽喉科へ、動悸は内科(循環器)で評価を。
口腔がんの典型的な症状に「動悸(心臓がドキドキする感じ)」は一般的には含まれません。口腔がんの主なサインは、治りにくい口内の潰瘍やしこり、白色や赤色の斑、歯のぐらつき、口の痛み、飲み込みにくさ、耳の痛み、頸部リンパ節の腫れなどが中心です。 [1] これらは口の中やのど周辺の局所症状が主体で、心拍数の変化そのもの(動悸)は標準的な症状リストには挙げられていません。 [2] [3] そのため、動悸は口腔がんに特異的な症状とは言いにくいと考えられます。 [1] [4]
口腔がんの主な症状
- 治らない口唇・口腔の潰瘍やしこり(出血を伴うことも) [1] [3]
- 白色斑・赤色斑(白板症様/紅板症様変化) [1] [3]
- 歯のぐらつき・口腔痛・嚥下(飲み込み)の困難 [1]
- 頸部のしこり(リンパ節腫大) [4]
- 耳の痛み・声の変化・咀嚼や発音のしづらさ [1] [2]
これらが数週間以上持続する場合は、歯科・耳鼻咽喉科での評価が推奨されます。 [1]
例外的に動悸が関連するケース
動悸そのものは口腔がんの直接症状ではありませんが、いくつかの「間接的な状況」で心拍異常や失神に関わるケースが医学的に報告されています。 [5]
1) 頭頸部がんによる神経反射性の失神・徐脈
進行・再発した頭頸部がんが頸部の神経(舌咽神経・迷走神経)を刺激・圧迫すると、強い徐脈や低血圧による失神が起きる稀な症候群が知られています。 [6] 痛みの後に突然の意識消失を伴い、発作中に著明な徐脈や血圧低下がみられることがあります。 [6] この場合の主所見は徐脈・低血圧・失神であり、典型的な「動悸(頻脈)」ではありません。 [6] 同様の機序が推定された症例報告もあります。 [7]
2) 治療・薬剤に伴う心拍数の変化
頭頸部がんの関連治療で用いられる薬剤の一部では、まれに動悸や不整脈が副作用として報告されています。 [8] ピロカルピン(口腔乾燥の対策薬)では、頭頸部がん患者で動悸・失神・徐脈などが稀(<1%)に報告されています。 [9] この場合の動悸は「がんの症状」ではなく「薬の副作用」に分類されます。 [8] [9]
3) 全身状態の影響(貧血・感染・ストレスなど)
がんに伴う貧血や感染、甲状腺機能の乱れ、発熱、脱水、不安・ストレスなどの一般的要因でも動悸は生じうるため、がん患者でも動悸が起きることはありますが、直接の口腔がん特異症状ではありません。 [10] [11] こうした要因はがん種を問わず見られる可能性があります。 [11]
実際の受診の目安
- 口内の潰瘍やしこりが2〜3週間以上治らない、口腔内に白色・赤色斑が続く、嚥下困難や頸部のしこりがある場合は、歯科・耳鼻咽喉科での診察と必要に応じた視診・触診・内視鏡・画像検査が行われます。 [1] [4]
- 動悸が気になる場合は、内科(循環器)での心電図や血液検査(貧血・甲状腺)も検討されます。 薬を服用中なら副作用の確認が有用です。 [8] [9]
まとめ
- 動悸は口腔がんの「典型的症状」ではありません。 典型的には、治らない口内の潰瘍やしこり、白色・赤色斑、嚥下困難、頸部リンパ節腫脹などが重要です。 [1] [4] [3]
- 稀に、進行した頭頸部がんが神経を刺激して徐脈・低血圧・失神を起こすことがあり、心拍異常が関与することはありますが、これは特殊な状況です。 [6] [7]
- 動悸がある場合は、がん特異的症状というより、薬の副作用や貧血・感染・ストレスなどの全身要因を考えるのが一般的です。 [8] [9] [10]
関連する質問
出典
- 1.^abcdefghiMouth cancer - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
- 2.^abMouth Cancer Signs & Symptoms | Memorial Sloan Kettering Cancer Center(mskcc.org)
- 3.^abcdOral Cancer(stanfordhealthcare.org)
- 4.^abcdMouth Cancer Signs & Symptoms | Memorial Sloan Kettering Cancer Center(mskcc.org)
- 5.^↑Head and neck cancer.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 6.^abcdSyncope from head and neck cancer.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 7.^abSyncope: a clue to malignant compression of the glossopharyngeal nerve.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 8.^abcdPilocarpine Hydrochloride Tablets, USPRx Only(dailymed.nlm.nih.gov)
- 9.^abcdPilocarpine Hydrochloride Tablets(dailymed.nlm.nih.gov)
- 10.^abAnemia in cancer.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 11.^abParaneoplastic syndromes.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


