
PubMedの資料に基づく | 多発性硬化症では夜間の発汗(夜汗)は一般的な症状ですか?原因や対処法を教えてください。
多発性硬化症で夜間発汗は主要な典型症状ではありませんが、自律神経の乱れや睡眠障害、暑さへの過敏性などで起こることがあります。寝室の温度・寝具の調整、刺激物の制限、冷却グッズの活用に加え、睡眠障害や甲状腺・感染症・薬剤など他の原因の評価が有効です。頻回で睡眠を妨げる、発熱や体重減少を伴う場合は受診を検討してください。
多発性硬化症と夜間発汗(夜汗):一般的か、原因、対処法
多発性硬化症(MS)で夜間の発汗が「典型的・一般的な主要症状」とは言い切れませんが、MSの影響で自律神経の調整や睡眠の質が乱れることがあり、その結果として夜汗が起こることはあります。夜汗はしばしば別の基礎疾患や睡眠障害、薬の影響などと重なって見られるため、MS由来の可能性に加えて他の原因も並行して評価するのが安全です。夜汗が頻回で眠りを妨げたり、発熱や体重減少などを伴う場合は医療機関での確認が勧められます。 [1] 夜汗は就寝環境の暑さや掛け布団の厚さだけでは説明できない「繰り返す強い寝汗」を指し、背景に何らかの状態があることが多いとされています。 [2]
夜汗が起こりうるメカニズム
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自律神経機能の変化
MSでは体温調節に関わる発汗機能が低下または不均一化する例が報告されており、体温上昇時の汗の出方が健常者と異なることがあります。これは熱のこもりやすさや、逆に局所的な発汗の乱れにつながり、夜間に不快な汗として自覚されることがあります。 [3] 発汗低下は病勢の重さと関連する所見が示されており、体温調整全体のバランスが崩れると夜間の不快感や寝汗に影響しやすくなります。 [3] -
睡眠障害の併存
MSでは不眠、周期性四肢運動、睡眠時無呼吸、レム睡眠行動障害など多様な睡眠障害が併存しやすく、これらは自律神経の変動や覚醒反応を増やし、夜汗の自覚につながることがあります。 [4] 睡眠障害はMSの生活の質に大きく影響し、適切な評価と治療が重要とされています。 [5] -
熱感受性(Uhthoff現象)と環境要因
体温上昇でMS症状が悪化する人は少なくなく、暑さに弱い傾向から就寝中の温度管理がうまくいかないと不快な発汗につながることがあります。冷却用のスカーフやベストなどで体温を下げる工夫が症状悪化の予防に役立ちます。 [6] また、シャワーや入浴の温度、寝室の室温・湿度を調整することは、夜間の過度な体温上昇を防ぐうえで効果的です。 [7] -
他の医学的原因
甲状腺機能亢進、糖尿病、心不全、睡眠時無呼吸、感染症、薬の副作用(例:一部の抗うつ薬や解熱鎮痛薬)などは、MSと無関係に夜汗を引き起こす代表的な原因です。これらの評価を並行して行うと、原因の見落としを減らせます。 [8] 夜汗が新たに増えた、日常生活を妨げる、または他の症状(発熱・体重減少・局所痛・咳・下痢など)を伴う場合は受診が推奨されます。 [1]
まず確認したいポイント(セルフチェック)
- 環境と習慣:寝室が暑すぎないか、掛け布団が厚すぎないか、寝る前の熱い入浴や辛い食事・アルコール摂取がないかを見直します。これらは体温を上げ、夜汗を誘発します。 [7]
- 睡眠障害のサイン:いびきが強い、途中で息が止まる、夢を「演じる」ような動きがある、頻回に足がピクつくなどがあれば睡眠時無呼吸やレム睡眠行動障害などの可能性があります。適切な治療により夜汗も改善することがあります。 [4]
- 薬と持病:新しく始めた薬や、甲状腺・血糖・心機能の変化がないか確認します。これらは過剰な発汗を引き起こします。 [8]
対処法:生活改善から医療的対応まで
就寝環境の調整
- 室温と湿度を快適に:エアコンや扇風機で寝室を涼しく保ち、湿度を適度に保つと体温の過度な上昇を防げます。MSでは暑さで症状が悪化しやすいため、冷却グッズ(冷却ベスト・スカーフ)も有用です。 [6]
- 衣類と寝具の見直し:通気性の良い素材を選び、重ね着や厚手の寝具を避けます。入浴やシャワーは熱すぎない温度に調整します。 [7]
夕方〜就寝前の工夫
- 刺激の少ないルーティン:カフェイン、アルコール、辛い食事は体温や心拍を上げ睡眠を乱します。控えることで夜汗の自覚が減ることがあります。これは睡眠障害の予防にも役立ちます。 [9]
- 適度な運動:水中運動や涼しい時間帯の軽い運動はMSの体調管理に役立ちますが、運動直後の体温上昇を避けるため、就寝の数時間前までに行い、クールダウンを十分にします。 [9]
医療機関での評価と治療
- 睡眠障害の評価:睡眠時無呼吸やレム睡眠行動障害などが疑われる場合は、睡眠検査(ポリソムノグラフィー)を含む評価で原因に応じた治療を受けると夜汗の改善が期待できます。 [4]
- 併存疾患・薬剤の見直し:甲状腺、血糖、感染症、心機能、服薬内容の確認で原因が特定できることがあります。これらへの治療が夜汗の軽減につながります。 [8] [1]
いつ受診すべきか
- 次のような場合は早めの相談が目安です:
まとめ
- MSで夜汗は「最も一般的な主要症状」ではないものの、体温調節の乱れや睡眠障害の併存で起こりうる症状です。 [3] [4]
- 就寝環境の見直し(冷却、衣類・寝具調整、入浴温度)、夕方の行動の工夫(刺激の少ないルーティン、適度な運動)、睡眠障害や他疾患の評価が有効です。 [6] [7] [9] [8]
- 頻回で生活に支障がある、または他の警戒症状を伴う場合は医療機関に相談しましょう。 [1]
関連する質問
出典
- 1.^abcdefgNight sweats Causes - Mayo Clinic(mayoclinic.org)
- 2.^abNight sweats - Mayo Clinic(mayoclinic.org)
- 3.^abcSweating impairment in patients with multiple sclerosis.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 4.^abcdClinical assessment and management of sleep disorders in multiple sclerosis: a literature review.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 5.^↑Sleep disturbances in multiple sclerosis.(pubmed.ncbi.nlm.nih.gov)
- 6.^abcMultiple sclerosis - Diagnosis and treatment(mayoclinic.org)
- 7.^abcdMultiple sclerosis - discharge: MedlinePlus Medical Encyclopedia(medlineplus.gov)
- 8.^abcdCauses(stanfordhealthcare.org)
- 9.^abcDiagnosis and treatment - Mayo Clinic(mayoclinic.org)
ご注意: この情報は教育目的のみで提供されており、専門的な医療アドバイス、診断、または治療に代わるものではありません。医療上の決定を行う前に、必ず資格のある医療提供者に相談してください。


