
PubMedの資料に基づく | 多発性硬化症で体重減少が起こることはありますか、起こる場合の原因と受診の目安を教えてください。
MS自体は必ずしも『痩せる病気』ではありませんが、嚥下障害、食欲低下や抑うつ、活動量の変化、薬剤の影響、栄養不良などで意図しない体重減少が起こり得ます。6か月で体重の10%以上の減少、嚥下の困難、新たな神経症状、薬の変更後の急な体調変化があれば早めに受診し、嚥下・栄養・リハ・薬剤を多職種で評価することが推奨されます。
概要
多発性硬化症(MS)そのものが直接「痩せる病気」とは言い切れませんが、MSの症状や合併症、治療、生活変化が重なって体重減少(意図しない減量)が起こりうることがあります。 [1] 体重減少の背景には、嚥下(飲み込み)障害、食欲低下、抑うつ、活動量の増減、薬剤の副作用、栄養摂取の偏りなど、いくつかの要因が関与する可能性があります。 [2] [3] 受診の目安としては、短期間での顕著な体重減少、嚥下の困難、脱水や栄養不足のサインがある場合、また新しい神経症状の出現や持続的な悪化がある場合には、早めの医療機関受診が勧められます。 [4] [5]
MSの基本と症状の幅
MSは脳・脊髄・視神経の髄鞘(ミエリン)が免疫反応で傷つき、神経伝達が妨げられることで、視覚、感覚、運動、排尿・排便、思考・気分など広範な症状が現れます。 [1] 症状は個人差が大きく、再発と寛解を繰り返す型や、徐々に進行する型などの病型があります。 [6] 小さな体温上昇で一時的に症状が悪化して見える「疑再発(偽再発)」もあり、本当の再発との区別が重要です。 [5]
体重減少が起こりうる主な理由
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嚥下障害(飲み込みの難しさ)
脳・脊髄の障害が口腔・咽頭の筋協調を乱し、食事量が減る、誤嚥が怖くて控えるなどで栄養不足につながり、体重が落ちることがあります。 [2] 嚥下障害は栄養不良の大きな原因となりやすい合併症です。 [4] -
食欲低下や抑うつ、疲労
MSでは気分変化や抑うつが生じ、食欲が低下して摂取カロリーが不足することがあります。 [5] 強い疲労感により料理や食事が負担になり、簡便食中心で栄養が偏ることもあります。 [3] -
運動機能変化と身体組成の変動
痙縮(筋のつっぱり)や活動量の低下は筋肉量の減少と体組成の変化を招き、体重にも影響します。 [7] 長期的には骨密度低下なども生じうるため、栄養と運動のバランス管理が必要です。 [7] -
薬剤の影響
一部のMS治療薬は注射部位の脂肪減少(リポアトロフィー)など局所的な体組成変化を起こすことがあり、見た目や体組成の評価に影響します。 [8] 他の薬でも感染症リスクや肝機能変化などが食欲・摂食に二次的影響を与える可能性があります。 [9] [10] [11] -
栄養摂取の問題(栄養不良)
MSでは栄養状態の評価が見過ごされがちですが、栄養不良は免疫・筋力・認知・呼吸筋にも悪影響を及ぼします。 [3] 系統的な栄養評価と支援が大切です。 [3] 体重は栄養不良の早期サインで、6か月で10%以上の減量は重要な警告です。 [4]
受診の目安(すぐ相談すべきサイン)
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短期間の顕著な減量
6か月で体重の10%以上の減少は栄養不良が疑われ、医療機関での評価が推奨されます。 [4] -
食事がしづらい・飲み込みにくい
むせる、固形物や液体で詰まる感じ、食事時間の延長、誤嚥が心配などがあれば嚥下評価を受けましょう。 [2] 嚥下に問題があると生命に関わる合併症(誤嚥性肺炎等)につながることがあります。 [12] -
新たな神経症状や持続的な悪化
視力低下、歩行悪化、感覚異常、排尿・排便問題、ふらつきなど気になる症状が新規・持続する場合は、再発や進行の可能性も含めて受診を。 [5] MSの再発はステロイドや血漿交換で管理する選択肢があり、早期介入が回復につながります。 [13] -
薬の変更後に食欲・体重が大きく変化
新しい薬の開始後に体調や栄養状態の急変があれば、担当に相談して副作用や相互作用の確認を行いましょう。 [9] [10] [11]
受診時に伝えると良い情報
- 直近6–12か月の体重の推移(可能なら具体的な数値)と食事量の変化。 [4]
- 嚥下の症状(むせ・のど詰まり・食事時間延長・特定の食材で悪化)。 [2]
- 便秘・下痢・吐き気など消化器症状と水分摂取状況。 [2]
- 抑うつや不安、睡眠の質など気分・生活面の変化。 [5]
- 使用中のMS治療薬と開始時期、注射部位の変化や感染兆候。 [8] [9]
- 日常活動量(歩行・運動)と転倒や痛み、痙縮の有無。 [7]
推奨される評価と対策
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多職種での評価
医師・看護師・栄養士・リハ(理学療法・作業療法)・言語聴覚士が連携し、嚥下・栄養・活動・薬剤を総合評価すると効果的です。 [2] 栄養評価には主観的包括的評価(SGA)やMNA、MUSTなどのツールが用いられます。 [4] -
嚥下リハと食形態調整
嚥下機能に応じてとろみ付け、やわらか食、少量高頻度の食事などを取り入れ、誤嚥予防と摂取量の確保を目指します。 [2] 言語聴覚士による嚥下訓練や必要に応じた嚥下検査が役立ちます。 [2] -
栄養支援
エネルギーとタンパク質の必要量を算出し(ストレス・活動度で調整)、不足分は栄養補助食品や強化食で補います。 [4] MSでは栄養不良が免疫や筋力に不利に働くため、継続的なモニタリングが推奨されます。 [3] -
運動とリハビリ
痙縮や筋力低下に対して適度な運動・理学療法で筋量維持を図り、過度の疲労を避けながら体組成の改善を目指します。 [7] -
薬剤の見直し
体重変動や食欲、感染傾向、肝機能などに影響する薬については、副作用モニタリングと用量調整を検討します。 [9] [10] [11] 皮下注射薬で局所の脂肪減少が目立つ場合は、注射部位のローテーションや製剤の変更を相談します。 [8]
自宅でできるセルフチェックとケア
- 週1回程度の体重測定と記録を習慣化し、5–10%の減量の兆しを早期に把握します。 [4]
- 食事日誌で摂取カロリー・タンパク質・水分量を見える化し、足りない部分を補います。 [4]
- 嚥下に不安がある日は安全な食形態(やわらか・とろみ)にして、少量を回数多く食べる工夫をします。 [2]
- 抑うつや不眠が食欲に影響する場合は、メンタルヘルスの相談や生活リズム調整を行います。 [5]
まとめ
MSでは病気自体が直接の「体重減少」を必ず引き起こすわけではありませんが、嚥下障害・栄養不良・抑うつ・活動量の変化・薬剤の影響などが重なると減量につながることがあります。 [2] [3] 6か月で10%以上の意図しない体重減少、嚥下の困難、持続する新しい神経症状があれば、早めに医療機関へ相談し、嚥下・栄養・薬剤・リハの総合評価を受けることが望ましいです。 [4] [5] 適切な介入により、栄養状態の改善とMS症状の管理が期待できます。 [3]
関連する質問
出典
- 1.^abMultiple sclerosis(mayoclinic.org)
- 2.^abcdefghij[Nutritional support in chronic neurological diseases].(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 3.^abcdefgNutrition in multiple sclerosis.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 4.^abcdefghijNutritional assessment and malnutrition in multiple sclerosis.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 5.^abcdefgMultiple sclerosis - Symptoms and causes(mayoclinic.org)
- 6.^↑Multiple Sclerosis(mayoclinic.org)
- 7.^abcdBody composition in multiple sclerosis.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 8.^abcMedication for Multiple Sclerosis(nyulangone.org)
- 9.^abcdMultiple sclerosis - Diagnosis and treatment(mayoclinic.org)
- 10.^abcMultiple sclerosis - Diagnosis and treatment(mayoclinic.org)
- 11.^abcMultiple sclerosis - Diagnosis and treatment(mayoclinic.org)
- 12.^↑Multiple Sclerosis - Symptoms, Causes, Treatment | NORD(rarediseases.org)
- 13.^↑다발성 경화증(Multiple sclerosis) | 질환백과 | 의료정보 | 건강정보(amc.seoul.kr)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


